チアとゴリエと娘と私
娘が、チアダンスを習い始めた。
んー、まてまて、君は習い事を割としている。
習い事を増やして、遊ぶ時間を減らすのは本意では無いし、まって、お月謝いくらなの?
と、思ってしまったけれど。
このご時世だ。
世の中にエールを、頑張る人に頑張るあなたを!
レッツチア!
いいかもしれない。
「お母さん、チアダンスってなにー?」
いや、知らんのかい!
始める前に聞いてくれ。
それは、小学校からもらったチラシから。
いつも、バスケや野球やサッカークラブからチラシをもらって帰ってきても、その辺に置きっぱなしにしている娘が、チアダンスのチラシだけは、テーブルにきっちり置いていた。
「やってみたいの?」
と聞くと、少しモジモジしながら
「うーん、やってみてもいいかなって」
これは、凄くやりたいみたいだ。
それで、体験に申し込んだ。
凄く張り切って踊っていた。
「絶対習いたい!」
水分補給時にそう言うから、お母さんは、残り枠を勝ち取るために、体験レッスンが終わると、秒で走り出して、習える時間帯の枠を取った。
その流れが全て終わってからの、
「チアダンスって何ー?」
母さんびっくり。
でも、そうね、知る機会も無かったもんね。
それで、昔、大好きだったゴリエちゃんの映像を見せた。
いや、本物のチアを見せるべきだったのだろうか、だけど、私はゴリエちゃんが好きだった。
ゴリエちゃんが大人気だったころ、私は多分20歳前後で、そう影響を受けるような世代でもないのだけど。
学生だった私は、その当時、私服に自信が無かった。
小中高と制服で過ごしてきて、急に毎日私服で過ごせと言われて、世の中が急に、私個人のセンスを鑑定している気になったのだ。
してないよ?
いやほんと、世の中のみなさん、そんなに暇じゃない。とは、当時全く気づいていない。
そしたらある日、ゴリエちゃんが、番組で、小学生からのお悩み相談に答えていた。
「ゴリエちゃんみたいにオシャレになりたいです。私は可愛くありません。どうしたらゴリエちゃんみたいに可愛くなれますか?」
ゴリエちゃんは答えた。
自分はこの服が似合うって信じることだよ!
よーくみて。ゴリエは、実は、ゴリゴリのオッサンだよ!
だけど、ゴリエはゴリエのこと、めちゃくちゃ可愛いと信じてるの!信じて、自信満々でいると、服の方が、自分に似合ってくるんだよ!
ズパーーーン!!
セリフの記憶は曖昧です。
だけど、その時を絵で表すとしたら、衝撃波を食らって、吹き飛ばされている私の図。
それだけはよく覚えている。
当時、自己肯定感などと言う言葉は知らない。
しかし、大なり小なり、自分について悩む人は、必ずそこに行きつく、と思う。
ゴリエちゃんは、非常に分かりやすく、私にそれを教えてくれた。
ああなんだ、要するに、私の気持ちの問題だ。
世の中の視線なんて、二の次ってことだ。
その自信満々のゴリエちゃんを、娘に見せたかった。
ね、どう思う?
この人ゴリエちゃんって言うんだよ。
すると娘は、大興奮で言った。
「可愛いーーー!!踊りも上手!」
すごいぞゴリエ。
一瞬で小学3年生の心を鷲掴み。
「チアダンスってね、頑張ってる人を応援するダンスなんだよ。ゴリエちゃんみると元気になるでしょ?
私は可愛く元気に踊るっ!って真剣に思ってるから、きっと、みんなも元気になるんだね。
あなたは、もうめちゃくちゃ可愛いから、あとは真剣に踊るだけで、みんな元気になれちゃうね!」
娘は笑った。
「もー、お母さんいっつもそう言うけど、学校でそんなに可愛いって言われないよー!」
当たり前だ。
世の中の可愛いはな、100人いたら、100個の可愛い基準があるんだぞ。
全員から可愛いと思われることなんて多分ない。
だけど、ゴリエちゃんを可愛いとあなたは思う。
それは、ゴリエちゃん本人が、自分を可愛いと思って頑張ってるから、あなたもつられて、ゴリエちゃん可愛いって思うんだ。
分かるかなーこれ?
あなたは、自分でやってみたいと思うことをきちんとみつけて、真剣にやれば、ゴリエちゃんみたいに可愛くなることも知った。
それってもう、無敵みたいなもんだぞ。
…ね、お母さん、今、すごい良いこと言ってるからね、おい聞けや。
ゴリエの再生回数増やすばっかりしてるなよ?
日本は今、緊急事態宣言に、集中豪雨。
広島の娘の小学校は、昨日も今日も休校になった。
緊急速報メールが響く中、避難しなくていい涼しい自宅に居られることはありがたいことだ。
どうか、被害が広がらないよう祈るばかりです。
もう、これから先、日本は祈ることが増えるばかりなのかもしれない。
そんな気持ちになってしまう。
だけど、いつか君の力で、この先の未来を応援できる様になるといい。
誰かの視線を気にするのではなくて、誰かの視線を釘付けに出来るぐらい、元気なエールを送れる人になったら、ステキだね。
それは、別にチアじゃなくても良いのだけど。
今、彼女はレッツチア!
うん、いいかもしれない。
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