「いい時間帯の先制点」は存在するか?[2020J1]

 こんにちは。咎メルです。サポーターの皆さんお元気ですか。僕は遠征に行けないので泣いています。

サッカー中継を見ていると先制点が入った時に実況・解説の方が「いい時間帯にとりましたね〜」と言うことがありますよね。そこで思いました。「先制点にいい時間なんか存在するのか?」って。ってことでJ1だけですが調べてみました。

・前提

まずは先制点を取ったチームの勝率を調べます。

SPAIAさんのこちらのデータによると2003〜2016年のJ1リーグでの先制点を取ったチームの勝率は67.33%だそうです。なのでざっくりいって先制点を取ったら2/3の確率で勝つってことですね。ここを基準に考えて特定の時間帯に先制点を取った場合の勝率がこれを上回れば「いい時間帯の先制点」と言うことになるのではないでしょうか。ちなみにドローは19%らしいので合わせると先制したチームが勝ち点を獲得する確率は86.33%。ってことは負ける確率は13.67%。先制しておいて負けるのはマジかよ・・・ってことですね。

・時間帯

では次に時間帯の設定です。あんまり細かく分けても傾向が出ないかなという事もあり15分ごと、つまり1-15,16-30,31-45,46-60,61-75,76-90分に分けて分析していきたいと思います。ロスタイムでのゴールは31-45,76-90に含めます。

・分析対象

2020J1の1〜13節の0-0で終了した以外の103試合が対象です。

・全体像

では早速103試合全体の数字です。

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グラフ内の数字は実数になります。グラフはgoogleスプレッドシートになります。なんかフォントがすごいギザギザ…。
比率としては先制点勝利が66.99%、引分が17.48%、負けが15.53%となっています。上記のSPAIAさんのデータからそこまで乖離はしてないですね。なのでやはり基準はそのままでOKかなと。ここで大きく数字が異なるようであれば過密日程の影響が!とかいう展開もあったんですが特に無しです。

・時間帯別

次に時間帯別の数字を見ていきましょう。

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前半に先制点が入る試合が多いですね。77.6%が前半でした。過密日程関係あるのかな。思ったより高いなって感じです。6割くらいかなーって思っていた。


比率にしてみました。

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前半に関しては遅く取れば取るほど勝利しています。試合開始直後の失点は残り時間も十分ですしメンタル的にそこまで落ち込まないのかもしれません。かたや前半終了間際の失点だとメンタル的にガクッときてしまうんですかね。8割近くのチームが勝利しています。ハーフタイムがあるので立て直せる気もするんですが。実況・解説でも前半終了間際の得点は「いい時間帯での得点」と言いがちな気がするのであながち間違ってはいないのかもしれません。
後半はそもそも母数が少ないのも関係あるかもですが面白い結果です。立ち上がりに得点しても勝てません。むしろ負けます。謎。謎すぎる。70%以上のチームが負けかドロー。この後半立ち上がりも「いい時間帯」を言われがちな気がするのですがそれは嘘でした。これからは後半立ち上がりに先制したらむしろヤバいことになると思いながらの観戦になります。失点したチーム的には前半0-0でさぁこれからって展開での失点なのでがっくり来ないのかな。後半立ち上がりに失点したことで逆に開き直れるのかもしれません。後半の中盤以降は点とったら勝ち!状態。残り時間が少ないので守りきれる&相手が焦るのでカウンターから得点みたいな展開でしょうか。そもそもこの段階まで無得点で推移したそれぞれの守備陣が頑張ったなというところもあると思います。

こちらのデータでは
・前半ゴールしたら大分有利!
・後半立ち上がりのゴールは気をつけろ!
・後半の中盤以降のゴールはほぼ勝てる!
というところでしょうか。

・節別

次は各節のデータ見てみましょう

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ちょっと数字が小さくてすいません。左の数字は節です。
0-0だったりサガン鳥栖絡みの中止があったりなので各節7~9試合となっています。
大体各節5,6チーム勝利してれば平均の範囲かなと思います。
開幕節、4節、7節、11節、13節が勝利チームが少ないですね。
このまま過密日程が進んで選手が疲労していけば先制点がより重要になっていくかと思われます。あーでも先制するのにエネルギーを使って逆転が増えていくかもしれない。ちょっとわからんぞ。いずれにせよ疲れてないチーム。つまりルヴァン敗退チーム、ACL無し、選手層厚いチームが有利なりますね。この辺は別にこのデータがなくてもそりゃそうだろって感じです。こういう事もあります。

・チーム別

ではチーム別にみていきましょう。まずグラフです。

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順番は13節終了時(26節の結果含む)の順位で並べてあります。
当たり前かもしれませんが上位チームはそもそも先制をしている試合が多く、先制したら勝利しています。気になるチームとしては
・FC東京:上位の割に先制試合が少ない?→逆転力が高い?
・マリノス:ドローがなく逆転負けが2試合
・鹿島:先制試合が少ないのにこの順位→逆転力が高い?
・神戸:先制したのにドロー・負けの方が多い
・横浜FC:先制すれば負けないのに下位
・大分:逆転負けが多い
・湘南:逆転負けが多い
上記のチームをそれぞれ時間帯別にみてみましょう

・FC東京※26節を除いています
13節消化時点で7勝4分2敗。7勝の内5勝が先制試合となっています。2勝が逆転。4分の内3試合が先制されてからのドロー、1試合が0-0です。2敗については両方とも先制されています。
先制の時間帯については
・  1-15分:1試合
・31-45分:3試合
・61-75分:1試合となっています。
FC東京については先制された試合でも勝ち点を拾っています。
先制された試合は7試合で結果は2勝3分2敗(勝ち点9)です。前述の先制チームの勝率通りだとせいぜい1勝2分4敗(勝ち点5)なので確率より4も多く勝ち点をゲットしています。これはデカい。先制されても勝ち点を拾う力はとても重要だと思いますので別記事でまとめてみたいとおもいます。

・横浜・F・マリノス※29節を除いています
13節消化時点で5勝3分5敗。5勝の内4勝が先制試合になります。1勝が逆転。3分すべてが先制されてからのドロー。5敗については2敗が逆転負けとなります。チームの方針として最後まで追加点を取りに行く!という方針のようですので引き分けが少なく見ていてスリリングな試合になっているかもしれません。
先制の時間帯については
・  1-15分:3試合(1勝2敗)
・31-45分:2試合(2勝)
・75-90分:1試合(1勝)となっています。
先制試合の敗戦が1-15分のみなのが興味深いですね。やはりチーム方針が攻撃重視なので先制してもそれでも攻めに行った結果逆転されてしまうのかもしれません。それか先制した結果相手が攻撃的になる→受け身になると弱い。みたいなところですかね。ちなみに1-15分の1勝は清水戦の4-3でした。もしかすると立ち上がりはペースをコントロールして相手をうかがった方がいいのかもしれません。でもそうなるとマリノスっぽくないしなーというところもあります。むずかしい。

・鹿島アントラーズ※26節を除いています
13節消化時点で4勝3分6敗。4勝中2勝が先制試合、3分中1分けが先制試合。6敗中逆転負けは無しです。先制が13試合中3試合ってのは少ないですね。上部のグラフの通り目立って少ないです。しかしながらこの順位にいるということは先制されてもそこから得点する力が高いということになります。被先制からの勝ち点奪取能力が高いのは素晴らしいことですね。もしかしたら立ち上がりが弱いのかなー。やはり各チームの被先制からの勝ち点獲得の傾向を探る必要がありそうです。

・ヴィッセル神戸※24節を除いています
13節消化時点で4勝5分4敗。4勝中3勝が先制試合、5分中3分が先制試合。4敗中逆転負けは1試合です。先制試合は7試合で結果は3勝3分1敗。確率と比較するとちょっとドローが多いですね。5勝していてもおかしくないところです。
先制の時間帯については
・1-15分:2試合(1勝1分)
・16-30分:2試合(2分)
・31-45分:2試合(1分1敗)
・61-75分:1試合(1勝)となっています。
前半に多く先制しているんですがその割に勝てていないという印象ですね。
神戸は基本ボールを保持したいチームだと思いますので受けに回ってしまうと弱いのか、リード時の時間の使い方に問題があるのか。試合をうまくクローズすることができないのかもしれません。逆に言うとそれができるようになればめちゃくちゃ強くなるってことですよね。イニエスタがいる間に選手みんながそのあたりを習得してほしいところです。

・横浜FC
13節消化時点で4勝2分7敗。4勝中先制が4試合、2分中先制が2試合。逆転負けは無しです。先制したら勝つけど先制されたら勝てないってことになります。先制されると追いつくこともできないっていうのはなかなかつらいですね。立ち上がりからぶん殴りにって何としても先制点を奪うしかないです。
先制の時間帯は
・1-15分:1試合(1勝)
・16-30分:4試合(3勝1分)
・31-45分:1試合(1分)となっています。
このチーム完全に先行逃げ切り型や!やっぱ試合開始から殴りに行くしかありません。
ちなみに先制された試合は7試合あるんですが6試合が前半の失点なので前半の出来が結果に大きな影響を与えているようです。もしかしたら後半得点できる交代カードが貧弱だったりするのかもしれません。早い時間に先制されてもしぶとく勝ち点を拾えるようになると順位を上げられそうですね。

・大分トリニータ
13節消化時点で3勝3分7敗。3勝中2試合が先制、3分中1試合が先制、7敗中3敗が逆転負けとなります。逆転負けが多くて悲しい…。追加点が奪えないのか失点するとズルズルいってしまうのか。ただ逆転勝ちは1試合あるし追いつきドローも1試合あるので一概にそうも言えない気もします。
先制の時間帯は
・1-15分:2試合(2敗)
・31-45分:2試合(1分1敗)
・60-75分:2試合(2勝)となっています。
前半に先制すると勝てないという結果になりました。前半に得点できているということは当然いいことなのでその後失点しないようにしたいところですね。リード時の振舞いに問題があるのかもしれません。ちなみに13節中前半を0-0で終えたのは1試合しかありませんでした。積極的なサッカーをしているのかもしれません。

・湘南ベルマーレ※13節は中止
12節終了時点で1勝1分10敗。1勝は先制、10敗中先制は3試合となります。そもそも負けが込んでいるというのもありますがそれでも4試合先制して3敗逆転負けは辛いものがあります。もう1,2勝してもいいところなのですが。チームスタイル的に後半スタミナ切れで失点ているのしかもしれないです。
先制の時間帯は
・1-15分:1試合(1敗)
・46-60分:2試合(2敗)
・61-75分:1試合(1勝)となります。
データ上「魔の時間帯」とされる46-60分に2試合先制して2敗してます。この時間に先制してそこから少なくても2失点するのはキツイですね。ちなみにこの2試合の相手はマリノスとフロンターレでした。この2チームならしょうがないかという気もしますが。12試合で得点10なのでまずはそこからですかね。失点はリーグワーストではないですし。もしかしたら過密日程の影響を一番受けているチームなのかもしれません。

・おわりに

ということで先制点とその時間帯について調べてみました。
先制点とれば有利ってのは当たり前ですが後半の立ち上がりは注意というのはなかなか驚きでしたね。とはいえシーズンが進んでいけばこの辺りは変わっていくのかもしれません。
また、マリノス・ヴィッセルのようなボールを大事にするチームは逆転されることが多く、リード時の振舞いが発展途上ということが出来そうです。逆に言うとそこを覚えたらものすごい強いってことです。
下位チームについてはいろんなパターンはありますが選手層の薄さが要因の一つかなと思います。勝ち逃げにせよ逆転狙いにせよ交代カードで局面を変えられる選手がいるといいのですが。
先制されても追いつく・逆転するチームについても調べたくなったのでそれは別の記事にしたいと思います。

読んでいただいてありがとうございました。

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