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ごせんぞ 【童話】

しろねこくんは、悲しんでいました。
「ぼくはひとりぼっち!
 だれも助けてくれない
 だれも守ってくれない」

そこにカラスのクロくんが飛んできて言いました。
「そんなことないよ おれ、見えるよ」
「見えるって何が?」
しろねこくんはききました。
「おまえを守ってる ごせんぞ」
とクロくんが言いました。
「ごせんぞ!?」
しろねこくんはびっくりしました。

「おまえの後ろに2人いる」
「みずたまもよう くちひげのあるねこ
左耳にぶちもよう めがねをかけたねこ」
とクロくんが言いました。しろねこくんは心当たりがありました。
「あっ それは、ぼくのおじいちゃんとおばあちゃんだ!」

「その後ろに4人いる」
「顔の右と左にぶちもよう くちひげのあるねこ
 ほっぺがふわふわ まつげのながいねこ
 しかくいめがね 左耳と顔の右にぶちもようのねこ
 しましまで ぱっちりとしためのねこ」
とクロくんが言いました。しろねこくんは少し考えて言いました。
「きっとそれは、ぼくのひいおじいちゃんとひいおばあちゃんだ!」

「その後ろに8人いる」とクロくんが言うので、しろねこくんはいいました。
「きっとそれは、ぼくのひいひいおじいちゃんと、ひいひいおばあちゃんだろう。見たことはないけれど…。」

「そのうしろに16人いる」
「きっとそれは、ぼくのひいひいひいおじいちゃんと、ひいひいひいおばあちゃんだね。見たことも会ったこともないけれど…。」

それからクロくんは高いところから眺めて言いました。
「その後ろに32人、そのうしろに64人いる。その後ろは、もうよく見えないけど…。だんだん上に登ってる。金色に光ってる。
「がんばれ」「まけないで」「いつもみまもっているよ」「だいじょうぶだよ」って言ってるよ。」
しろねこくんは、たくさんのごせんぞさまが応援してくれているのを知って、うれしくなりました。
「そうか、ぼく、ひとりぼっちじゃないんだね」
しろねこくんが言いました。
「うん、たくさんの応援団が、おまえのうしろにいるんだよ。
 いつも、どんな時もね!」とクロくんが言いました。
しろねこくんは、背中がぽかぽかあたたかくなるのを感じました。



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