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さよならは僕から言う。

『スイカ割り』が嫌いでね 

なんつーの ほら、あれさ、なんか、どーなの?あれ 
なんか がっかりしない?スイカ割りって! 
あのね、僕が言ってるのはあの割った時のあの感じでさ! 
なんかさ、汚くない?見た目が! 
もっとこう美しく割れるんだったらいいよそりゃ! 
スパッとさ、長刀か何かでよ! 
棒で割るでしょ?大きく振りかぶって「ボイっ!」って! 
そしたらさ「びちゃぁぁぁ」ってなるでしょスイカが! 
あのさ「びちゃぁぁぁ感」たっぷりなスイカの姿がよ!どーもさあ! 
だいたいあれって割った後食べるよね! 
なんかあの姿見ると食欲薄れません? 
「ああ、これからこれ食うんだ…」みたいな何かそんなさ! 
あれって目隠しして目標物を叩くってのが面白いんだよね? 
見事命中したら「ヒャッホーイ♪」って感じがよ! 
じゃあさ!スイカじゃなくてもよくね? 
松ぼっくりとかじゃダメなの? 
せんべいとかさ!せんべいだったら1年中できるよね! 
あのーほら浜辺とかでビニールシート敷いてやってる時もあるじゃん! 
あれもさ、絶対砂とか入るよね?スイカに! 
でそれを食べるよね! 
食べると絶対砂のジャリジャリ感があるし!砂食ってるし! 
もう不快で仕方ないわけよ! 
ふつーに食えばいいんじゃないの?すいかは! 
なんで叩くの?ねえ!叩くと食べるは別!全くの別物! 
そう例えるなら、まあ今パッと浮かばないけど、別だろ確実によ! 
他に浜辺で棒で叩いてから食べるものある?ないでしょ? 
意味わかんねえな俺は! 
友人にその事話したらさ! 
「そのジャリジャリを感じるのも夏らしくていい」みたいなこと 
言いやがったの! 
じゃあよ!お前よ!ジャリジャリでよ!夏を感じるんだったらよ! 
公園行ってよ!砂場の砂でも食ってろ!バカ! 
季節関係なく夏を感じれるよ!砂さえ食えばね!おめでとう!
おめでとう!おめでとう!おめでとう!おめでとう!


あのね、あのさ、ちがうの、ちょっと聞いて 
むかしね、僕らが生まれるずーと前、まだ日本人の殆どが貧しい時ね 
スイカが食べたくても食べれない人とかいたと思うのよ 
ある少年がいた。少年は当時、重い病気にかかっていた。 
病院に行って治療を受けるお金も無くただ自宅で横になっているだけ。 
少年の父親は戦死。母親が一生懸命看病をしていたが、 
日に日に少年はやつれていった。 
少年は細い声で母に言う「お母ちゃん…僕…スイカが食べたい…」 
母が涙をこらえ答える 
「ごめんね きよし…お母ちゃんきよしが食べたいものも買ってきてあげられない…ごめんね…ごめんね…」 
「ううん…僕こそ わがまま言ってごめんね…僕将来お金持ちになって 
お母ちゃんにスイカをたくさん食べさせてあげるんだ…あげるんだ…」 
「きよし…ありがとね…ありがとね…ううっ…」 
「お母ちゃん…楽しみにしててね…スイカを…お母ちゃんに…」 
「きよし…もう今日は眠りなさい…おやすみきよし…」 
「おやすみ…お母ちゃん…」 

それがきよしの最後の言葉だった 


泣けてきた。自分で書いてて泣けてきたよ。 
わかるかお前ら。なあ。いいか? 
こんなよ!食えなくて逝った人々のよ!気持ちをよ!わかるか! 
そんな気持ちを踏みにじり! 


今年の夏も! 

お前らは! 

スイカを! 

鈍器なようなもので! 


なんか眠くなってきたわ

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