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#日刊よくできました 24

ここ最近、あまりに良質なものに幾つか触れたせいで自分の中の「許せるもの」の範囲が尽く狭まってしまい、二日連続で外から帰るなり疲れて不貞寝してしまった。世間の思う「良いもの」と自分にとって芸術として許せるものとの差異をひどく感じて、精神が消耗してしまった。低気圧と花粉による頭痛も強く、心も身体も両方が調子を崩すと本当に太刀打ちのしようがない。気が済むまで寝たらましになったので、今日は朝から仕事をしたり無くなっていた日用品を買いに行ったりとまともっぽい暮らしがなんとかやれたと思う。食べるものを考える元気まではなかったのでウーバーイーツでタコスを頼んで食べた。最近はタコスとかケバブとか、薄いラップ生地にくるまれた食べ物がすきでよく食べている。いい意味で食べてる感じがしないのがなんかかわいいと思う。

夕方からは日焼け止めだけ塗って外に出て、「すばらしき世界」という映画を観た。殺人罪で長年服役していた男が刑期満了して外に出て、生活をしていこうとする話。実話に基づいているらしい。主演の役所広司さんのお芝居がほんとうに、観終わって数時間たった今でもお芝居だったのか、それともほんとうにあの男がこの世に生きていたのかと見紛うほどにすばらしく、本当のお芝居はもういない人をこの世界に存在させることができるんだ、と知る。しびれる。ここ最近読んだ本も二冊とも似たものを感じたけれど、人がこの世界に弾かれながら生きて、生きて、そして死んでしまうという物語に強く惹かれてしまう。心の中に聖域のようなものを、どんなに小さくても精一杯保ちながら生きている人が死んでしまうまでの話を、観ていたいと思う。ほんとうにここについてはうまくなんて言えなくて、こんな場所で誰かに伝えるようなことでもなくて、心にずっと置いて置くだけのことさえもつい忘れないように日記に書いてしまうことが正しいことなのかもわからない。わたしはいつか最後の一行を死で終わらせる。それは私に限ったことではなく今生きている人全員に言えることだ、私の場合それは決してきれいなものではなくても構わないから、一輪の花を握っているといい、窓から青空が見えるといい、それ以外はどんなふうに悲惨でも構わない、そんなふうになぜかずっとずっと思っている。

ありがとうございます!助かります!