What ever this world is cruel to me.
そろそろ歌詞分析を始めたいなと思うので、その前に曲たちの印象を書き留めておきます。
トップバッターはジョン・ディーコン作「You’re My Best Friend」。彼が結婚に際し書いた曲である…らしい。出典は見つけたら追記する、ずぼらなので。
僕はそこまで曲が書かれた背景を気にしていなくて、歌詞そのものについての感想の方が強く出る。でもクイーンはやっぱり、映画を観てしまったせいで、あとたくさん情報が流れてくるせいで、背景や先入観も持ってしまうのだけれど。
本題に入ると、個人的にはこの曲の歌詞は「のんきなお花畑」という感じだ。きみのおかげで生きていけるよ、こんな世界でも、なんて。
誰かに自分の生を託すのは恐ろしい。だって親でも兄弟でもパートナーでも子どもでも、所詮は他人だもの。思い通りになるはずなんてない。全て理解しているはずなんてない。だから誰かを好きになって、愛しても、結局は自分が生み出した幻想を相手に投影しているに過ぎなくて、だからいつか必ず裏切られる。もしくは、裏切られる日が来る前に相手がいなくなる。それは別れを告げられるだけなのか、ふっと姿を消すのか、死んでしまうのかは分からないけれど。
だからこの曲の歌詞は好きじゃない。でも同時に、どうしても嫌いになれない。それはたぶん、この歌詞を書いたのがジョン・ディーコンだからだ。大事なひとが急にいなくなることを身をもって知っている彼が、こんな歌詞を書く。確かに何も考えていなかったかもしれない。でも、もしかしたら、祈りめいた何かなのかもしれない、と思ってしまう。きみがいるから生きていけるんだよ、と相手を呪いめいた美しい言葉で縛りつける。そうして、もう恐ろしいことは起こらないんだ、と自らに言い聞かせる。
こんなのクソみたいな邪推で、最低最悪だ。本人に確かめてみたいとすら思わない。そしてどこか、本人にも答えなど分からないだろうと思っている自分がいる。
この可愛くて、無邪気な歌詞が、僕には怖くてたまらない。現実は無慈悲だから。でもだからこそ、こんな歌詞があってもいいのかもしれないとも思う。どこにもないうつくしい世界、それをほんの少し夢見ることは罪ではないと思うから。だから現実の足音から耳を塞いで、いっときの桃源郷に身を委ねてもいいのかもしれない。そこからは戻ってこなくてはならないのだけれど。(だって、ずっと夢の中に住んでいたら、忘れていた現実に後ろから刺されるのです)
ところで曲自体はとても素晴らしいですね。こんなに自由なベースラインは他にはない、歌と絡み合う素敵なメロディ。エレクトリックピアノの音、効果的なドラム、そしてコーラス。そして不思議な最後のコードとベースは、ちょうど夢と現の狭間にあるようで。
もしかしたらこの夢は現実と地続きかもしれない。いやそんなはずない、いつか裏切られるだけ。そんなふうに、僕の心を揺さぶり続ける。
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