疑い、気付き、開き直る『かもめのジョナサン』感想文とか その6
前回は、やれブタ共だのうちの墓は親の代で終わりだの、マジメで上品な私に似つかわしくない、品性を疑われる言葉をはからずも使ってしまいましたが、今回はマジメにいきたいと思います。
まあでも、浄土真宗が葬式仏教に成り下らずにきちんと民衆の心を掴んでいれば「親鸞会」なんていう団体は出現しなかった、というのは紛れもない事実でしょう。別に親鸞会の肩を持つわけじゃないけど。
あと親鸞会といえば『To Open the 歎異抄(直訳)』を最近チラ見したんだけど、肝心の18章を端折ってない?
「布施の大小で大きい仏になるか小さい仏になるか決まるという説は言語道断でとんでもない話だ」という内容、何か都合悪いの?
それ抜きにしても手前勝手な解釈のオンパレードで見るに堪えず、こんなん読むなら五木寛之の『私訳 歎異抄』の方がいい、高森某なんかより五木寛之の方がええわ、ということで五木寛之の『かもめのジョナサン』に戻ります。
※私も以前サイトにて「『歎異抄』について語る」なる記事を書いたのだが、今読み返してみても何かキメて書いたような、各方面に喧嘩を売るような内容である。でも事実だから仕方ないね。
疑う、気付く、そして開き直る
で、前回何の話をしていたのかというと、
という話でした多分。
そんな思考停止状態で生きていて楽しかったり幸せならばいいのですが、4章のカモメ達みたいに「強迫観念」になっていては人生真っ暗、生きてても楽しくないじゃございませんか。
※真っ暗で楽しくなくてもかまわないというのなら別にそれでもいい。そこから見えてくるものもある。あとこのページに限らず私が提示する方法なんて私個人のもので万人に効果があるなんて思ってもいないし、「どうすればいいでしょうか」などというタワケた質問に対しては「俺の知ったことか」としか答えられない。
これがカルトになると「うんうん分かるよ。よくがんばってきたね。これからは一緒に△△様を信じて救われよう」なんて答えたりするのだが、生憎私はカルトのように親切ではない。
そこでこの「思考停止の右へ倣え状態」に疑問を持つ、アンソニーをはじめとするカモメ達が出てくるわけですが、
本章の内容に沿って説明するならば、まず第一歩は「疑う」ということ。
マルクスの格言「全てを疑え」じゃないけど、たとえば毎日嫌々会社に行っている人は、
「こんな奴らの言う事に従う必要があるのか」
「こんな奴らに認められて何か良いことあるのか」
「この会社で働くことは生きていく上で絶対必要なのか」
「そもそも、金が無いと本当に生きていけないのか」
なんていって、自分が毎日思考停止状態でおこなっていることについて一度疑ってみればよろしい。
一度疑ってみれば「思考停止状態」にヒビが入り、
別にこんな奴らの言う事を聞く必要なんてない。暴力を受けたら110番通報すればいいだけの話。
こんな会社で働く必要もない。会社なんて履いて捨てる程ある。
所持金がゼロやマイナスになったからといって即死するわけじゃない。現に水原一平はピンピンしている。
なんてことに「気付く」わけであります。
さらに進めていくと、「頭の中の声、つまり思考は本当に『私』なのか」という疑問および気付きとかあるのですがそれは置いといて、当座は上のような気付きで充分でしょう。
で、段々と気付いてくると、最後はアンソニーがやったように、なんか開き直る、やったれムンムンかましたらぁ!となる、
これは丁度、以前下の記事に書いたのと同じく、「こんな世界はクソだからクソみたいにやってやる!」ということになるのであります。
(ならなかったら知らん。相変わらず自分の行為に対して責任を取りたくないのか、単に才能が無いのだろう)
でもこの記事書いている最中に何で「マリリンモンロー」が思い浮かんだんやろね。
もしかして、「マリリンモンロー・ノーリターン」…ってコト!?
しかも野坂昭如の葬儀で弔辞を読んだのは五木寛之で、何という偶然でしょうか。やはり世界というのは時や空間を越えて一つにつながっているのでしょう。
それはともかく、今まで自分が盲目的に従ってきたルールや習慣に対して疑問を持ち、何らかの事柄に気付き、
そして、「たとえ何を失おうが、人間関係、財産、肩書、評判、命を失おうがかまわん!」と全責任を引き受けて開き直ってしまえば、
自分の命を失うことを厭わなかったアンソニーのように、ジョナサンが現れる、ということであります。
なんか内容が当感想文その2で書いた「『群れ』から抜け出すために」と同じだけど、結局は喪失に対する覚悟をキメて開き直りゃいいのです。
2章と4章に書いてあることは同じでも、出来杉君みたいなジョナサンの描写よりもアンソニーの描写の方が私的にはしっくりくるので、やっぱり4章あっての本作だなと思ってしまいました。
以上、きれいにまとまった?ところで本作の感想文はこれにて終わり。
追記したくなったらまた書くかも。