多読家の私が電子書籍を使わない理由

今回は読書が苦手、または読書を始めたいと思っている人にこそ読んで欲しい投稿です。

休み休みではありますが、昨年末から始めたnoteへの投稿もいつの間にか多くなってきました。
そして何故か書籍に関する投稿の割合も異常に多くなりました。

ある程度の頻度で書籍に関する投稿をしてもそれなりにネタがあるくらいには読書を嗜んでいる私ですが、
実は電子書籍なる物をほとんど使ったことがありません。
留学中に一度使用したことはあるのですが、いまいち自分には合わず、
それからというもの、紙の本じゃないと読書してる感がないと言いますか。

というわけで今回は多読家の私が紙の本を読み続ける理由についてのお話です。

電子書籍のメリット

私は電子書籍を全面的に否定または批判したいわけではありません。
電子書籍じたいは非常に便利な物だと思います。
なのでまずはそのメリットについて書くべきかも知れません。

まず第一に、購入する手間がかからない。
電子書籍は端末さえあれば書店に足を運ばずとも読書を楽しむことができます。
それに紙の本だとネットで購入しても家に届くまでに日数を要しますが、電子書籍だと到着を待つ必要もありません。
これは電子書籍を利用する上での大きなメリットになりますね。
実際私が留学していた時に読みたい本が異国に居ながら簡単に読めるというのは非常に助かりました。

第二に、スペースを取らない。
電子書籍は端末一つあればどこにでも大量の書籍を持ち込むことができます。
流石にこれは紙の本だと難しいですね。
薄めの単行本サイズの書籍でも、kindle三つ分くらいの厚さになるのではないでしょうか?
持ち運びに便利ですし、家の中でもスペースを取らない。
これも電子書籍を利用するのに十分すぎるメリットです。

第三に環境に優しい。
これは使用する人間にとってのメリットというよりも、これからの社会にとってのメリットになるのですが。
紙というのは木を利用する事で作られています。
もちろん自然の一部を利用する事で作られているわけですので、地球に優しいものではありません。
大して電子書籍は紙を使わないので、書籍の電子化が進めば進むほど伐採される木の本数は減るわけです。
そういう意味では電子書籍の推進はこれからもされていくべきところかも知れません。

それでも私が紙の本を選ぶ理由

上記に挙げた例以外にも電子書籍のメリットはたくさんあるでしょう。
それでも私はやはり紙の本を選びたいと思うのです。
それは何故でしょうか?

理由はたったの二つです。
ただ、その理由が私にとって非常に大事なことなのです。

理由1:書店にこそ本との出会いがある

第一に書店じゃないと本当に読みたい本に出会えないから。
この感覚を上手く伝えるのは難しいのですが、わかる人にはわかってもらえると思います。

世の中非常に便利になったものでして、今時読みたい本は簡単にインターネットで注文する事ができます。
話題の小説を読んでみたいと思えば検索欄に書籍名を打ち込むとすぐにヒットしますし、
大学の研究の為に調べたい情報もキーワードさえ打てばそれらに聡い書籍がいくつも見つかります。

ただ、これらの本って読みたい本というよりも、読んでおきたい本なんですよね。
皆読んでるみたいだし、ちょと気になるな、とか、
この情報は知っておかないとな、とか、
そうゆう本なんですよね。

ネットで本を購入する時って知りたい情報があったりするから買えるわけですけど、それは読書というエンタメを最大限楽しむための行為ではないと思うわけです。
あくまでも私個人の意見ですが。
実際、特に知りたい情報や読みたい本があるわけではないけど何かを読みたいと思った時にゼロからネットで書籍を探すのって難しくないでしょうか。
昨今ではネットショッピングにはレコメンド機能がついているわけですが、
AIはあくまで私たちの過去の買い物履歴から商品を薦めてくれるだけなんですよね。
それはつまり、過去の自分の読みたかった本である可能性は高いわけですが、今の自分が読みたいとは限らないわけです。

なので私は読書に困った時にはまず書店に足を運ぶようにしています。
ネットでは一つの画面に数冊程度しか一度に表示されない本。
それが書店では自分の辺り一面を無数の本が囲んでいるわけです。
そんな中から本が見つかるのか?と思われる方も多いかも知れません。
しかし、私に言わせれば、こういうところの方がその時本当に読みたい書籍と出会えるものなのです。

本当に読みたい書籍というのは言いかえると無意識に読みたいと思っている書籍です。
意識として顕在化していない以上、検索欄にワードを打ち込むことができません。
しかし書店ではその無意識を言語化したタイトルや帯が見受けられることが多々あります。
だからこそ目立たない場所に埋もれている書籍であっても、その一言が無数の本の中でひと際輝いて見えるのです。
これはオンライン上だと経験することが難しい。
書店だからこそ、私は書籍と一期一会のエンターテイメントを楽しむことができるのです。

理由2:紙の本にこそ読書という行為のエンタメ要素が詰まっている

理由1だけだと書籍を書店で買う理由になってしまいますね。
なので大事なのが理由2です。
私はAmazonなんかで本を購入する時でもわざわざ紙媒体を選びます。
理由は紙の本でないと読書という行為を100%楽しんだ気になれないから。

日本語縦書きの書籍をイメージしてください。
タブレットなんかでこの本を読む場合、皆さんは指を左から右にスライドさせていきますね。
大して紙媒体で読む場合は普通にページを捲っていくわけですが、
この行為にすでに大きな違いがあります。

それは手に感じる質量です。
電子端末の場合、どれだけページを捲っても質量は一定です。
対して紙の本を読む場合、右手に感じる質量は少しずつ大きくなり、左手に感じる重みは小さくなっていきます。
そしてこの質量こそが筆者と読者の対話の時間経過を伝えてくれるわけです。
これは大きな違いです。

映画やドラマは視聴時間が決まっているので、その決められた時間作品に集中すればいいのですが、
読書は読者によって読了するまでの時間が異なってきます。
そのため読書という行為は他のエンタメに比べて終わりが見えにくいものになります。
映画なんかは「残り30分くらいしかないけど、ここからどうやって話しを結論づけるんだろう」なんていうワクワク感がありますよね。
では読書の場合は?
もちろんあります。
「あとこれだけしかページ残ってないけどどうやって話しを結論づけるんだろう」
これが読書の時間経過がもたらすワクワク感です。

あたりまえのことですが、私たちは読書をする時に何時間読んだかではなく、どれだけページが進んだかでその後の展開を予想します。
ただ、いちいちこの本が全部で何ページあって、今何ページ目だからあとこれだけ残っているのかみたいなやり方で確認しないですよね。
この時間経過という物を教えてくれるのは左手から右手に移るページの質量なのです。

初めて電子書籍に触れた時に小さな違和感を感じました。
そして改めて紙の本に戻った時にその違和感の正体が質量にあると気付いたのです。
質量を感じない読書は無機質な物に感じられたと言えるかも知れません。

まとめ

電子書籍にはたくさんのメリットがありますが、それでもやはり私は紙の本を読みたい。
その理由をご理解いただけましたでしょうか?
もちろん人によって意見はそれぞれなのですが。

さて、何故この投稿を読書が苦手、またはこれから本を読み始めたい人に読んで欲しいかと言いますと、
電子書籍では読書好きを産めないと思うからです。

世の中非常に便利になりました。
世の中からはたくさんの無駄が無くなりました。
それでも読書を含めエンタメそのものの持つ本質は無駄にあると思います。

無駄を楽しめない人はエンタメを楽しめない。
エンタメを楽しめない人は読書を趣味としては楽しめない。

なのでまずは書店に無駄足を伸ばして欲しい。
そこでAIがお勧めする本ではなく、あなたの感性が選んだ本を手に取って欲しい。
無駄な時間を過ごすかもと思うでしょうが、その本をわざわざレジに通して欲しい。
そういう無駄の蓄積が読書という行為の持つカタルシスを高めていくのです。

無駄な時間を過ごさないとあなたが本当に読みたいと思う本とは出合えません。
無駄な時間を割いて手に持った本しか、あなたの読書の進捗を教えてくれません。

だからまずはお近くの書店に足を運んでください。

それではまた今度・・・。

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