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They were made from Glass.
はしがき:グラース・サーガ
J.D.サリンジャーといえば、「ライ麦畑でつかまえて」で有名なアメリカ文学の巨匠であるが、サリンジャーの後期の作品は、主に、グラース(Glass)という苗字の一家の、天才七人兄弟についての連作短編となっており、それらは「グラース・サーガ」と呼ばれている。サリンジャーは「ナイン・ストーリーズ」を始めとして、「フラニーとゾーイー」、「大工よ、屋根の梁を高く上げよ/シーモア
バナナフィッシュにうってつけの日
「バナナフィッシュにうってつけの日(A Perfect Day for Bananafish)」は、『ナイン・ストーリーズ(Nine Stories)』に収録された九つの短編の劈頭を飾る作品であり、サリンジャーによるグラース・サーガのはじまりでもある、グラース家の長兄・シーモアの自殺を描いたものとして知られている。シーモアはこの短編のラストシーンで、妻・ミュリエルの寝るベッドの横でピストルで頭を
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