ぱっちりお目目
もっとイケメンに生まれてこれたら。
もっと高身長で生まれてこれたら。
そんなふうに思うことはしょっちゅうで、いつも自分の姿を鏡でみたり、不意にガラスにうつりこむときなど、見飽きた姿形に、枯れ葉がひらりひらりと地面に落ちて、ぽつんとしばらくそのまま佇むような、そんな気持ちになる。
それでも病気ひとつせず、健康そのものなことを思い出し、いやいや、最善を尽くそうではないかと気をとりなおす。
僕は男に生まれてきていてその性については何の不満もなく、左目がふたえで、右目がひとえ。全身に気になるかならない程度のホクロがたくさんある。そのホクロについてはお気に入りで、それ以外で気にいるところを探すことは正直むずかしい。
背も低い。
だが、背の高い女性が好きで、昔からなぜかは分からない。魚のようなぱっちりふたえのお目目よりは、ひとえ切れ長を好み、歯並びも整っているよりは、個性的な口許をしている方を好む。
これらの理由は一切なく直感的なものといえる。
自分の容姿をよっこらせと棚にあげるすべなどないわりに、異性に感じる直感は要求が多いのかもしれない。
はた迷惑だと我ながら思う。
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