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メディアに「誰かを紹介してほしい」と頼まれました(笑)

 先日、ある大手メディアからこんな依頼を受けました。「五輪に関わってきた都庁の職員、あるいは組織委員会の関係者で、誰か知っている人いませんか?」五輪を検証する企画のため、内部事情に通じた人物に取材をしたい、秘密は厳守とのことでした。うーむ、ご主旨はよく分かりました。知り合いはいないこともないです。でも難しいですよ。期待しないで待っていてください、と煮え切らない返答をしました。

 実際、私自身もこの1年間、都庁や組織委の知り合いに連絡を取り、探りを入れることもしばしばでしたが、さすがに現役の関係者の口は堅い。「サワさん、ご心配には及びません。全員一丸となって頑張ってますから」と公式見解を言われるのがオチでした。そりゃそうですよね、万一バレたらどうしよう、取材に応じるだけで裏切り者の汚名を着せられてしまうのではないか。。。そう思うのは当然です。メディアに話をしたからと言って、何の得にもなりませんし。

 案の定、大手メディアからの依頼の件も、何人かの関係者に内々声をかけてみましたが、体よく断られました。以前、五輪に深く関わっていた人を経由して現役の関係者に打診をしてもらいましたが、回答はすべてノーでした。残念ですが、ここから先は、私の手を離れてメディアの取材力次第ということになります。

 ただ、取材する側から視点を180度変えてみるとどうなるか。組織の内部に身を置いていれば、必ず疑問を感じることや疑念を抱くことがあります。メディアで報じられる内容と組織内部で進行している実態が真逆の場合も往々にしてあります。そのことに気がついてしまった人の中には、わだかまりがずっと残ります。個人的な体験を言わせてもらえば、私は市場移転問題にかかるわだかまりを「築地と豊洲」にまとめました。(その結果、天下り先の財団法人理事長を首になりましたが・・・・。)

 では東京2020大会はどうなのか。五輪・パラリンピックは閉幕後1週間も経たないうちに、もう過去の出来事になろうとしています。でも、それでいいのでしょうか。膨大な税金が投入された巨大イベントが、コロナ感染拡大との関連性も含めて、何の検証もされずに忘れ去られようとしています。それはさすがにまずいですよ。関係者は匿名で構ないので、小さくてもいいので、声を上げてほしいと思います。そうでなければ、ブラックボックスは永遠にブラックボックスのままです。

 五輪を主導した菅首相は退陣し、もう一人の首謀者である小池知事は「大会は成功」などとうそぶいています。ブラックボックスであることが誰にとって都合のいいことなのか、閉会直後の今だからこそ冷静に考えてみる必要があります。

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