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夫婦自転車珍道中 -epilogue

翌日、自転車屋さんはベルサイユからわざわざ8時過ぎに来てくれて、無事に自転車を引き渡した。私たちは宿から歩いて15分のところにあるバルビゾンの美術館に行ってから、電車で自宅へ帰ることにした。

バルビゾンの村

「バルビゾン」「美術館がある」くらいの知識を持ち合わせてなかった自分に向けて作られたのかな?というくらい、すごく説明が尽くされたプロローグ映像をまず美術館の入場後に見た。

キャプションは日本語と英語とフランス語でした、ありがたい

19世紀、パリのサロンで評論される既存の美術界の在り方に異論を持つ芸術家たちが拠点を移した先が、バルビゾンという街なのだそうだ。宗教画や人物画が評価され、自然の風景画には何も意味を見出されなかった当時「色彩派」として自然主義の画家が世に誕生したのは、この地からなのだという。

ようやく、たどり着いたのだ。バルビゾンの地へ…

パリを離れた旅人が主人公の設定で、物語調に語られる映像の台詞に勝手に自分を重ねてしまい「わかる、本当にパリから遠いよね…」と感情移入して一瞬涙がでた。

ルソーやコロー、ミレー、のちにはゴッホやルノワールにとっても大切だったこの土地に来れたんだという実感が、自転車旅のおかげか余計に深く湧いてきた。自然と都会の狭間で、どのようなバランスでこれから生きていこうか、なんてことを夫婦で話し合っていた時頃でもあったので、勝手に画家たちの生き様と自分たちの心情を重ねて、二人して心が震えまくった。

展示されている絵はもちろん、そういう巨匠群の絵画以外にも街にはいくつもの個人のギャラリーがあり、無料で開放されているところも素晴らしい作品がたくさんあった。

数時間で結構堪能したけど、もとは城を見たりしたかったフォンテーヌブローは結局病院に行って昼ご飯を済ませて、それで終わったしまった。そのほかにも周辺にも見所はまだたくさんあるらしい。

「次回は電車かレンタカーで来よう」

そう言いながら、一番近い駅までタクシーで向かって、電車でゆっくりと帰路へ着いた。(最初からこうすれば良かった。)

終わり

昔の宿帳。色んな画家の名前がある(らしい)
葡萄が実っていました。もうすぐ秋だ。


最後までお読み頂き、ありがとうございました。 書くことを気長に続けていくことで自分なりに世の中への理解を深め、共有していきたいです。