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折り本で作る同人誌のラクなところ

「まきがみ」という同人サークルを主宰しております戸田ささめと申します。構成員は私だけの個人サークルです。

まえがき

令和の時代はインターネットが社会インフラとして完全に定着して、同人活動でもネット利用の恩恵を受けられるようになりました。イラストでも小説でも自分の表現したいものをネット上に気軽に投稿して、見る側もネット上で簡単に感想を寄せられる便利で幸せな時代です。リアル媒体に依らずデータとして頒布するデジタル同人も当たり前となりました。

とはいえ、デジタル同人が完全に主流となっているというわけでもなく、コミックマーケットをはじめとする同人誌即売会には今も多くの参加者が足を運び、数多くの同人誌のやり取りが行われています。同人誌を作る文化そのものは変わらずに続いているのです。

まきがみとしての直近の同人誌の新刊は、2019年7月21日(日)のイベント開催に合わせて書いた8ページの折り本です。この本はコンビニに設置されているマルチコピー機の機能を利用して、読みたい人が自分でコピー機でプリントをして、自分で本の形に仕上げていただくという頒布形態をとっています。

今回は、折り本の形態で同人誌を作ってコンビニで頒布するというやり方のメリットについて紹介しようと思います。

8ページという分量で本を作れる

コンビニ頒布の折り本では仕上がりが8ページの形式が主流となっています。中身は表紙と裏表紙を除いた6ページ分です。漫画でもイラスト集でも小説でも6ページ分中身を書けば本になります。文章の量で言えば、4000~5000字程度で1冊分に届きます。Twitterの140字の呟きが30個も集まれば本になるのです。

原稿の作り方の情報はネット上でいろいろ紹介されています。


費用が抑えられる

リアル媒体として同人誌を作ろうと考えた場合に絶対に考えるべき問題はお金がかかるということです。同人誌を紙の本として作る場合に何ページの本にするのか、印刷方式をどうするのか、部数をどれくらい刷るのか、どんな紙を選ぶのか、などなど考えるわけですが、オフセットで50部でもそれよりも少部数のオンデマンドにしても、最初に数万円~のまとまったお金が必要なのは変わりません。コピー機で原稿を量産してステープラーで製本するコピー誌の場合も刷った紙の枚数だけコピー代がかかるのです。

マルチコピー機を利用した折り本頒布の場合、本の版型や8ページ固定という制約はあるものの、作成した折り本の原稿ファイルをネットプリント(セブン-イレブン)やネットワークプリントサービス(ファミリーマート・ローソンなど)のサイトに登録して終了です。登録時点でお金はかかりません。

原稿の〆切がゆるい

同人誌を印刷所へ注文する場合は、渡した原稿を印刷して製本して出荷する時間がリアルにかかるので、原稿には〆切の設定がかかります。コピー誌の場合はイベント直前に書きあがった原稿をプリンターやコピー機に張り付いて量産することも可能ですが、当日に手間も時間もかかるのは何とも慌ただしいだけに可能ならば避けたい事案です。

マルチコピー機を利用した折り本頒布の場合、原稿ファイルを登録しおわった時点で頒布の準備完了です。頒布したい当日に登録しても間に合います。

全国のコンビニ店頭で頒布できる

作った同人誌を他の人に読んでもらうには、同人誌即売会にサークルとして出展したり、通販を行うなどして頒布する必要があります。イベント参加には登録料などがかかりますし、遠方のイベントの場合は交通費もかかります。

マルチコピー機を利用した折り本頒布の場合、原稿ファイルを登録すれば全国のコンビニ店頭で頒布が可能となります。イベントの出展登録の手間や費用はかかりません。
※サークルとして参加していないイベントの会場で、勝手に同人誌やペーパーなどを頒布するのはご法度です。


在庫が発生しない

同人誌を作るためにかかった費用の回収は、作った同人誌を頒布することで行います。作った本の在庫を無くさないことには費用を回収できないだけでなく、残った在庫を抱えることになります。自分の部屋が在庫のダンボールで埋め尽くされる事態を避けるためにも、自分の作りたい本はどれだけの数の需要があるのか、よく考えることが重要です。

マルチコピー機を利用した折り本頒布の場合、読みたい人がマルチコピー機で自分でプリントするのでそもそも在庫が発生しません。マルチコピー機の利用料金もプリントする人が負担するので、何部頒布しても費用はかかりません。


あとがき

折り本での同人誌頒布というやり方は、同人誌を作ってみたいけど作り方が分からない、お小遣いの範囲では厳しい、といったハードルを下げられる一つの手段であると思います。

コンビニでの頒布のみではリアルイベントに参加できないという寂しさもあったものの、最近ではみんなで折り本を一斉に出す企画を見かける機会も出てきました。

ジェムカンのライブが熱かったから何か作りたいなど、突発で本を作りたい衝動に駆られても、勢いで書き上げて登録して頒布できてしまいます。推し事は衝動です。

何か表現したいものや伝えたいものがある人に、折り本での頒布という一つのやり方があることを伝えることができたなら嬉しいです。


テレビゲームが好きだった人。今もこれからも好きであろう人。