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【報酬未払いで逃げた取締役】2020年上半期まとめ

前回までのあらすじ 雑誌業務委託契約で、80万円の未払い被害にあう。内容証明や支払督促を出し、その後、未払いスタッフで念書をかわすが支払いがなく、弁護士に相談。登記簿を取得して社長の自宅へ行ったり、下請法について調べるなど画策。しかし、資本金が1000万円以下の零細企業ということで、公正取引委員会には取り合ってもらえず、2019年が終わろうとしていた。

●2019年12月末日 100万円の入金

12月の終わり、未払いグループ代表の夏川氏から連絡が入った。中村から100万円の入金があったという。それを全員で等分しようというのだ。

なんだそれは!?

そもそも未払金額は、各フリーランスごとに違う。夏川氏は代表で中村との念書を交わしただけだ。我々の未払い金額の責任を夏川氏が持っているわけではないだろう。

それを夏川氏の口座に振り込むとは、どういうことなのだ?

危険すぎる。夏川氏が入金について我々に伝えず、100万円を1人で持ち逃げする可能性だってあった(いい人なので、そんなことはしなかったけど)のに。

この時点で中村は、個々の未払い残金を把握することを放棄しているではないか? まるで手切金のような100万円。わたしはそう感じた。

どういう展開なのか、事情を知っている人はいないかと、編集長に連絡をとった。すると、中村は「これで、あとはうまく逃げ切る」といっていたという。夏川氏は中村にだまされたんだ、とも。

詳しくは教えてくれないが、わたしが感じたようにこれは「手切金」のようだった。2019年の12月30日、夏川氏から振り込まれたのは等分で割った8万円。辛すぎる結末となった。

●2020年2月 Web上で中村を発見する

その後、中村は本格的に姿をくらました。携帯は繋がるが、出ない。制作会社関係者からの連絡を全て断った。会社が移転し、いよいよなすすべがなくなってしまい、途方にくれていたその時。

1人のライターが、中村の居どころを突き止めた。中村は、新しく会社を立ち上げ、新規事業をはじめていた

日韓合同プロジェクト第1弾として、『Nizi Project』のようなアイドル育成番組の制作プロデューサーとして活動していたのだ。

番組のエンドロールにも、Wikipediaにもバッチリ中村の名前が記載されている。『Nizi Project』でいうところのJ.Y.Parkの立ち位置にいるのが、韓国アイドルグループのリーダー。

雑誌が休刊したせいで、進めていたプロジェクトが契約不履行になり、新しい事業展開を謀ったのだろう。間違いなく、中村は同一人物に違いない。わたしたちは確信を持った。しかし、制作会社についての情報がなにひとつ公開されていない。再び行き詰まってしまった。

●2020年4月 新会社を訪問

さらに数ヶ月が経ち、2020年4月。アイドル育成番組のSNSをチェックしていると、制作会社Yエンターテイメントのホームページができていた。

本社の所在地は、青山。手がかりを掴んだわたしたちは、Yエンターテイメントに中村を探しに行くことにした。

4月某日。青山に到着。所在地にYエンターテイメントを確認。1Fのポストに、移転したはずの雑誌制作会社とYエンターテイメントが並列に表記されている。
中村の制作会社の移転先はここだった。

雑誌から始まった韓国事業のつながりもここに続いている。間違ってない。やはり、中村はここにいる。再び、確信を得た。

事務所の前についた。この扉を開ければ、中村がいるかもしれない。対面するかもしれない、恐怖と興奮で気持ちが一気に高揚した。

しかし、中村は不在だった。対応してくれた女性は、中村のことを知っていたし、中村の制作会社のこと、未払いのことも知っているようだった。

中村に連絡してくれるということだったが、折り返しの連絡はなかった。携帯に連絡してみるが、やはり中村は出ない。
わたしは自分の勘を信じて、この会社の登記簿を取得した。Yエンターテイメントの登記簿には、取締役に中村の名前が記載されていた。やっぱり!

代表取締役は2月に辞任。しかし、まだ役員として在籍している。この登記簿を持って再びYエンターテイメントを訪れた。
前回と同じ女性が出てきた。しかし「中村はすでに辞任していて無関係です」と主張し、取り合ってくれない。名前を聞けば、彼女もまたこの会社の取締役の1人だった。

なるほど。同じ会社を経営するパートナーとして、中村の肩を持つのだろう。わたしは、もう1人の代表に会いたい旨を伝える。
しかし、彼女は激昂して話し合いに応じてくれる気配がない。前回貼ってあったはずの制作会社の名前もポストから剥がされていた(写真は証拠として撮ってあるけど)。

相手は、徹底的に知らぬ存ぜぬの体勢で挑むようだ。Yエンターテイメントに私たちがきたことで、もう中村はしばらくここにはこないかもしれない。ここは一旦引いて、新しく策を練り直す必要があった。

中村が新しく設立した会社の登記簿には、3名の取締役の名前と住所が記載されている。その中からできることとして、

Yエンターテイメント取締役陣に書面を送付。中村氏が前会社で未払いを起こしたまま消息を断ったという経緯を説明し、協力を依頼
中村氏本人にも直接書面を送付。携帯にも連絡を続けた

上記の2つを試行した。もちろん、誰からも折り返しの連絡はない。

●新たな代表取締役を発見

中村が代表取締役を務める3つの会社の登記簿を見直していると、とある人物が浮かび上がってきた。
雑誌制作会社で取締役をしている人物(3名いる)が、かつて子会社の代表取締役をしていたのだ。そこに住所と名前が記載されている。

子会社の代表取締役は辞任していたが、制作会社では現在も取締役だ。この人に連絡をしてみれば、役員として中村と連絡がつくかもしれない。いろいろな策を考え、できることは以下の3つに絞られた。

・Yエンターテイメントの取締役陣に引き続き、仲介を頼む
・雑誌制作会社の取締役に会って、中村の居どころを聞き出す。または、仲介を頼む
・中村の自宅に行って直接交渉する

売掛金の消滅時効は2年といわれている。現状、すでに1年以上が経過した。しかし、昨年の8月に念書を交わしているため、時効は伸ばせるはずだ。

また、これはわたしが調べた限りだが、支払時効直前に支払い勧告の内容証明を送付すれば、民法153条により6ヶ月は延期されるという。
その間に支払督促や少額訴訟(60万円以下)の手続きを申し立てることで、相手にプレッシャーを与えることはできる。

●まとめ

「中村を追う」2020年の上半期の動きとしては、消息をたった中村氏を発見し、一歩近づくことはできたが直接交渉には至っていない。

中村氏の未払いの経緯を説明すれば、Yエンターテイメントが仲介してくれると思っていたのだが、実に甘かった。

「未払いについては、別会社のことなので私たちは無関係です。中村氏と双方で解決してください」と、取締役同士が無関係を主張し、堂々といい放つ姿にも心底驚いた。

中村氏のような口先一つで人を騙し、悪質な未払いを横行する人物をかくまっておくこと事態、エンタメ業界で活動して行くにあたりリスクを抱えているとは思わないのだろうか?

中村氏に加担する人々は、非人道的で厄介だ。

グレーゾーンの知的障害者の家族のコミュニティや生活のあり方などをもっと広めたいと思っています。人にいえずに悩んでいる「言葉にしたい人」「不安」を吐き出せるような場所を作りたいです