見出し画像

「あの社員は指示待ちで自分から動かない」というマネージャーさんへ

自分から動かない部下

コーチングセッションでマネージャーの方とお話をしていると、結構多くの方が部下の指導のことで悩んでいることがわかります。

で、そんなマネージャーさんたちから、こういうセリフを聞くことがよくあります。

「彼(彼女)は自分から動こうとしないんですよ」
「指示待ちの部下が多くて困っているんです」
「思うように動いてくれないんですよ」

自分の思うように動かない!
指示されなければ動かない!

今日はこうした場面に遭遇したときの考え方について、斉藤徹さんの『だから僕たちは組織を変えていける』を参考にお伝えします。

レッテル貼りはやめること

まず大事なことは、安易に「動かない人」というレッテルを貼ってはいけないということです。

指示待ちに見える人には、それぞれ個別の理由がある、ということを理解することから始めるべきです。

指示待ちの4つのパターン

指示待ち状態が生まれる典型的なパターンは次の4つです。

1.能力や知識の不足
2.仕事観の違い
3.エンゲージメント・モチベーションの喪失
4.何でも自分でやらなければ気が済まない上司の存在

1は、本人の持つ能力よりも、仕事の難易度が高すぎるケースです。

優秀なリーダーが陥りがちなのですが、「これくらいできるだろう」と安易に考えて、本人の能力や経験以上の仕事をアサインしてしまう。

よく話し合って、難易度を最適化しながらティーチングとフィードバックによってステップアップを後押しするべきです。

2は、そもそも上司から指示されたことをこなすのが仕事であるという固定観念を持っているケースです。

どういうわけか、「指示命令は上がするもの、私たちはそれを実行する人」と、悪意なく思い込んでいるケースがあります。

また、マネージャークラスの方でも、私の経験上、企業の子会社のプロパー社員にはこのケースはよく見られることがあります。

これはある程度仕方がないことで、社長を始め、役員たちは、必ずと言っていいほど親会社から降りてくるという環境下で長年過ごしていると、こういう習性が身についてしまいます。

この場合はよくコミュニケーションをとって、会社としては自律的な組織を目指していることを伝え、その実現のために必要な役割や目標を話し合います。

そして、本人が夢中になれそうな課題をあたえ、寄り添いつつも突き放しながら、依存心を断ち切る訓練をしていくといいと思います。

3は、何らかの理由で組織や仕事との心のつながりを失っているケースです。

本来は自律的に働く高い能力をもつ社員に多いようです。

このケースでは「効果的な1on1」がとても重要になってきます。

キーワードは「傾聴」です。

相手の立場になりきって、その人の抱える問題や悩みを理解しようと真摯に努力する。
決して同調する必要はなく、理解者になることが大切です。

二人の話題のターゲットを内向きの方向に持って行くと、ひたすら愚痴大会になってしまうので、個人的な感情とタスクを切り離し、意識を外に向けるようにしてください。

私はかなり以前にコーチから、どうしても扱いにくい部下との1on1の時には「俺が最後まで君の味方になってあげる」と心に刻んで臨むといいと教わったことがあります。

この気持ちは言葉に出さずとも、すぐに本人にも伝わります。
まずは、個人的な信頼関係を築く努力をしてみてください。

最後に、私の経験上、特に多いのが4のケースです。

仕事ができる優秀な上司に多く見られます。

何でも自分でやらないと気が済まないのは、なにがそうさせているのですか、と聞くと、大概は「自分でやった方が早いから」という答えが返ってきますが、それをしているうちは組織は機能しないと断言できます。

さらにこういう方に多いのが「マイクロマネジメント好き」です。
2の固定観念の上司パターンで「部下の仕事の細かいことまで、すべて把握しているのがマネージャーの役割だ」と本気で思い込んでいる人もいます。

コーチングでは、「それをしていることであなたが手に入れているものと失っているもの」を、出来るだけたくさん挙げてもらい、客観的に気づいてもらう、なんていうこともしたりします。

すると多くの人が、失っているものの方が圧倒的に多い事に気づくことは気づくのですが、では改善できるかというと、これがなかなか難しいのが実態のようです。

あなたが「自分から動かない部下」を作り続けている

自分で何でもやってしまうくせに、指示待ちの部下が多いと言ってイライラする、だから自分でやった方が早い、するとさらに部下は自分からやらなくなる。

部下の行動の細かいことが気になり、自分のやり方でやるように常に口を出し部下の自主性を奪い取る。

自ら動かないように見える部下には、それぞれに個別の理由があって、よきマネージャーはその原因をさぐり上手に対応しています。

部下が指示待ちで自分から動こうとしない、と言って悩んでいるマネージャーさんに質問します。

「その状況を創り出しているのが自分だとしたら、何が考えられますか?」

部下やチームは、「あなたの作品」ですから(笑)。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?