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西瓜糖の目

 みなさんは「西瓜糖」を食べたことがありますか?西瓜糖は西瓜の果汁を煮詰めたものです。シロップとしてヨーグルトなどにかけたり、砂糖の代わりにお料理に使ったり、さまざまな用途に使うことができます。
 昨年の夏、町内で西瓜の苗をいただき、そこから育った未熟な西瓜で西瓜糖づくりを行いました。小玉西瓜1玉からほんの少し、琥珀色の西瓜糖が出来上がりました。味は胡瓜の香りがする薄い蜂蜜といった感じです。
 私がなぜ西瓜糖に興味を持ったかというと、アメリカの作家リチャード・ブローティガンの小説「西瓜糖の日々」が大好きだからです。夏の夜にお散歩した時の匂いがしてくるような、キラキラとしたお話です。舞台となるアイデスという場所では曜日によって西瓜の色が変わったり、ほとんどのものが西瓜糖でできていたり、虎が喋ったりと不思議な世界観を持っています。
 登場するのは西瓜、松の木、川、小屋、食堂、工場、石など町内にもあるものばかり!と気がついてからの私は、この小説の視点(西瓜糖の目)を重ねるように町並みを見ることを楽しんでいます。私の西瓜糖の目は、現実の風景に対してさまざまな想像をもたらせてくれます。このように自分の見て
いる世界の視野を広げてくれるのが、小説や芸術の素敵なところだと思います。
 ブローティガンは1964年5月から執筆し、7月には物語を書き終えたそうです。ちょうど今時期ですね。今年の夏は西瓜糖の日々を読みながら、西瓜糖づくりをしてみるのがおすすめです。みなさんの西瓜糖の目は町をどんな
ふうに見るでしょうか?

●広報紙「我が郷土」2022年6月号掲載 文/絵 鈴木真帆(地域おこし協力隊)