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宇宙飛行士

「うちゅうしこうひ」になりたいの。
ねえねえ、おとーさん?
どうしたら、うちゅうしこうひになれるの?
たくさんべんきょうするとなれるの?
おねいちゃんみたいに?




はやぶさ2のカプセルを回収し、なんとJAXAは当初の計画を完遂してしまった。計画したミッションを漏らさず全うしたというから驚きだ。通常、計画の何割かを完了すれば計画成功とするという宇宙計画のなかにおいて、ダントツの素晴らしい結果であるそうだ。毎日のコロナのニュースに沈みがちな社会に、一筋の光を照らしてくれた。


そういえば、子どもたちが幼い頃にも、ちょうど日本人宇宙飛行士の若田さんがアメリカの航空宇宙局NASAのロケット搭乗員メンバーに選ばれ、世間を賑わしていた。
当時確か3才くらいだったろうか。息子が興味を示していたので、宇宙に関する本や情報を与えるようにしていた。ムクムクとイメージが湧いたのだろう。ある日、先般のように宇宙飛行士への希望を語ったのだ。




宇宙飛行士⇒厳しい選考⇒勉強⇒小学生⇒姉⇒スゲエ!、という回路で姉を見つめる弟のキラキラと輝く瞳に構うことなく、小学校へ入学したての娘は面白いほど宿題をやらなかったが、姉が教材に囲まれる姿は息子の知的欲求を刺激し、どことなくアカデミックな雰囲気でまぶしかったのかもしれない。




大好きなおねいちゃんは、きっとたくさん勉強してるから、宇宙飛行士にでもなれちゃうにちがいない。ぼくも一緒に行きたいな。




息子は、青空の先の宇宙を想って、キーのついていないフォークリフトで、ウィーンガシャンウィーンガシャンと操作音を声で模倣し、
「~へ発射します。」
「よーし、大丈夫だ。」
「いくぞお。」
といつまでもいつまでも一人NASAごっこをしていた。




宇宙飛行士は宇宙に行ったが、我が愛しの「しこうひ」は庭に着陸した。きっとそこには、月面が悠然と広がっていたに違いない。

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