銭湯のタイルアート
サウナを求めていろんな銭湯にお邪魔することがあるが、特に歴史のある銭湯に行く時に楽しみにしているのが、浴場の壁に築き上げられたタイルアートである。
最近の新しい銭湯は一色だけの落ち着いたシンプルな壁が多く、それはそれで入浴する人の気持ちを邪魔しないので、とても良いデザインだと思うが、よく昔ながらの銭湯で見かけるタイルアートが壁一面に大きく貼られている浴場を見つけるとテンションがあがる。感覚的にはテーマパークのアトラクションに参加しているみたいな気分。また、浴場では致し方ない閉鎖的な空間をできるだけ開放的にする試みとしてオーナーがタイルアートを導入した優しさも感じられる。
これまでいろんなタイルアートがある銭湯を見てきたが、直近で感銘を受けた場所がある。横浜市にある「福美湯」という銭湯だ。
公式HPにも実際のタイルアートの写真は見れるが、行ける人は是非自分の目で感じて欲しい。福美湯のタイルアートの面白いところは、まず天井が高いということもあり、タイルアートのサイズが大きいところだ。その壁画のインパクトに圧巻されると思う。また、天井のスペースを上手く活かしており、あたかもそこに景色があるような開放感がある。
もう一つ面白いところは、そのタイルアートで描かれた風景が外国の景色なのだ。一般的に日本の銭湯のタイルアートを想像すると「富士山」をイメージする方がほとんどだと思うが、福美湯のタイルアートはなぜか外国の風景なのだ。高い山がいくつかそびえ立っており、麓には風車が描かれている。「日本の銭湯=富士山」のタイルアートという固定概念で入ると、その意外性に驚いてしまう。
タイルアートの話ばっかりになってしまったが、銭湯自体のクオリティーは、レビューサイトでも記載されている通り、説明する必要はないほど完成されている。高濃度炭酸風呂から薬草風呂まで完備しており、サウナは薄暗い空間で湿度の高い熱気が優しく身体を包み込んでくれる。水風呂は16度で深さは普通よりも深めでガッツリ冷やせる。サウナ好きにとっては申し分ない環境だと思う。
最近チームラボがサウナとアートを組み合わせたイベントを開催し話題になっているが、個人的には福美湯がその領域での先駆者ではないかと思う。ただ福美湯の関係者がそこまでの意図をもって作ったかは分からないので、もしかすると「隠れアート銭湯」なのかもしれない。
では、今日もサウナで。