意識の構造1

意識について考える時に最も気をつけることは、脳内に何かを投影している場所があって、それを見ているちっさいオッサンみたいなのを想定してしまうことです。そのオッサンをホムンクルスなんていいますけど、これだとそのオッサンの脳内はどうなってんの?と無限ループに陥るだけになります。(ちょっと触れてます→https://note.com/toehatae78/n/n37a56f8e2082)

そこで我々の意識がはっきりと機能している時と、そうでない時とを比べることで、何かわかるんではないかと考えたのは、古代の人も同じようです。具体的にいうと夢を見ている状態についてです。

中国医学では「眠っている間は魂と魄が離れ離れになるため夢を見る」というような説明がなされます。これは、何を意味しているのでしょうか?

魂は本能から無意識の領域に近く動的で遠心性の力として、魄は身体を崩壊させない(魂に比べると)静的で求心的な力としてあり、これが常にバランスを取り合い、状況に応じてそれぞれの機能を発動させます。昼間は魂が覚醒した意識を支配し、言葉を発し、筋骨を動かします。その間に魄の方は五感を神(しん)に送り続けます。受動的な感覚と能動的な言行への力は、常時一体となり自分を守る結果を導いてくれます。寒いから服を着る、お腹が減ったから食事をするなどです。嫌なことを言われて言い返すのもその作用ですが、魂の働きが少し弱いと、押し黙るか泣くかになります。寒さ暑さへの反応、痛みへの我慢強さ、人間関係への耐性、どれをとって個体差があるのは、魂魄の働きの強さがそれぞれ違うからとも言えます。

では眠っている間の我々はどんな状態でしょうか?夢の話の前に、もっと基本的なことから始めます。眠る時は横になり、体表面を冷やさないようにします。重力へ対抗するには、魂魄の協調がいります。身体の傾きを知るのは魄、筋骨を動かすのは魂です。体表面を守るのも日中のように魄と魂が協調して運動したり、服を着直したりできないからです。

このように魂魄の協調ができないことを「離れ離れになる」としたと考えられます。では次回いよいよ夢の世界に入っていきます。

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