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アリエッティ、それは借りない方がいい

昔、まだ新婚だった頃。
もやしを湯がいたお鍋の蓋を取るまえに「ね、この匂い嗅いでみて!」と、さも美味しい驚きがあるよ♡みたいな前振りをして、喜んで鍋の前に顔を突き出した夫の前で蓋を取り、
「この湯気、嗅がない方が良いってTVで言ってたー」(テヘペロ)って言って「コラコラ〜!何嗅がせてるんだよー♡」みたいなやりとりをしたことがある。

なぜ、もやしを湯がいた湯気を嗅がない方がいいのか、さっぱり覚えてないし、さっき検索してみたけど、そんな事実は見つからない。
とにかくこのくだりで「コラコラ〜!」と、TV番組も楽しんでいた。(多分、国分太一くんの男子ごはん)


で、ある日の娘だ。
「お父さん、手を出して♡」
ん?なんだいなんだいと、お父さんは喜んで手を出した。


すると娘は、その手のひらに、そっと、噛み終えたガムを置いた。
「なにこれ♡なにこ…?んあー⁉︎おいコラ!!汚いッ!!」

ひどい仕打ちだ。全然コラコラ出来ない。
小さな粘土作品かな?と覗き込んでいたお父さんの数秒が悲しい。

「お前な!いくら可愛いからって、噛み終えたガムはないだろう!チューで渡してくれるなら分かるけど!」

分からんわ。
叱っているのかそれは。

娘はゲラゲラ笑っていたが、それには私も物申した。
それは人として最低ぞ。
あと、こっそりガムを握りしめているのも相当汚いから、やめなさいね!


それから2,3時間後だ。
完全にガムの一件を忘れた頃に、リビングから「イヤァァァァ!!」という娘の絶叫が聞こえた。なんだなんだ?!と慌てて行くと、夫が「あっ!お前、それどこに⁉︎」

何があったか聞いたら、今度は夫が娘に「手を出して♡」と言い、娘が手を出すと、こともあろうに、夫も噛み終えたガムを娘の手のひらに置いたらしい。

この家には、時を戻すシステムがあるのか。

人として最低だな!!
あと、なんで自分が噛んで吐き出したものを握りしめるんだよ、汚いな!死ぬほど手を洗えや!!

さっきと全く同じことを言ってる気がする。
語気は相当強く変化してるが、こんなデジャブ欲しくない。



「で?ガムは?ちゃんと紙に包んで捨てた?」

「投げた」

…ああん?

「汚くてびっくりして投げた」


…なんだとゴルァーーーー!?!?

(コラコラ3段活用完結)


「見つけなさいよ!どこ投げた!?」

しかし、探しても探してもガムは見つからなかった。
断っておくけれど、ガムが見つからないような散らかった環境でもない。
ルンバ様が快適に暮らせるよう、あまり物は置いていないはずなのだ。
椅子やテーブルの下、そして足、壁や棚の隙間も覗いた。
しかし、見つからないのだ。
夫の噛み終えたガムが。


もしかして我が家には、アリエッティが住んでいるのだろうか?

そんな汚いものを持って帰ったとて、衛生管理を疑われるからやめておけ。
ポスター貼るのに丁度いい、とか、そんなこと思いついたらダメだ!

私はいく日か、見えない小人に訴えてみたが、とうとうガムは見つからなかった。
あと出来ることは、アリエッティが、粘着質な物質の真実を知ることがないよう祈るばかりだ。

父娘は、この件で、めちゃくちゃ私に叱られた。
こんなに叱っているのに、2人がニヤニヤしていたので、そのうち真新しい靴でガムを踏んでしまうという呪いをかけてやった。
私のファンタジー力を舐めるなよ。
あと、うちに住んでるアリエッティに、心から謝って。

コラコラ遊びは、可愛くないと成立しない。
もう一度言う。
可愛くないと成立しない。

とんなにファンタジーっぽく仕立てても、
噛み終えたガムは、紙に包んでゴミ箱へが正解です。





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