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脂溶性ビタミンまとめ

次の脂溶性ビタミンの組み合わせのうち、誤っているものを2つ選べ。

1. ビタミンA ——— トコフェロール
2. ビタミンD ——— カルシフェロール
3. ビタミンE ——— レチノール
4. ビタミンK ——— フィトナジオン

回答は決まりましたか?
ところで、アルファベットの覚え方ですが、皆さんはどのように覚えていますか?
私は、脂溶性ビタミンはこの4つだけ! (DAKE) と覚えています!
よろしければ参考にしてください。
では、解答の発表です。




答え 1,3

正しくは、以下の通りです。
ビタミンA ——— トコフェロール
ビタミンD ——— カルシフェロール
ビタミンE ——— レチノール
ビタミンK ——— フィトナジオン

1つずつ、解説していきます。



ビタミンA

概要

ビタミンAはレチノール、レチナール、レチノイン酸の総称です。
名前の種類は酸化状態の違いからです。
オール、アール、酸と名前の語尾についたらビタミンAです。

作用

細胞分化や目の光刺激反応に関わるため、代表的な不足症状として夜盲症があります。

覚え方

目と関連するので、「ビタミンめえー(A)」と覚えましょう。

補足

レチノイン酸はその細胞分化に関わる作用により、急性全骨髄球性白血病において有効だと考えられています。

ビタミンAの化学構造。
左からレチノール、レチナール、レチノイン酸である。


ちなみに、にんじんの橙色成分であるβ-カロテンは、ビタミンAの前駆体で、体内でビタミンAに変換されます。
構造からビタミンAが2つ結合した形に見えますね!

β-カロテンの化学構造。

ビタミンD

概要

ビタミンDはD2(エルゴカルシフェロール)とD3(コレカルシフェロール)の2種類があり、前者は植物から、後者は動物から摂取することができます。

作用

主に、血中カルシウム濃度の維持に寄与します。
肝臓および腎臓で活性化されたビタミンDは、各細胞内に存在するビタミンD受容体を介し、腸管からのCaの吸収促進や、骨密度の維持等の作用を示します。
作用するには、活性化が必要です。
肝臓で25位がヒドロキシ化された後、腎臓で1α位がヒドロキシ化されて、活性型ビタミンDとなります。
活性化される臓器は最低限おさえておきましょう。

覚え方

カルシウムとカルシフェロールで関連させて覚えましょう!

補足

ビタミンDは、皮膚が紫外線を浴びることでも合成されます。
皮膚に存在する7-デヒドロコレステロールが紫外線を浴びると、構造の一部が開環し、ビタミンDになります(図参照)。
乳幼児が日光浴を極端に避けるとビタミンDの合成がされなくなり、くる病に繋がることもあります。

ビタミンE

概要

ビタミンEの有効成分はトコフェロールです。

作用

ビタミンEは抗酸化作用血管拡張作用をもつため、血行促進作用があります。

覚え方

血流の流れをよくするため、トコフェロールの「トコ」からトコトコ歩くイメージを持つと覚えやすいと思います!


トコフェロールの化学構造。

ビタミンK

概要

有効成分はビタミンK1がフィトナジオン(フィロキノン)、K2がメナキノンです。

作用

血液凝固骨形成に関与します。
骨形成を促すタンパク質に作用し、カルシウムを骨に取り込ませる働きがあります。
ビタミンDも骨に関わるのでややこしいですが、
D=素材集め
K=合成促進
とざっくり分けて覚えておくとよいでしょう。

覚え方

語尾に-oneとついたらビタミンKと覚えておくと良いでしょう。
下記構造式の赤丸の部分が語尾の-oneの由来です。

フィトナジオンの構造式。

補足

血液抗凝固剤のワルファリンはビタミンKと拮抗することで、血液凝固能を阻害する薬物です。
そのため、ワルファリン使用中に、ビタミンKが豊富な納豆等を食べてしまうと、その効力が落ちてしまいます。


脂溶性ビタミンについては以上です!
お疲れ様でした!

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