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ちょっと、変わったひと

 去年の春に一度このことは感じたのだが、たまたまかと思っていた。だが今回も、同じだった。

 ステイホーム。できるだけオンラインで仕事をしよう。飲食は家にテイクアウトして食べよう——そんな話が出はじめると、かならずその人は、店に出かけて何が美味しかったかを、まるでグルメライターのように連日つづりはじめる。
 普段でも店の話は書くが、どちらかといえば、ご自分が何をして楽しかったか、あるいはご家族で自慢の人がいて、その人がどうすごいかといった話が多い。その人とは、それほど親しくはないので、話半分にいつも流し読みしていた。

 ところが、ランチの店で選択肢が減ったとか、店が休業してしまって何を食べようという人の話が出はじめる時期、その傾向ががらりと変わる。

 作春につづき、今回も食べ物の写真を載せては「まるで貸し切りみたいに人が少なかった。料理は美味しいし、話もはずんで、友達と3時間もいてしまった」などと、毎日のように書く。

 人が少ない場所で食べるのが非日常的で楽しいのかもしれないが、よく言われる「空気を読め」といった無言圧力(いまそういう時期じゃないだろうから家にいろ)が嫌いで、抵抗しているのだろうか。かといって、けんか腰に「外で食べて悪いのか」という雰囲気を漂わすでもなく、見ようによっては、天然のはしゃぎようだ。

 飲食業界を応援したいとか、店に元気を出してほしいという意味合いや気負いもなさそうで、店名や場所を具体的に書くのは、ときおり。おそらく「わたしはほんとうに楽しかった」と書いているのだろうと、判断せざるを得ない。

 ポジティブな人、なのだろう。おそらく。

家にいることの多い人間ですが、ちょっとしたことでも手を抜かず、現地を見たり、取材のようなことをしたいと思っています。よろしくお願いします。