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客室稼働率が前年(2020年)並みに回復~2021年10月の宿泊旅行統計調査

昨日(11/30)、観光庁の「宿泊旅行統計調査」の2021年10月分が公表されましたので、ポイントをまとめさせていただきました。前年比は実勢をつかむのに役立たない指標になっていますので、引き続き、稼働率に注目します。

宿泊施設稼働率が2020年並みに回復
 10月の宿泊施設稼働率は42.1%と9月の31.2%から10ポイント強上昇しました。9月は前年(35.9%)を下回ったものの、10月は前年とほぼ同水準に戻りました。緊急事態宣言が解除されたことが奏功していると考えられます。
 ただし、観光需要中心の「シティホテル」の10月の稼働率は37%と、9月の31.1%から上昇したものの、前年(43.1%)に届いていません。例年の稼働率、8割の半分以下です。「ビジネスホテル」の9月の稼働率は52.5%と9月の40.3%から大きく上昇し、前年も上回りました。まずは出張需要から回復したということでしょうか?

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延べ宿泊者数は2ヵ月連続前年割れ、2年前に比べて34.3%減
 2021年10月の延べ宿泊者数は3289万5530人泊と、前年同期に比べて5.4%減になりました。2ヵ月連続の前年割れです。日本人宿泊者の寄与がマイナス5.5ポイントで、外国人宿泊者の寄与は0.1ポイント。緊急事態宣言が解除されても、前年を上回るには至らなかったです。
 例年の水準を示すと考えられる2年前の同月と比較すると、34.3%減。前月からマイナス幅が縮小しました。

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客室稼働率の落ち込みが大きい都道府県は
 1ヵ月遅れで確認できる都道府県別データを用いて、2021年の1~9月平均の都道府県別の客室稼働率を例年の値(2015~19年の1~9月の平均値)と比較すると、落ち込み幅が大きい順に、(1)大阪府(マイナス59.5ポイント)、(2)京都府(マイナス53.2ポイント)、(3)沖縄県(マイナス51.7ポイント)、(4)東京都(マイナス49.8ポイント)、(5)福岡県(マイナス44.6ポイント)となっています。観光地を抱える都道府県の落ち込みがかなり大きくなっています。

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都道府県別の2021年1~9月累計の延べ宿泊者数の減少率トップは沖縄県   都道府県別の延べ宿泊者数の2021年1~9月の前年同期比変化率を最後に確認しましょう。減少率の上位は、(1)沖縄県(25.5%減)、(2)京都府(23.8%減)、(3)大阪府(21.5%減)、(4)広島県(20.6%減)、(5)石川県(19.4%減)となっています。東京都は9.2%減と18位でした。日本人宿泊者数が前年を上回っている都道府県は、1~9月累計では15県(青森県、岩手県、秋田県、山形県、栃木県、埼玉県、富山県、山梨県、三重県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、山口県、徳島県)へ減りました。

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