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暴食の前は、根菜をオーブンで焼こう

5歳ごろ、人生で初めて牛丼を食べた記憶がある。
吉野家か松屋かは忘れた。多分吉野家な気がするが、5歳児にとってお店の名前のことなど意識の外である。店内で食べたか持ち帰りしたかも忘れたが、とにかく絶対に牛丼は食べたと思う。

その頃の私は割となんでも食べる盛りだったが、牛丼は初体験だったと思う。「無理だったら残せばいいよ(父が食べるから)」と、牛丼を渡された。我が家には大巨漢(父)がいたので、コスパの悪い小を頼んだ可能性は低い。だから私が食べたのは多分牛丼の並サイズである。

5歳女児にとって、牛丼並はかなり多い。「多いなあ」と思いながら食べた気がするが、量の多さ以上に「美味しい」という感情が上回った記憶がある。5歳にもわかる、わかりやすい美味しさ。牛丼はいつの時代も安くて美味しい。

周りの食べきれないという予想を裏切り、私はほぼ完食した。相当無理したことが推測されるが、

  • 序盤の「絶対これは食べられないね」

  • 中盤の「すごい食べるね〜もうちょっとで食べ切れるんじゃない?」

  • 終盤の「もういけちゃうじゃん、すごいすごい」

という両親の声を聞いて、絶対完食をしてやろうという気持ちになっていた。それに加え、父の食べっぷりもまた羨ましく、私は真似するように牛丼をかきこんだ。
完食後、「とと戸ちゃんすごいね〜」と謎の称賛を浴びて悦に浸った。店員さんにもすごいと言われた記憶があるので、やっぱり店内で食べたかもしれない。5歳児にとって周りの人の称賛は、牛丼よりも必要な栄養だ。


根菜オーブン焼きのすすめ

28歳の今、私は牛丼並を完食できないと思われる。
そもそも数年くらい牛丼屋に行っていないが、普段晩飯の米の量は100gだし、メインディッシュもそんなに量を食えない。しかも今は完食をしても、誰も称賛してくれない。そんな状況下で、牛丼並を食い切ることは、大変な困難に思える。

年々胃袋がしょぼくなってゆくが、それでも時にこってりがっつりを求めたりする。そんな時、食事の調整はマストだ。例えば夜に特大ハンバーグを食べにいくとなった場合、昼の食事は米を抜いて軽くして調整をするといった具合だ。ここでようやく表題の「暴食の前は、根菜をオーブンで焼こう」につながるわけだ。

夜に暴食を控えていたある日のお昼。
私は大量の根菜をカットしてバットに並べてオイルをかけ、オーブンで焼く。予熱あり200度で15分くらい。岩塩、ブラックペッパー、パセリなどをかける。これだけでめちゃくちゃ美味しい野菜のグリルが出来上がるのだ。

写真で見ると大したことがなさそうだが、人参は大1本、レンコンも大半個くらい使っている。野菜の全量は300gくらいだろうかな。1日350gが推奨量なので後の50gは夜の暴食で摂取すれば完璧だ。

「栄養偏ってそう、腹減りそう」という声が遠くから聞こえる気がするが、私にはこれくらいがちょうど良い。その分、夜に食欲を全開放するのだから。

「油てりてり、やばいね」という声に関しては一定の共感姿勢を持ちつつも、反論させてほしい。まず、オリーブオイルは適量であり、過度と判断された油はクッキングシートが全て吸収する仕組みになってる。
また、オリーブオイルのおかげで、「スルッと出る」の促進にもつながる。何がスルッと出るなのかはこういう記事で書くわけにはいかないので、ご容赦願いたい。

「飽きそう」という声もどこからか聞こえる気がするが、飽きない。

フライパンより俄然オーブン派

オーブンは面倒だという声もあると思う。
確かにオーブン機能を使うのはなんとなく気が重くなるのはわかる。
でもオーブンは待ってるだけでできる。下手をしたらフライパン料理よりも楽かもしれない。しかも芯まで焼けるので、フライパンより美味しい。
オーブンを使わない理由があるだろうか。

そして味付けやレシピに迷うこともなく、丸ごと素材の味を楽しめて、栄養を惜しみなく吸収できる。サラダでもいいのだが、オーブンで野菜を焼くとリッチな気分になれるのがまた魅力。これにスープなどをつけて食べれば「軽いけど栄養のある、リッチな昼食」が完成する。

根菜ギャラリー

「美しいにんじん」
「可愛げのあるレンコン」
「にんじんとれんこんの共存」

私はやや偏食傾向にあるので、このやり方は万人にお勧めできるものではないかもしれない。私と同じく野菜が好きで、胃袋がしょぼいひと限定で、是非ともおすすめしたい。

ここまで書き終えて、母に「幼稚園の時、牛丼食べ切ったよね?」とLINEしてみたところ、全くもって記憶にないようだった。あんなに褒めてくれたじゃんという気持ちだ。私はところどころぼんやりだが、食べたという記憶がある。私の牛丼の記憶は幻なのだろうか。年々、真相がわからぬままのことが増えていく気がする。

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