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会社をクビになりかけた人間の「家蕎麦図鑑」

丁寧な暮らしという表現をよく見かける。それも頻繁に、いろんなメディアで。わたしはというと、丁寧じゃなくていいから自分らしく力を抜いて暮らしたいなと思う。もちろん丁寧であるにこしたことはないが。

今の暮らしをあえて言葉にするなら、“体調不良にならないための慎重な暮らし”と思う。「丁寧」と「慎重」とではわけが違うし、皆が憧れるのは丁寧の方だろう。私としても慎重な暮らしを人様に勧める気にはならない。

別でも書いたが、先月会社から契約終了を宣告された。単刀直入に、クビである。私以外の多くの非正規雇用の方々が同様の目にあったようだった。会社の景気がそれほどによくないのだろう。

しかし数週間後に状況が急変。私は他部署への電撃異動が決定し、ひとまず一命をとりとめた。
完全在宅で仕事を続けられることは、慎重な暮らしを継続できることでもあるので、とりあえずほっとしている。でも派遣は3年しか同じところで働けない、どうせ短い命である。一生在宅で仕事ができる方法をより本気で模索し始めた。

とにかく人生初のクビ宣告は、心身にこたえた。私はなぜだか蕎麦を頻繁に食べるようになっていた。9月の最終週なんて、4日連続で蕎麦だった。来る日も来る日も蕎麦が食べたいのだ。昨日食べたことがなかったことのように、新鮮な蕎麦欲が沸き起こるのが不思議だった。

何かストレスを緩和させる効能でもあるんだろうか、と調べると、どうやら蕎麦には疲労回復効果のあるビタミンB群が含まれるらしい。
でも残念ながら普段食べる蕎麦は、市販の1割蕎麦。堂々と「蕎麦」と書かれたパッケージの裏には小さく「※そば粉1割未満です」などとある。つまり0.1割蕎麦の可能性すらあるのだ。
それでもそば粉がちょっとでも入っていたら蕎麦だし、実際そのような蕎麦で満足して鬼のようにリピートしている。何一つ文句を言えるような立場ではないのだ。

今週頭に、私は新しい部署へ異動した。心機一転頑張りたい気持ちと裏腹に、スマホに蕎麦の写真が溜まりすぎている。ここいらでスッキリ決別すべき。というわけで失業の危機を共に乗り越えた蕎麦たちで、記念に「家蕎麦図鑑」でも作っておくことにした。


家蕎麦図鑑

No.1 なすそば

焼いたなすをのっけたそば。
七味は使わなかった。

No.2 なす・きつねそば(つゆ少)

焼いた茄子とわかめ、揚げが乗ったそば。
つゆ少なめ。
つゆ少/なす2倍
なすは小2本使用。

No.3 なす・きつねそば(つゆ多)

つゆ多め。
寒い日にぴったりだ。

No.4 ネバネバそば

卵黄・なめこ・オクラ・納豆・のり
卵黄・オクラ・納豆・わかめ

No.5 きのこ納豆卵そば

乗せたいものを乗せたらこうなった。
※見栄え度外視

No.6 とろろ納豆そば

とろろと納豆に、青のり。
青のりからは作り手の情緒を感じずにはいられない。

No.7 とろろ納豆月見そば

スタンダード。
納豆かき混ぜ回数は多分、1回
のりトッピング
納豆かき混ぜ回数は10回程度
卵黄崩壊Ver.

番外編:鴨南蛮そば(外食)

格の違いを見せつけられた

見てお分かりいただけたと思うが、この蕎麦図鑑は誰の役にも立たない。レシピらしいレシピも一切書いてない。逆に言えば見えてるものが全てであり、そばの上に乗っているものこそが全てである。

蕎麦図鑑を作り終えた私は、容量が軽くなったスマホと共に前に進もうと思う。

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