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キャリアコンサルタントはなぜ役に立たないと言われるのか。

キャリアコンサルタント(通称キャリコン)は役に立たない、意味ない、仕事ないと言われるのを見たり聞いたりしたことがあるのではないでしょうか。もしかしたら、読者の中にもそう思われている方もいるかもしれないですね。

実際に、「役に立たない資格 ランキング」とかで調べてみると、キャリコンを上げているサイトも簡単に見つかります。

漢検5級と比較すると役に立ちそうだと思う(※完全に主観です)のですが、取得にかかる手間が全然違うのでそういう "コスパ" 的な面での評価も入っているのでしょう。
実際に、キャリコンを取得するのは時間的な面で自動車免許を取得するのと同じくらい大変です。自動車免許と同じように学校に通って合計150時間程度の学習を行ってから免許(資格)センターにて試験を受けて合格することで資格が取得できます。

この記事はどんな人が書いているのか

私は普段は開発や採用やPMなどをしております。

現在、キャリコンの学習が終わって、あとは試験に合格するだけなのでキャリコンの卵です。つまり、厳密にはまだキャリアコンサルタントではないですが、勉強した中で感じたことを新鮮なうちに忘れないように残そうと思い筆を取りました。

2つの理由から役に立たないと思われているのでは?

まずは、私の結論を述べます。役に立たないとは言い切れないが役に立たせることは難しい、と私は思ってます。

ここから役に立たせることが難しい理由を説明していきます。まずは、役に立つ、という言葉の定義をしたいと思います。ここでは、「資格保持者にとって他の資格と相対的に考えて経済的な便益が大きい」と定義します。

なぜ、役に立たない/役に立たせるのが難しい、のでしょうか?それには2つの理由があります。

1つ目は、市場が小さい/弱い
2つ目は、得られるスキルが抽象的である
それぞれについて解説していきます。

1 市場が小さい/弱い

そもそも、キャリアコンサルタントはどこにマネタイズポイントがあるのでしょうか。基本的に、キャリアコンサルティングが発生するケースは相談者が何らかキャリアに悩んでいる時です。主にはライフイベントや転職などが対象となることが多いです。

その領域で類似のビジネスとしては、人材紹介業(人材エージェント)がメジャーです。実際にエージェントさんでキャリアコンサルタントの資格を保持されている方もたくさんいらっしゃいます。
人材紹介業では、基本的に企業側から報酬をもらっております。では、キャリアコンサルタントとして相談者に関わる際に、誰から報酬を受け取るのでしょうか。相談者もしくは転職先企業になるかと思います。ちなみに両方からもらうのはルール上NGです。

企業からであれば人材紹介業の相場を考慮すると100万~ X00万程度の報酬が想定できます。では、相談者からだとどうでしょう。私の感覚では100万円の報酬を受け取ることは難しいです。

では、企業側につくかというと、それも難しいと思います。
なぜなら、相談者は転職の斡旋をして欲しくて相談に来ているわけではないからです。相談者は今の状況を整理して、これからどうしていくべきかを定めるために相談に来ています。その結果として、もしかしたら転職という選択をする可能性もあるだけです。

加えて、キャリアコンサルティングで想定している相談者は、基本的に弱者です。(あえて強い言葉を使っていますが差別的な意味は全くないです。)
ここでの弱者とは、コモディティ化しているスキルしか保持していなかったり特別な経験や実績を積んでないなどで、人材市場でのニーズが低く、雇用主に対して弱い立場である方を指します。
この点でも所謂、お金を持っている顧客を相手にする資格(税理士や宅建士)と比較すると、報酬が少なくなることは明白です。

これらの理由で、多くの資格保持者にとって経済的な便益を得づらいのではないでしょうか。

2 得られるスキルが抽象的である

資格を取得するということは何らかのスキルを取得/証明するということです。税理士であれば、税務に関する知識があり、納税代行ができるでしょう。社労士であれば労務に関する知識があります。

では、キャリアコンサルタントの資格で得られるスキルとは何でしょうか。

相談者のキャリアのコンサルティングができますね。

…つまり、何ができるんでしょう。

私はキャリコンできることは、傾聴することと状況を理解して未来を一緒に想像すること、だと思ってます。


余談ですが、人の話を聞くことってすごく難しいですよね。皆さんが最後に話を聞いてもらったのはいつですか?逆に最後にちゃんと話を聞いたのはいつですか?

ハッとした方は、少し前に話題になったこの本を是非。
LISTEN――知性豊かで創造力がある人になれる 


では、これらのスキルが必要な職種って何でしょう?
一般的な企業では、所謂プレイヤーではなくピープルマネジメントや現状を把握して改善する/未来を描くことが必要なのはマネージャーなどの比較的高いポジションではないでしょうか。
実務の経験はないけど勉強してきました、みたいな人をそのようなポジションで登用するでしょうか。多くの組織はしないと思います。そういう面ではMBAなど経営の資格と似ているのかなと思います。
「大学を卒業してMBAを取得しました!働いたことはありません!」という人に最初から経営を任せないですよね。

では、MBAとキャリアコンサルタントを比較してみましょう。私はMBAを持っていないければ取得を検討したこともないので想像ですが、キャリコンよりMBAを取得した方が出世や収入UPが見込めるのではないでしょうか。
(キャリコンの方が出世や収入UPに繋がる、というデータや感覚をお持ちの方は是非コメントください。)

これらの理由で、多くの資格保持者にとって経済的な便益を得づらいのではないでしょうか。

それでもキャリコンを取得する意味

確かに、キャリアコンサルタントはコスパが悪く、取る意味が(すく)ないという意見は、その通りだと思います。(しっかり便益を得られている人もいらっしゃいます。)

しかし、経済的な便益が少ないから価値がないとは思いません。私はキャリアコンサルタントを取得する価値を感じています。

キャリアコンサルティングの大まかな流れは、
1. 傾聴する
2. 解決方針を決める
です。

傾聴とは:
相手の話を、相手の立場に立って、相手の気持ちに共感しながら理解しようとする。相手の話を善悪の評価、好き嫌いの評価を入れずに聴く。相手の話を否定せず、なぜそのように考えるようになったのか、その背景に肯定的な関心を持って聴く。

カール・ロジャーズ

私は普段の仕事では2. 解決方針を決める の比重が大きいです。その結果、1. 傾聴する ができなくなっておりました。
つまりいつの間にか相手の立場に立って気持ちに共感することができず、自分の物差しでしか考えられなくなっていました。自分の物差しでしか考えられない危険性は枚挙にいとまがありません。(政治的分断、宗教的分断、差別、紛争・戦争、身近なものだとSNSの議論の皮を被った誹謗中傷など)
このように自分の思考が凝り固まりかけていることに気づくことができただけでも非常に価値がありました。

そして何より、家族が、友人が、同僚が、周りの人が幸せなキャリアを進む支援ができることは経済的な便益とは違う次元で価値があることだと思います。

最後に

この記事は、ネットに意味ないと書かれていたけど意味あると思っている、まだ資格も取得していない素人が現段階で感じたことを書いております。「素人が何を言ってるのか。キャリコンには良いところがもっとある。」という意見をお持ちの方はコメントを是非ください!

また、反対に「キャリコンは意味ないよ」ってご意見の方もコメントお待ちしております。議論しましょう!

ご拝読ありがとうございました。


キャリアコンサルタント取得に興味がある方向け

キャリアコンサルタント取得には結構な時間がかかります。さらに、費用面でも自動車免許の学校と同じくらいかかります。30~40万くらいです。安くはないですよね。

なんと、今なら国の補助によって最大70%がキャッシュバックされます。(※一定の要件があります)
詳細は「キャリアコンサルタント 専門実践教育訓練給付金」などで調べてみてください。


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