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noteのとき子とたった一人の現夫

タイトルの無理矢理感。
そうです。
『大豆田とわ子と三人の元夫』に寄せました。

なんですかあのメガネーズは!!
みんな違ってみんないい。
三人の誰もを愛してしまってるのに、ここへきて四人目のメガネーズ。
どうしよう、とわ子さん、かごめちゃん含め、あの不器用な人々が愛おしすぎる。

そして、とわ子さんが、今後の結婚感について話してくれた今回のセリフ。

「焼肉も温泉もひとりで行けるし、ひとりでも大丈夫だと思います。けど、小さなことがちょっと疲れる。意外と私、一人で生きるの面倒くさい方なんだなと思います」

部屋の電気、エアコンのスイッチ、そういうのに疲れる。小さなことだけど。何にもしてないのに、明るくて音楽がなってて温かいっていうのに憧れる。



ハッとするセリフ、ププッと笑えるセリフ、どれをとっても、大好きがすぎて、大豆田とわ子を見るたびに、自分の結婚生活を思う。

なので、ちょっと聞いて欲しい。
『noteのとき子と、たった1人の現夫』
(今更だけど苗字がほしい)

夫は、同じ会社の6歳年上の先輩だった。
男女分け隔てなく面倒見るところに惹かれ、2年の付き合いを経て、結婚。

付き合ったばかりのある日だ。
体調が悪いと彼が早退したので、ここは彼女の腕の見せ所♡と、卵やうどんを買って、仕事帰りに彼の家に行った。
そしたら彼は、大量の肉肉しい野菜炒めを、自分で作って食べていて、スーパーの袋をぶら下げてる私をみて鼻で笑った。
「そんなちょっとの買い物で何作る気だったの?体力つかないでしょ」

消化に良いものだよ!普通に考えて、肉じゃないだろう!回復の仕方が、少年ジャンプ!
彼女プライドを盛大に傷つけられながら、うどんは自分で作ってその場で食べてやった。

「思ったことをすぐ口に出すな」似たような発言を何度も繰り返し、その度に怒られる、彼の最初のエピソード。


デートで遠出をすることになった時、首都高は混むから、別なルートで行こうと提案したら、ガンとして譲らないので、何故か聞いたら「男は黙って首都高だろ!」と、自信満々に渋滞に巻き込まれる。
NEXCO東日本の人たちは、そんな性差別はしていない。

「男は、女は、こうあるべきだ」という謎の思い込みを発揮した、彼の最初のエピソード。



基本的に、昭和な思考回路の持ち主だということは、薄々気付いていた。
理想はこうだ。

女は、3歩後ろを歩いてこい
お父さんは大黒柱で、基本家では動かない
妻は夫に感謝をし、子供は父に畏怖の念を抱く

案ずるなかれ。
これはあくまで彼の理想であって、妻である私は、ことごとくその理想を打ち砕いてきた。

俄然前に出しゃばるし、家のことを手伝ってくれないと、手伝わない理由を淡々と静かに問い詰めていくし、子供は天真爛漫に育っている。

関白宣言が上手くいかなかった夫は、波平からマスオに舵をきった。

待望の妊娠をした時は、毎日、帰り際に電話をかけて「夜ご飯食べたいものある?」と聞き
子供が生まれてからは、寝不足で白目をむく妻に「朝ごはんはいいから寝てなよ」と言う。

問題は、優しくすることにすぐ飽きたことだ。
もともと亭主関白を夢見ているので、ベースが尽くす系じゃない。
「まだご飯作れないの?悪阻って本当にそんなに辛いの?」とか「夜、赤子はそんなに何度も起きてるの?」とか言いだして、ご飯が出てこないことに不満を言い始めた。どちらもちょうど2ヶ月目あたりだ。

そこに正座をしなさい、今すぐ!!
さては優しくするのに飽きてるな?
「俺もちょっとしんどくなってきた」そう言ったら良いのに、なぜ私がサボっている前提になっている?
言い方ひとつで、夫婦なんて簡単に壊れるし、2ヶ月で根を上げるなんて、子供を成人させるつもりがありますか!こちとら命のぶつかりあいしてるんだ舐めんなよ?

というような、夫婦の山場は、16年で4回ぐらいしていて、オリンピックが怖いし、今回は一回見送ろうか。

私が毎回、一生懸命、なぜ腹が立ったのかを解説すると、そのたびに「目からウロコが」みたいな驚き方をする。
そこはウロコ入れておくな、
何枚ウロコ入ってんだよ!と思う。

過去の話しが大好きで、高校生の食べ盛りの時期、朝ごはんにパンを一斤食べていたと言う話は、延べ500回ぐらい聞いたし、その手の話しは巷でよく聞くから、リアクションするのが毎回面倒くさい。

映画はヤクザやマフィアが出てくるのを好み、マンガは、やたらざわざわしちゃうギャンブル系と、三国志がお気に入りで、同じ映画を観たいと意気投合したことはない。

本を読むのが好きじゃなくて、その理由が、幼い頃に母に読んでもらったごんぎつねがトラウマだと言う。教科書に出てきた時どう対処したんだ、活字が苦手なだけだろう。
トラウマに申し訳ないから謝ってほしい。

ライブや演劇に無関心で、「CDやDVDの方が効率がいいでしょ、暑くないし」といい、尾崎豊のコンサートDVDをみながらコールアンドレスポンスをする。いや、彼はもうこの世にいないから仕方がないけど、私は正直、オーマイリルガーとか盗んだバイクとかに共感出来たことがない。ごめんな。

お。
おお。

メガネかけてないけど、なんかいい感じに面倒くさいなこの人。ちょっと元夫たちの風格を感じる。
そう、私とは何ひとつ合っていない。趣味も好みも考え方も。


だけど、ここまで彼の悪口を書き立てて言うのもなんだが、この面倒くさい人が、私の生活のスイッチを押してくれる人だ。

仕事は真面目に一生懸命。
私の説教に、驚くほど毎回反省をし、「時代は変わったねえ」とタイムトラベラーみたいな顔をする。
よく考えたら、逆ギレはほとんどしない。
私の友達をもてなすのが好きで、「いい旦那さんだね」と言われて浮かれて飲みすぎる。
ハンカチを持った方が良いと言ったら、きっと理由は深く考えずに、バカみたいにハンカチを差し出してくる(大豆田8話)

単純で、面倒で、愛すべきキャラクターに思えてくる。

面倒と思っているのはお互い様で、彼からすれば、私も相当面倒な相手だと思う。
時代錯誤は否めないが、なにせ思い描く理想がまったく実現できない夫婦生活を、彼はどう捉えているんだろうか。

これからも、映画や本屋、ミュージカルは1人で行くし、もちろん、家族でお出かけもするけど、必ずしも毎回夫婦一緒にしなければならないことはない。

私は、きっと、彼が生活の些細なスイッチを押してくれることに、十分満足している。
部屋が、明るくて音楽がなっててあたたかい空間であることの贅沢を知っている。

とりあえず、今のところ、元夫になる予定はないし、これから先もないといいなと思う。

お互い、「こいつ、ちょっと面倒くさいな」と思いながら、ちょっと愛おしいを混ぜ込んでおいたらいい。

そんなことを、大豆田さんを見ながら考えてた。
正直イラつくことの方が多い気がするけども、お互い様だ、どうしようも出来なくなったらまた話し合おう。
赤の他人同士で作る、夫婦って不思議です。

そんな感じで。
noteのとき子とたった一人の現夫、おしまい。







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