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ボールペンに関心を持つなかで、改めて万年筆のよさに気づくことに

万年筆は、キャップをポストしたまま十五分も放置していると、たちまちペン先が乾き、インクが出なくなってしまいます。インクを入れたままで長期間放っておくのもよくないようです。インクを替えるときや、そうでなくてもある程度の期間で洗浄が必要になります。

また、ニブは繊細だから、落とさぬようにと気を遣います。そうしたことから、万年筆は利便性が低いといわれます。だからそのうちには使う者ももっと少なくなり、将来的には消えてしまうのではないかという議論さえみられます。

かくいう私も、水性ボールペンであれば万年筆と同じように力を入れずに高速の筆記ができるらしいことを知り、あるいは低粘度の油性インクなども日々改良が重ねられてきていて、高速とまではいかない吟味しながらの筆記には、むしろ油性のボールペンが向いているのかしらんと思案するようになりました。

そもそも私は、いわゆる油性ボールペンで書こうとして、しかしなぜかインクが出ないものだから、ぐるぐると紙に映らない空しい跡を長々とつけ、そろそろ出てくるかと期待してもついに裏切られたという幼少の経験から、積極的にボールペンを使いたいという気にはずっとなれなかったのですが、最近、それは食わず嫌いではなかろうかと反省しました。

それで、意識的にボールペンを数本使いはじめましたが、書いたものを見比べると、万年筆が書いた線の濃淡の何とも美しいこと……そこだけは、どうしたってボールペンでは実現できない魅力だなと再認識するに至りました。ボールペンに関心を持つなかで、改めて万年筆のよさに気づくことになった模様です。

Lamy AL-star Fine nib / Parker Quink Blue / Tsubame Note W30S

万年筆はインクの入れ替えや洗浄が面倒だといっても、比較的容量が大きいものならばそう頻度が高いわけでもありません。容量が小さいなら小さいで、いろいろなインクが試せるのが愉しいと考えることもできます。また、落下が心配だとしても、普通に使っていてそうそう落とすものではないでしょう。やはり私の優先は、まだまだ万年筆でありそうです。

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