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東京で「つながる」

只今、南相馬から関東に帰省している。
今回の帰省には、大きな目的があった。
南相馬で新たな取り組みを始めるにあたって、東京の人とつながり、話を聞いて、アイデアをブラッシュアップしたいのだ。

ということで、あちこちに出かけて人と会いまくっている。
人工透析は欠かせないので、実家近くの病院で透析を受けつつ、間を縫って活動している(とはいえ、そこまであくせく動いているわけではないが)。

まずはここ……ソーシャルバーPORTO

ここは日替わり店長さんがカウンターの中に立ち、お客さんも巻き込んでお喋りしながら、酒を楽しむお店。

「さとのば大学」という取組みで南相馬と関わっている方がオーナーなので、日替わり店長さんの中には、南相馬にひと月ほど滞在した若者が数人いる。
彼ら彼女らが南相馬でどんな気付きを得て、それを日頃の活動に活かしているのかを、直接聞きに行ったわけだ。

といってもバーなので、真面目な聞き取りというより、飲みながら楽しく喋るといった趣き。
他のお客さんも交えて、さまざまな話が聞けたし、新たなつながりもこの日だけで3件増えた。

俺は南相馬で「国内版ワーキングホリデー」のようなものをやりたいと考えている。
考えているのだが、どうすれば出来るのか、そもそも人は南相馬に何を求めてやってくるのか、南相馬から帰った後、それがどのように活きているのか、全然把握出来ていない。
ならば人に訊いてしまおう、そしてアイデアを磨こうというのが、今回の規制の目的なのだ。
なのでここで、さとのば大学さんかしゃのその後の活躍を知れたこと、PORTOに集う若者がどんな反応をするのかは、とても貴重な「学び」だ。

浮かび上がってきたのは、さとのば大学に参加したのは「コロナ禍で大学の授業がリモートになり、人と関わる機会が減ったので」という外的要因の大きさだ。「何を求めて」に、具体的なものはあまり無かったように感じられる。
それでも、こちらに帰ってからの参加者の行動に、変化が見られることも事実。本人が気づかないレベルで、積極性が増したりコミュ力が上がったりといったことが起こっているようだ(周りの人はそれを感じている)。

旅行のプランナーと話し、「国内版ワーキングホリデー」のアイデアをブラッシュアップすることも出来た。「ターゲットを◯◯に絞ってみては?」「日程は、長い期間にわたって繰り返し関わってもらうやり方もある」「単に『地域課題を探す』のではなく、参加者が持つ知識や技術がそのステージでどう活かせるかを見つけてもらう」といったヒントをもらえたので、これを元に動いてみるつもりだ。

都内で新しいコミュニティづくりを行なっている現場も、何箇所か見て廻った。友人の案内で廻ったので、場の主催者や他の参加者とも繋がることができ、大変充実した時間となった。
その一つがこれ

木賃文化を引き継ぐ「くすのき荘」
看板が良い感じ
木賃ネットワークについて


おっさんの俺には思いもつかないやり方で、「新しいコミュニティの舞台」が作られている様子を見て、かつて南相馬のみんなで「みんな未来センター(みみセン)」をつくったときのエネルギーと同じものを感じた。
東京の良いところは、そうした場が点で作られても、リソースや関わる人が多いので、点同士が緩やかに繋がりやすいところ。実はこれ、とても大きな意味がある。
とはいえ、東京のような大都会を見てみると、ごく狭いエリアであっても、道を挟んだ隣の地区同士で雰囲気休んでいる人が違っていたりする。全体で見るとプレイヤーはたくさんいるのだが、その地域のプレイヤーはそれほど多くない。やはり地域を超えて、緩やかに繋がる必要があるのだ。そしてその緩やかなつながりをもとに、地域住民を緩やかに巻き込んでいくことを、どのコミュニティもそれぞれのやり方で行おうとしていた。
そういう意味では、都会も地方も、同様の課題を抱えていると言える。
都会で芽吹き始めたこうした動きも、南相馬で行えることだなと感じた(やり方はアレンジする必要があるが)。
下の「CCC(Cleanup&Coffee Club)」など、若者も参加したくなる「ゴミ拾い」で、ドレスコードにもこだわりつつ街のためになる、しかもコミュニケーションも取れるという、とても面白い取り組みだ。

ここも実に良い場所。

戦後間もなく建った、もともと革の縫製などを行っていた建物で、日だまりの中何か行事を行うわけではなく(もちろんイベントを行う日もあるが)、ただただお茶を飲みながら、色々な世代の人が集まってゆるゆると茶飲み話を楽しんでいる。
とにかくほっと出来る場所だ。

別の日に、南相馬、特に原町区の本町に深く関わってくれている写真家さんに、写真素材の提供をお願いしたところ、快く応じてくれた。「本町は美しいシーンの宝庫だ」とその人は言う。俺も全く同感。空が広い、朝日や夕陽が建物に映える、人の表情が良い。
その写真家さん曰く「写真は被写体と撮影者、差し込む光、構図のセッションなんだ」。俺は写真のことは分からないが、本町という場所は、確かにジャズバンドのセッションのような場面がよく現れる。写真のような映像で切り抜いてもそう感じるし、人同士の会話の場面でもそれは感じる。
その「セッション」という言葉に、「その通りっす!」と膝を打ったのだった。
その視点で見ると、もっと色々な人を南相馬に呼ぶことが出来るかもしれない。

こちらには後4日ほど滞在する予定なのだが、まだまだ人と会うことになっている。帰るときには、きっと訊いたことの整理が必要なほど、たくさんの「お土産」が出来ることだろう。
そのお土産を南相馬でどう活かすか、後は俺次第だ。

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