「組織の中に成果は存在しない。すべての成果は外にある。」というドラッカー教授の教え
ドラッカーの本を読んでいると、極めて頻繁に「成果」という単語が出てきます。
どうも原文を読むと「Effectiveness」とか「Results」と言った単語を、訳者はまとめて「成果」と訳しているようです。
ドラッカーを学ぶときに最初につまずくのが、この「成果」を言う単語についてではないでしょうか。
私たちは「成果」というと、当初立てた目標を達成したことや売上予算をクリアしたこと、または今までにない新しい試みが実を結んだことなどをイメージします。
オックスフォード辞書には「しとげて得る結果」と書いてあり、Googleで検索すると、「何かをしたことで得られた良い結果」とか「努力の成就」とか、はたまた「企業にとっての成果は最終利益だ」とも言っている人もいるようです。
いろんな解説がありますが、概ね私たちはここに挙げたような理解をしているのではないでしょうか。
でも、ドラッカーは「すべての成果は外にある」と言っているのです。
ここが、私たちが最初に躓くポイントです。
ドラッカーを読むときには、この「成果」の意味をしっかりと理解しておくことがとても重要です。
ドラッカーの言う成果とは「組織が活動を通じて顧客満足に貢献すること」をいいます。
ポイントは、売上とか利益とかコスト削減だとか、そう言った組織内部の事情ではないということです。
企業の売上とか利益など、顧客には何の関係もありません。
もう少しわかりやすく言うと、成果とは「組織の活動によって起きた外の世界の変化」と言えます。
「宅配便サービスによって電車でゴルフに行けるようになった。」
「乾式工法によって現場での乾燥待ち時間が無くなった」
「いつも笑顔で応対することでリピーターが増えた」
「プレゼンの中身を変えたら注文が増えた」
顧客への貢献を目的に何かの活動をした結果、外の世界が変化したとき、成果が上がったと言えるとドラッカーは教えています。
これは、企業の外の顧客と直接接点のない部門で働く人にとっても同じことが言えます。
例えば人事部門で働く人にとって、顧客は誰かを考え、答えが「社員」であるならば、「ストレングスファインダーを活用した強みにフォーカスする評価法を導入した結果、社員エンゲージメントが向上した」なんていうのも、人事部門の顧客である「社員」に変化が起きたことになり、成果があったということになるでしょう。
しかしながら、「人事評価ソフトを導入した結果、評価集計の時間が短縮できた」というのは、自分たちの部門の仕事が楽になったということで、その時間を使って新たにどんな貢献ができるかを意図していないのであれば、成果があったとは言えないのではないでしょうか。
ドラッカーの言う成果とは「外の世界の変化」のことです。
ここを間違えると、本当の成果とマスターベーションの見分けがつかなくなります。
そうでなくても、組織が大きくなればなるほど内向きの力学が強くなり、外の世界への奉仕という組織にとって唯一の存在理由がないがしろにされがちになります。
あなたの直近1年間の活動によって、あなたの組織の外の世界はどのように変化しましたか?
あなたの組織の場合、組織の外の世界にどのような変化が現れたら「成果を上げた」と言えますか?
チームのみなさんと一緒に考えてみたいものですね。
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