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東京に行って(そして地方と比較して)思うところなど

先日東京を訪れたときの、地方在住者としての雑感など。
今回は本当に思ったことを書き散らしただけとなっております、はい。

1/人口1400万という数の暴力

ネットで「大都会岡山」なんてネタがありましたが、ジョーク抜きで評したらやっぱり東京こそマジモンの大都会ですよねぇ。
せっかくなんでその岡山を引き合いに出して例えるなら、そう‥‥ビルの高さと密度と広告の数を3倍くらい、行き交う人と車の数を10倍くらいにして、ついでにデザインもファッショナブルにした岡山駅前の光景を想像してみてください、それが行けども行けども延々続くのが東京ですよ。

今年訪れた岡山駅前の風景。東京と比べると、空が広い、ビルが低い、人が少ない。

で、この東京のパワーの源になってるのはやっぱり1400万の人口ですよ。
どこに行っても人、人、人。
どこまで行っても人、人、人。
東京、上野、池袋、新宿、原宿、渋谷、有楽町、どこもかしこも人、人、人。
大阪神戸の「混んどるな~」さえ東京では「ガラガラじゃん!」ってレベルですよ。
地方都市じゃあなおさら勝負にならんですわ、ハハッ。

逆に東京の人が地方都市に観光しに行くと、人が少なくてまったりできるんじゃないですかね。
人口的には‥‥そうですね、30万人以上80万人未満くらいの都市が、交通や飲食店が過不足ないくらいに揃っててちょうどいい、というのが俺氏の持論です。
俺氏が訪れたことのある地方都市だと、岐阜市で約40万人、岡山市で約72万人、和歌山市や奈良市で約36万人、このへんがのんびり過ごすにはちょうどいい感じだと思います。

ま、それはさておき。
人が集まると仕事が増え、増えた仕事に人が集まり、もっと人が集まるともっと仕事も増え、また増えた仕事を目当てに人が集まり、それに応じてカネもモノも集まってきて、それを動かすための交通網も網の目のように発展して‥‥という循環が東京という街をとめどなく動かしている、というのが東京の風景を眺めて毎度思うことです。
人手不足にあえぐ地方都市では、これと逆の循環が起きているわけで、東京の発展を見て二元論的に良いか悪いかを評するのはなかなかに難しいものだなと思ってしまいます。

2/地方が遅いんじゃない、東京が早い

道中、俺氏と同じく地方から東京へ来たと思しき人たちの会話でよく聞いたのが
「東京は発展が早い」「あんな建物、この前来たときには無かった」
というものです。
実際、着工から完成までの期間は地方都市のそれよりもだいぶ早いと思います。
というか早くしないと費用が嵩んだり、交通の便とかいろんなところに支障が出まくるから早くせざるを得ないっていう事情もあるでしょうが。

で、ふと思ったんですが。
東京の発展速度って間違いなく日本最速なんで、情報から街の景色まであっという間に変わっていくと思うんですが、東京の人には「物事は万事このスピード感で進むものだ」っていう思い込みが無いかな?と。
議員、とくに地方選出の議員であればまだ都心と地方の速度差、温度差みたいなものを体感できるとは思うんですが、官僚は普段東京にいるから「これが標準的な工期」みたいに錯覚して、それをもとに作った政策で、東京と地方の間で齟齬が生じないかな?物事がうまく回らないとか無いかな?とちょっとばかし不安になります。
この認識の差を放置したら、そのうち首都圏と地方とで決定的な亀裂になりかねんですよ。

実際、神戸三宮駅前の再開発なんか、東京の人から見たら(地元民から見てさえ)「なにをトロトロやってるんだろう」みたいなスピードですからね、マジで。
でも地方在住者に言わせれば、東京の発展速度が異常なんですよ。
まあこれも、どっちに軸足を置くかで評価が二分される話だと思いますが。

3/人種より先に地方民で坩堝を経験した東京

東京といえば、意外なくらい地方出身者が多いという事実。
転入出のデータ見れば一目瞭然なんですが、この人口減の世の中で人口増えてるとなりゃ、そりゃ他所から人が集まってくるくらいしかありませんしね。

それを踏まえて思ったんですが、最近移民がなんだかんだって話が(だいたい悪い意味で)よく耳目に触れるんですが、東京に関して言えばそれほど問題化している風でもない、その理由って、人種のるつぼより先に地方民のるつぼを経験してるからなんじゃないかと思ったりしたんですね。

移民って、異なる生活様式を持った人々がワッと押し寄せてくることだと思うんですが、これには国の内外ってあんまり関係ない気がする、というかむしろ同国人のほうが言葉が細かく通じるぶん、かえって差異が際立つというか。
例えば大阪の人は善意から他人に注意することがあるんですが、東京では他人に注意しないそうですね、最悪刺されるとかなんとか聞きました。
もちろん東京ルールというのがそうなったのにはそれなりの理由があるはずで、物事が問題なく回るようにという、ある種の配慮もしくは忖度がルール化された結果なんでしょう。

ただ、その東京ルールがローカル最大手となってしまい、前例として広まってしまうのが問題というか、付き合わされる地方はたまったもんじゃないというか。
東京の日本で一番進んだルールを、るつぼを経験していない地方にまで適用しようとすると、やっぱりいろいろ無理が出て問題が解決しないどころか悪化することもあるんじゃないかなと。
だから逆説的に、東京から見る地方自治って、まず理解自体が難しいんではないでしょうかね。

静岡県とか沖縄県の知事の反日的言動見てると、つい地方自治権なんてもっと縮めてもいいんじゃないかとか思っちゃいますが、やっぱりその地のことはその地の人間にやらせないとダメな面も多々あるわけで、東京には旗振り役以外はやらせちゃいかんなとも思いました。

4/見栄と欲望の街、東京

東京で地味に困るのがメシ。
俺氏にはメシ屋に並ぶという習慣が一切無いので、だいたい人が列をなしてる名の知れた店には入れません、入りません。
じゃあどこでってなると、だいたい駅前のチェーン店あたりでパパっと食べて終了です。
ビジネスならまあいいんですが、観光としてはちょいと味気ない。
でも並ばない、並びたくない。

「あの店に2時間並んで〜」とか、「この店で食べた!あー私も私も!」とか、高度な体験共有型コミュニケーションが求められるお並びマインドの東京は、関西人的な時は金なりマインドあるいは実利を求める商売人マインドとは本当に反りが合わなくて、かくいう俺氏も冗談抜きで並ぶ意味がわからないんです。

で、ふと思ったんです、この並ぶマインドって「ガチャ」に通じるなって。
みんな持ってるわたしも欲しいとか、逆にみんな持ってない俺だけが持ってるとか、そのためならどれだけ時間と金を浪費してもかまわない。
たかが虚構のためにそこまでやるか?という裏って、やっぱり見栄と欲望(所有欲なりマウント欲なり)が動機付けになるわけで、メシ屋に並ぶのもこれと同じようなもんかなと。
まあ何にどんな価値を見出そうが自由なわけで、俺氏がとやかく言うことではないというのは百も承知ではございますが、なんというか生きにくそうな街だなぁと思います。

そういう意味では、あまり欲の強くない人、競争社会の真っ只中で頑張り続けるのはしんどい!っていう人には東京って向いてないんじゃないかなと。
そういう人には、そうですねぇ‥‥人口100万人くらいで交通網が整備されてて仕事もあって田舎ほど不便じゃない街ってくらいが俺氏の体感的にも手頃じゃないかなと思います、はい。

5/この街で災害やテロや戦争が起きたら‥‥

ところで俺氏は東京への苦手意識がわりと強いほうといいますか、東京には行きたくない派、東京には住みたくない派の人間です。
なんでかというと、俺氏は幼少の頃とはいえ阪神大震災を経験した身なので、都市が人に牙を向いてくる恐怖というのが身に染み付いておりましてですね。
東京みたいな鉄筋コンクリートと道路線路が複雑に入り組みひしめき合うクソ狭い迷路みたいな街のことごとくが崩れ落ちて、あるいは火の手に捲かれて、という万が一のときに、生き残れる自信なんてのは全く無いんですよ。
まあ災害、特に地震についてはね、東日本大震災の経験とかも踏まえていろいろと対策されてるとは思いますが、それでも災害ってのは想定外なことが次々と起こるもんですし。

でも、それよりももっと不安なのは、やっぱりテロや戦争が起きたら、ということでしょうかね。
阪神大震災と同年の3月20日のことを、人口流動の激しい東京の住人がどれだけがしっかり記憶して対策を練っているのかというと、正直すごい不安ですよ。
まして現在は、国際政治的なことから技術的なことまで、当時よりも安全保障環境が不安定な方へ激変してて、リスクも大きくなってるわけですよ。
毒物を撒き散らしたりドローンで無差別攻撃したりだけじゃない、なんなら観光客に偽装した工作員が集団であちこちの線路に立ち入ったりするだけでも交通網に大混乱を引き起こせたりするわけで、その隙に弾道ミサイルでもブッ放して大攻撃とか、そういう悪辣な手段だっていくらでも考えられるわけで、いやー対策キツいっす。

そしてそれ以上に、東京の人たちの平和ボケのほうが気がかりです。
危機を体験したことのない人が多いというのは、それだけでリスクだと思ってます。

ハマスがイスラエルにロケット弾攻撃したという重大ニュースでさえ、この景色の中では雑多な情報の一つでしかない。
平和ボケ、ああ平和ボケ。

6/東京、総括するには大きすぎる不可思議な街

人口1400万の街を十把一絡げに総括なんてできるわけがないじゃないか!(逆ギレ)
なんて言ってしまうと身も蓋もありませんが、正直これが本音です。

中から見る景色と、外から見る景色は違うものですが、東京を総括しようとすると見なければならないものがあまりにも多すぎて、なんというかヘタなことを言いにくいんですね。
ネタバレ防止あるいは専門家様のツッコミ防止で「ガルパンはいいぞ!」しか言えなくなるおじさんみたいなもんでしょうか。

でもまあ、住む住まないは別としても、まだ行ったことのない人はぜひとも一度東京へ足を運んで、そのダイナミズムを体感してみることをおすすめしたいと思います。
いろんなものを見て、感性を養うというのは大事なことですからね。


P.S. ついでなんで白饅頭先生の東京話も添えておきます。