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6月はもう従わない

 
 顧客だった呑み屋の店主さんの何人かが言っていた。
 
「6月になったら、なにがなんでもお店を開ける」、と。
 
 ぼくは調査員などではない。それに販売業をやめた身だ。だから、聞いたサンプル数が多いわけではない。でも現在の職業に関わっていることなので、呑み屋さんと連絡を取ることは多い。日に数件といったところか。だからあながち、極端に偏ったデータではないだろう。そのぼくのデータでは、聞いた半数の業者が、
 
「国や都の要請になんか、これ以上従わない」
 
 
と言っていた。
 
 現在繁華街では、ぽつりぽつりと、酒類を提供している店がある。休日など、それらの店は賑わい、入店待ちをしている客の姿も見受けられる。
 そんな状況だ。だから6月以降、おそらく半分のその半分、25パーセントのお店が休業要請と酒類販売禁止に従わなければ、残りの75パーセントも営業しだすだろう。なにしろその25パーセントが盛っているのだ。そんな他店の繁盛ぶりを見て焦らない店主はいないだろう。「なんだよぉ、じゃあオレも!」となって当然だ。
 
 
 ぼくが話すのは以前の顧客が多く、彼らは屠場直送のモツを使っていることで分かるように、こだわりを持った店の主だ。だから、テイクアウトに関しては、横目で見るしかない状況に置かれていた。テイクアウトはチェーン店の方に利がある。から揚げでもポテトでも、冷凍ものが使えるからだ。
 
 個人店でテイクアウトに食材のレベルを落としたら、買いに来たイチゲンさんに、「ここはいつもこんな安っちいの使ってんのか?」と思われてしまう。チェーンのから揚げやなりファミレスなりは通常営業で安っちいブラももを使っているのだから、テイクアウトもそのまま出せばいい。
 因みにブラももとは、ブラジルの冷凍鶏もも肉のことだ。ざっくり言うと、価格は国産冷蔵鶏もも肉の半分。日持ちは100倍だ。こだわる個人店では、単なる国産ではなく、東北や九州のブランド物を使っていたりする。言うまでもないが、その分価格も上がる。
 
 しかし、仕入れ値がちがうからといって、販売価格を倍にはできない。テイクアウトの弁当やつまみにはだいたいの相場がある。
 
 昨年の緊急事態宣言では豪華なテイクアウト品が出回っていたが、あれは短期間泣こうと覚悟した店主の、サービス品だったのだ。
 
 
 
 とにかく、個人店はテイクアウトでは黒字を出しにくい。また、店が自分の「居場所」であり、世の中に自分という人間を「アピールする場」でもある。そんな場所を長期間放置して、荒れていくことに耐えられないだろう。串打ちや包丁の腕が落ちてしまう不安もある。
 
 
 また呑み屋の人間というのは、テレビを観る時間が勤め人より長い。テレビ据え置きのお店が多く、仕込みの段階から付けているからだ。しぜん、あの政治家たちの能無しぶりを長く観ることになる。あの他人事感丸出しの態度やしゃべりを、一般人以上に多く目に入れているのだ。「こんなくだらねぇ連中に振り回されたくねぇ」と思って当然だ。
 
 現政権トップが、もしかしたら裏でとても重要な仕事をこなしているのかもしれない。外国トップとワクチンや紛争の件で駆け引きしたり、など。とてもそんなことしているようには見えないが、でも一般人には分からない部分なので、絶対ないとは言えない。
 しかし少なくとも、国民に向けるパフォーマンスということに関しては、ゼロ評価だ。いやいや、大きくマイナス評価だろう。これは政治手腕とちがって目に見える部分なので、言い切れる。あのトップを見ていると、世の中に「話し方教室」や「男性用エステ」があるのがよく分かるというものだ。
 
 とにかく歴代トップ中、最悪の部類だろう。平成しょっぱなに3ヶ月で辞めたトップと、双璧と言っていいかもしれない。
 少なくとも現トップの出現で、これ以降総理になる人間は「国民に向けたパフォーマンス」という点では楽になった。打率1割台の選手のあとにスタメン起用されれば、2割でも活躍しているように見えてしまう。
 
 
 
 呑み屋が宣言を無視してやり始めたら、人出も増えるだろう。暖かくなって出歩きたい時期になるし、それまで抑えられていた反動もある。そうなった場合、あの、国と都の無能トップはどういう判断をするのだろう。より強く出るのかもしれない。罰則規定を強めたり、とか。国はともかく、都の方はそういう動きをするのではないかと、いくぶん思えてしまう。

駄文ですが、奇特な方がいらっしゃいましたら、よろしくお願いいたします。