原田マハ カフーを待ちわびて 2006

「カフーを待ちわびて」(著: 原田マハ)


カフーを待ちわびて


最近、原田マハさんの「カフーを待ちわびて」を読み返しました🌺
原田さんが書いた旅行エッセイも読んでいたのですが、その中で彼女が沖縄旅行の際に出会ったラブラドールの名前が「カフー」で、「ここらでは“幸せ”という意味だよ」と教えてもらったことが、この小説を書くきっかけになったと綴られていました。

物語の舞台は沖縄。小説の中でも、大人が日常の悩みから逃れて沖縄にやってきて、その魅力に取り憑かれてしまうことを「沖縄病」と呼んでいましたが、その気持ちが年々わかるようになってきました。


主人公の明青が島民と旅行に行った際に、冗談半分で「嫁に来ないか」と書いた絵馬を見て、美しい女性が彼の元にやってくるというものです。穏やかに気持ちを通じ合わせていく二人。しかし、島を出て働いている幼馴染が持ち込んだリゾート開発の話が絡み、誤解が生じます。
明青をリゾート開発に賛成させるための幼馴染の企みは、最終的には成功しなかったものの、成功しなかったから良かったではない気がします。物語の中では、起承転結の中で非情な人物が出てくるのは仕方のないことですが、沖縄ののんびりとした雰囲気に浸っていたい人にはモヤモヤするかも💧

裏表紙に書かれているあらすじ「沖縄の小さな島で繰り広げられる、やさしくて、あたたかくて、ちょっぴりせつない恋の話」というのが本当にぴったりです。優しい気持ちになれる作品は、読んだ後に「ああ、読んで良かったな」としみじみ心を満たしてくれます。この作品もそんな作品でした。

「カフー」という言葉、おそらく「果報」が訛ったものでしょうが、なんて可愛くて幸せな響きでしょう。「カフーアラシミソーリ、幸せでありますように」もまた、可愛い響きです。

終盤に出てくる「カフーが待ってる」という言葉。ペットのカフーと「幸せ」の二つの意味が込められていて素敵だなと思いました✨

「カフーを待ちわびて」、優しくて温かい気持ちになれる素敵な作品でした。ぜひ、多くの人に読んでもらいたい一冊です。

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