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〜お互いを思い、ともに歩むための〜  輪島だより vol.1

東長寺は輪島屋善仁を応援しています。
山内各所のしつらえや、お位牌制作を手がけてきた「輪島屋善仁」。復興に向け歩む同社の一助となるよう、様々な支援活動をお寺で行っています。

檀信徒の皆さまから
いただいた力強い支援を輪島へお届けしました

再び動き始めた輪島塗の工房。仮の作業場なので少量ずつ…。写真提供:輪島屋善仁

東長寺と輪島をつなぐ情報をお届けしていきます。第一回目となる今回は、現地からの復興進捗情報に加え、地震発生直後に開始した山内募金のご報告や、今後開催するチャリティイベントについてお知らせします。


<1月>約十日間で皆様より寄せられた
災害復興祈祷料全額を、輪島に寄付しました

二〇二四年元日。家族や親しい人々が顔を合わせ、新年が良きものとなるよう祈るその日。能登半島を襲った最大震度7という大地震は、穏やかな時間が流れるはずだった日常を奪い去ってしまいました。

初詣の方々と新年のご挨拶を交わしていた東長寺にも、この知らせは大変な衝撃と悲しみをもたらしました。被害が甚大だった輪島市には、ゆかりの深いふたつの場所があったからです。

ひとつは曹洞宗の聖地である総持寺祖院、そしてもうひとつは東長寺山内の祈りの場に仏具や設えの制作を依頼してきた輪島屋善仁です。少しずつ明らかになっていく現地の惨状を受けて、東長寺では輪島屋善仁に向けた募金活動を開始。

さらに2月の大般若会では災害復興をご祈念し、ご祈祷料を全額寄付することにいたしました。皆様にはお手紙で急遽お知らせしたにも関わらず、法要まで約十日間という期間中、実に約九百万円の浄財が寄せられました。

直接お持ちくださる方も多く、皆様のお心とご支援への思いを強く感じ、感謝の思いがあふれる大般若祈祷会となりました。

<2月>避難中の蒔絵職人さんが
法具を修復お寺にお届けくださる

輪島屋善仁には行商の伝統があり、先代住職の頃より約30年変わらず、ほぼ毎月、いつも同じ方が輪島からお寺へ来てくださり、お位牌の受け渡しや、修繕、時には新調など様々な相談をしてきました。

平成からの東長寺をよくご存じで、文字通りお寺と輪島をつなぐ存在です。震災でお体は無事だったものの、ご自宅の被害が大きく避難所での生活を余儀なくされているということでしたが、2月末のとある日、お寺にお見えになったのです。

まだ倒壊した家屋が並ぶという輪島から、車を運転していらっしゃったその手に携えていらしたものに驚かされました。

それは住職が法要で用いる笏こつという法具。少し傷んでしまったために、去年のうちに輪島屋さんに修繕を依頼していたのですが、すっかり綺麗になっておりました。

震災後の混乱の中、工房の蒔絵職人さんがこの笏とともに二次避難され、避難先で傷んだ部分の金継ぎや蒔絵を施したということです。

それをいち早く届けてくださったのは、支援の気持ちに応えたいという一心。その有り難さに、こちらが励まされるような出来事でした。

修復済の笏 (5月のついたち法要にて)

一進一退の復興
まだまだ支援が必要です

工房では3月下旬にようやく水道が復旧し、下地や研物などの一部工程を再開。繊細な上塗りを含む全行程の作業が復活したのは桜の季節を過ぎた4月半ばのことでした。いずれも仮の作業場で少量ずつの作業を強いられており、完全な復旧にはまだ長い時間がかかる見込みです。

時間の経過とともにニュースなどでは輪島の状況を取り上げることが少なくなってきていますが、能登半島の復興はまだまだ始まったばかり。東長寺は参加しやすいチャリティーイベントなどを開催して皆様と支援を続けてまいります。

<この秋開催>
輪島屋善仁当主「中室氏が語る輪島の今」

輪島塗の故郷で、なにが失われつつあるのか
知りつづけることが「取り戻す」ためのエールとなります

中室耕二郎氏は創業1813年の輪島塗製造元「輪島屋善仁」九代目当主です。能登半島地震で被災するも、その翌日から職人の安否確認や工房復旧作業を開始。いち早く全国へと情報発信する行動力を、工房のベテラン職人は「無二のリーダー」と称し厚い信頼を寄せています。漆芸史上最良のものづくりを職人と共に再び目指す、中室氏のお話。ぜひじっくりと耳を傾けてください!

株式会社輪島屋善仁
代表取締役社長 中室耕二郎氏 

11月3日(日・祝)大施食会法要の日に中室氏が来山予定
「復興の最中輪島塗とこれからの輪島屋善仁」

輪島塗の歴史や輪島の今、そしてこれからについてお話しくださいます。
※詳細は次号萬亀にて告知します。

寄付活動報告

これまでの山内寄付活動をご報告いたします。

・大般若祈祷会 復興祈願祈祷による寄付…8,985,000円
・郵便振替・山内寄付箱・ご持参等の寄付…542,652円
・精進料理の会 ご参加による寄付…140,000円
・結の会入会輪島支援企画による寄付…3,200,000円

1月に急遽呼びかけをした大般若祈祷会での「災害復興ご祈祷」は、短期間にも関わらずたくさんの方より申し込みをいただき約9百万円の浄財が寄せられました。これに東長寺からの志を合わせ、合計1千万円を施主のお名前を記した芳名帳とともに、3月13日に輪島屋善仁へお届けいたしました。

さらに郵便振替・山内寄付箱・ご持参等の寄付と、精進料理の会・結の会支援企画による寄付を合計した388万2,652円を5月15日に同社へお届けいたしました。心を寄せてくださる皆様に、紙面をもって深くお礼申し上げます。

※5/17開催「歌とフルートのコンサート」も参加費の一部を輪島支援のために寄付させていただきました。こちらは次号にてご報告いたします。

寄付金専用振込口座を開設しております。
こちらへお預けいただいた浄財は、輪島屋善仁支援として寄付させていただきます。皆さまのご協力に心より感謝申し上げます。

振込先
口座名称:トウチョウジ

・ゆうちょ銀行(郵便局)から振り込む場合
口座記号番号:00100-9-695869

・他の銀行から振り込む場合
銀行名:ゆうちょ銀行
店名:〇一九(ゼロイチキュウ)
店番:019
口座番号:当座0695869

東長寺所蔵 輪島塗作品展示「3月21日開催」
輪島塗作品を一堂に書院にて展示しました

輪島塗作品

春のお彼岸に開催された「輪島塗でいただく精進料理の会」。会場となった書院に山内所蔵の輪島塗作品を並べ、輪島屋善仁デザイン室の安藤五十治氏の解説文とともにご参加の皆様にご覧いただきました。食器だけではなく、法要行事に使用する法具や印籠などお寺ならではの道具も揃い、当山と工房との絆を示す展示となりました。

夏開催も決定 輪島塗でいただく精進料理の会
見て触れて、味わって楽しみながら輪島を支援しましょう

春彼岸開催時の献立 一の膳(夏は内容が異なります)

お箸、お椀、お膳にいたるまで輪島塗にて召し上がっていただく精進料理の会です。漆器のやさしい質感もお楽しみいただきます。「どんなお料理が出るのかしら」という方も、春に参加されたという方も、どうぞご予約の上ご参加ください。参加費の一部を輪島屋善仁復興のために寄付いたします。

開催日:7月26日(金) 11:30より受付
会費:12,000円(内、1万円を寄付いたします)
定員:限定16名様
会場:本院書院(椅子席となります)
参加方法:お電話にてお早めにご予約ください
電話番号:03-3341-9746

『萬亀』No.146(2024年6月号)より


<お問い合わせ連絡先>
東長寺結の会事務局
電話:03-5315-4015(9:30~17:00)
メール:toiawase@tochoji.org