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舞台『絶叫』は、静かな箱から。

こんばんは、とはずです。

先日、初めてアマチュアの学生演劇より、1つ上のランクの舞台を鑑賞し、新しい発見がいくつかあったため、つらつらと書き連ねていこうと思います。

舞台『絶叫』について

『絶叫』は、映画や舞台の企画制作等を行う "STRAYDOG" 30th Anniversary Produceとして、2023年6月1日〜6日まで、池袋のシアターグリーンBox in Box THEATERにて開催をしていた演劇作品です。

チラシ

原作は、葉真中顕『絶叫』(光文社文庫刊)。以下、ストーリー。

「鈴木陽子」という女の遺体が発見された。
よくある孤独死と判断されたその事件だが、不審点が多いことに気づいた刑事・奥貫綾乃は、
陽子は誰かに殺されたのではないかと疑う。
調べが進むうち、生前の陽子は、
刺殺体で発見されたNPO法人『カインド・ネット』代表の神城 武と繋がりがあることが発覚する。
鈴木陽子は何か大きな事件に関わっていたに違いない……。
陽子は一体なぜ死んだのか? 誰かに殺されたのか?
彼女はどんな人生を歩んできたのか?
綾乃は陽子の生きた軌跡を辿り、ある一つの可能性にたどり着く。
果たして、「鈴木陽子」の人生の結末は、地獄だったのか、幸福だったのか──

https://www.straydog.info/2023zekkyou

1人何役?演じ分けるプロの技

キャスト一覧等

『絶叫』の出演者自体は、20名ということもあり、少なくもなく多くもなく…という印象でした。しかしながら、それぞれに個性的な役及びダンサー等を演じ分けて、役に色を付けているように思えました。
また、一際目を引いたのは姥山莉音さん。16歳という若さであっても、物怖じしない演技と歌唱を披露していました。
物語のブリッジとなる歌・ダンスの場面では踊りつつも華麗に歌い上げ、物語の鍵を握る主人公の弟役も難なく熟すその姿は、カメレオン俳優そのものでした。

違和感なくスッキリとする脚本

ミステリを舞台上で演出する際に、合ってはならないのはストーリーの辻褄が合わないことだと思います。しかし、『絶叫』ではそのような齟齬なく、すんと腑に落ちる謎と伏線回収が見事だったと感じました。
原作を読んでみたいと思わせるほど、二次創作物としてもとても良い出来だったと思います。

舞台の転換の美しさ

本作では、過去と未来を交互に演出したり、警察から事件現場へと瞬間的に移動したりと、時間と場所の変更が頻繁に挟まれます。
その際には、歌やダンスで視線を奪うのはもちろん、その場に在るはずのブルーシートで隠しながら、など、舞台の雰囲気を壊さずに転換する工夫がみられていました。

おわりに

初めの観劇。静かで小さな箱の中では、想像以上に、濃密で驚嘆な感激の時間が流れていました。まるで、びっくり箱のようだと、思いました。

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