「たくさん輝いていてえらい」 ※シャニマスの話


・シャニマス近況。つい昨日の事、シャニマスを始めてからずっと必死にプロデュースをしてきた『事務所。静寂。大輪の華』大崎甜花さんを、ようやくWING優勝へと導く事に成功しました。おまけに念願だったtrue endを見る事が出来て、彼女の成長に感涙した次第です。

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・フラッシュザウルスのコツがつかめた私は、true研修を利用して、まだプロデュースカードを持っていなかった芹沢あさひさんとWINGに挑戦。無事にtrue endに辿り着く事が出来ました。

・二人ものアイドルを最高潮に輝かせたその夜は、ここ最近では類を見ないほどぐっすりと眠れました。以上、私事でした。

・さて、そんな冒頭から、それなら今回は甜花さんかあさひさんの話をするのかと思った人もいるかもしれませんが、全然違います。あさひさんの話は別個で書くか悩んでいるけれど、少なくともストレイライトの回で色々書くだろうし、甜花さんは前回割と尺を取って書いたし。まだWING準決勝敗退を繰り返していた頃の私が書いた大崎甜花さんについての記事はこれです。良ければ。

https://note.com/tofuoishi/n/n72ba0aac0cd6 『アイドルマスターシャイニーカラーズの話をする』


・近況ついでと言っては何だけど、今回は彼女たちの話をします。

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・放課後クライマックスガールズ。(奥から)園田智代子さん、小宮果穂さん、杜野凛世さん、有栖川夏葉さん、西城樹里さん、という5人から成るグループ。「女の子はいつだって放課後がクライマックス!」というキャッチコピーが銘打たれた、「個性と個性がぶつかり合う全力系アイドルユニット」。

・最近彼女たちのコミュを読む機会が多いので、思った事を書いてみようかなと思い至りました。例によって完全なる自己解釈かつアイマス歴の浅い人間の発言であるという事をご了承いただきたい。

・さっそく私が放クラに触れた時の最初の感触を述べると、「確かに個性的な子が集まっているように見えるし、一見しただけでは本当にこのコンセプトのもとでこの女の子たちは統率が取れていくのだろうかとも思うけれど、言うほど個性と個性のぶつかり合いじゃなくないか?」というもの。

・私の印象として、シャニマスの各ユニットにはきちんとバランサー的な立ち位置のキャラクターがいて、その子を中心にユニットはぶつかり合ってしまいそうな個性をうまく調和している。例えばイルミネで言えば、他の2人よりも先を歩きがちなめぐるさんと少し後ろを歩きがちな灯織さんの手をとって、並んで一歩を踏み出させる役割の真乃さんがバランサー。ストレイライトは、他人の認め方、自分との向き合い方など、生きる事に対して決定的に価値観の異なる冬優子さんとあさひさんという二人の、どちらにも寄り添えるし、どちらにとっても必要な存在と成り得る愛依さんがバランサー。他のユニットについては割愛するけれど、だいたいこんな感じで、新しく加わったノクチルでは小糸さんがバランサー的役割をするんだろうな……と想像出来るように、なんとなくグループ構成の傾向みたなものがあると思う。

・けれど各々の個性が特に際立っているように見える放クラというユニットにおいては、誰もがバランサーとしての可能性を持っているし、誰がその位置であっても成り立つユニットであるというのが、私の思う放課後クライマックスガールズだ。

・初めは正直彼女たちにそこまで特別な興味はなかったけれど、そういう面でとても面白いユニットだなと思うようになって、色々な事に気付いていってしまった。


・放クラのリーダーである小宮果穂さんは若干12歳の小学6年生で、ユニット内最年長の夏葉さんが20歳の大学2年生なので、シャニマス の中では年齢の振り幅が最も大きいユニットである。その2人に挟まれた真ん中の3人はみんな揃って高校生という構成も面白くて、だからこそ感じるのは、その年齢差を考えればごく当たり前の事ではあるけれども、キャラクターに当然のように知識の差があって、ふとした時の反応だったり物事に対する感想だったりといった部分でそれが顕著に表れるの、すごいな、と。

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・果穂さんは小学校で習った事と、家での母親の振舞いから見て知った事、後はせいぜい特撮に出てきた事しか知識としては持っていなくて、それが多大なリアリティを伴ってコミュの中で提示されている。

・放クラのメンバーで言うと、知識の絶対量では当然トップは夏葉さんだろう。社会性もあるし、努力家かつ勉強家なので、大学で専攻している分野以外でも幅広い知識を持っていそう。けれど大和言葉や作法といった分野においては凛世さんが肩を並べる、或いは突出する印象があるので、例えば沈んでいく美しい夕陽を前にした時の反応を窺っても、この2人の語彙力が特別秀でているように思える。比較的大きな壁を経てそれに続くのは智代子さんだと思うけれど、この 智代子さんの事を 私は最近どんどん好きになっているのを感じるので 少し尺を取って書きます……。

・放クラメンバーの中で、”楽しい提案”をするのはいつも智代子さんなのがとても良いなと感じている。彼女って悪く言えば普通に見えるけれど、智代子さんの口から出てくるアイディアって、その場の空気を読んだり気を遣って出てくるものではなくて、誰にでも通用するその普遍的だけれど美しい感性によって、本心から相手を想う事で生み出される”楽しさ”に他ならなくて、それがいつも彼女の周りを輝かせているんだろうな、とか。

・彼女はおそらく人間が本質的に喜ぶ事や楽しいと思う事だったり、誰もが納得するその場に最適な振舞いみたいなものを、無意識的に行っていて、本能の部分で理解しているのかもしれないと思わせる。普遍的な感性を持っているということは、様々な個性を持つ他人の感性に影響なく滑り込めるという事で、どんな人間にとっても親和性を感じられる女の子なんだろうな。学校でも男女問わず友達は多いけど、傍目から見た時に「友達が多い子」っていうイメージの持たれ方はしないようなイメージがある。

・夕陽の話に戻る。以上のように、智代子さんは誰もが綺麗だと思うものを綺麗だと思える感性を持っていて、それってとても重要で美しいことだけれど、彼女の「わあ、綺麗......」という言ってしまえば平凡な感想は、いかにも一般的な女子高生の語彙という感じ。でもそういう普遍的な言葉が他の何にも代えられない良さを持つ場面って、確かにあるんだよな……。智代子さん、好きだ……。

・続く樹里さんは、高校生組の中でも語彙力が乏しい傾向にある。活字や回りくどい言い回しが苦手そうなイメージからも納得できる。ので、彼女は夕陽に対しての感想を「すげえ」で済ませたりする。もちろん彼女なりにいろいろ考えているのだろうけれど、語彙は全く追い付いていないし、別に自分の感覚を何か特別な言葉で飾りたてる必要もないと思っているであろう事が伝わってきてすごい。

・果穂さんは当然だけれど小学生なので、「すごい」「すてき」「かっこいい」という形容以外を使っているのをあまり聞かない。幼いながらも多感に様々なものを見聞きするその感受性に言語能力が追い付いていないんだろうなというのが、人への賛辞の多さや感覚の鋭さから感じ取れるのも、すごい。


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・こんな感じで放クラについて一人一人見てきたけれど、人によって明確に語彙力や知識の差があるという、人間であれば当然の事が、きちんと表現されているの、すごく良い。

・これは大崎甘奈さんの話になるけれど、彼女は会話の中の誇張表現として「めっちゃ」しか使わない。何か巨大感情を持っている事が相手に伝われば様々な表現を使わなくても充分だと考えていそうなところは、樹里さんと同じ女子高校生的思考だと言えそうだ。加えて、甘奈さんは綺麗な景色を見た時に、その美しさをすぐに言い表す事が出来なくて「なんて言うんだろう……」って前置きしていたけど、これすごくリアルで良いなと思った。

・ノベルゲームという特性上、我々はどうしても表に出されている文字情報がそのキャラクターの全てだと思い込んでしまう節があるのに対して、「なんて言うんだろう」という前置きは、その後に発言した内容が彼女の感じた事を的確に言い表せているわけではないという読み取りの助力になる。それを言い表せるだけの語彙力がないという場合もあるし、一方で知識や教養に裏付けられた言語というのは、その思想が優れているからこそ、物事をある一定の枠組みに落とし込み、形式的に理解するほかない状況を作り上げてしまうという側面もある。言葉に全てを籠めるのは難しい。ノベルゲームの形を取りながらも、プレイヤーにそれをありありと感じさせるこのシャニマスというゲーム、改めてすごいなと感じるこの頃でした。

・これは蛇足だけれど、言語への懐疑、それはさながらホフマンスタール『痴人と死』に籠められた思想のようである。気になった人はぜひご一読を。


おわり


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