痛みはあまり耐えない方がいい 〜痛みとの付き合いかた
痛みスケール
あなたは、自分が我慢強いか、痛みに弱いか知っていますか?
2月に入院決定の診察をした時、体温は38、6度。腰から脇腹、お腹へと出来た帯状疱疹が痛くて痛くて。ここ1週間くらい体が重くて辛くて、ほとんど横になって過ごしていたんです。
その日に病院に行ったのは帯状疱疹の診察ではなく、乳がんの術後2年半検診の予約が入っていたから。こんな状態なのに、帯状疱疹の炎症が画像診断の妨げにならないなら検査を受けようとしていたのです。
しかし、熱を告げるとコロナ検査、インフルエンザ検査で陰性が出るまで2時間、廊下の椅子で待ちました。
その後、皮膚科の診察。予備室のようなところで診察を受けて入院が決まりました。そこから1時間程度、入院準備のためにその部屋で待つことになりました。
病院に来てから、すでに3時間。
痛いし、熱でだるいし、だんだん辛くなってきました。幸い、部屋に人はいないし、ベッド?(診察台?)もあります。私は横になって待つことにしました。
たまたま別の作業をしに部屋に入ってきた看護師さんが、横になっている私の姿を見て
「そうよね、普通にしているから忘れていたけど熱もあるのよね。辛いわよね。痛みに強いのね。1番痛いのを10としたら、今どれくらい?」
そう聞かれたのですが、正直、他の人がどれくらいの痛みでどんなふうに痛がっているかはわからない。答えに困ってしましました。
「痛みに強いかはわからないけど、今、マックスの6〜7くらいです。マックスは生理痛で1週間ベッドでのたうちまわっていました。今は、まあ、のたうちまわらない程度です」
「なるほど」
わかってくれたかな〜?
マックスって、人によって違うよね。のたうちまわるのって、本当にマックスでいいのかな? 痛すぎると、のたうちまわれないのかもしれないし。
そんなことを考えていました。
痛みの強さを伝えるのは難しいですね。伝わっているのか、伝わっていないのかさえ不明なまま会話が終了するのだと思いました。
ただ、入院中と退院後にも同じ質問が繰り返される中で、6〜7くらいと言っていた痛みが4〜5に減った時に、この質問の価値がわかりました。痛みが弱くなっていることが私自身にも、医療関係者にも分かりやすく認識できる。これが大切なんですね。
最初に質問された時は、私は他の人との比較で考えてしまっていました。でも、人と比べることに意味はなくて、私の感じている辛さとか、よくなっているか悪くなっているかを知るためのスケールだったんですね。
今回、そのことを実感しました。
「痛みに強い」?
私も看護師さんに言われた「痛みに強い」という言葉。
痛みに強いとか、弱いとか、本当にあるのでしょうか? 私などは、感じていることを言動として表現するか否かの違いではないかと思ってしまうのですが、ただコツみたいなものはあるのではないかと思っています。
痛みに弱い人からみれば「鈍感」と思われてしまうかもしれませんが、決して鈍感なわけではないと思います。なぜなら痛みを感じていないわけではないからです。
確かに痛みは感じているのですが、ただ、痛い時にその痛みを自分の意識の中心に持ってこないようにしています。
「痛い」けど、やらなければならないことはやる。
「痛い」けど、できるだけ楽しく過ごす。とか。
「痛い」に引きずられないようには意識しています。
なぜなら、私が福祉用具専門相談員として関わっていた1人の利用者さんの事例を忘れないからです。
その方は、日中車椅子に座って、1人でずっと家で過ごしていました。お尻が痛いと、毎日のように電話をいただき、その度に別のクッションを提案しました。しかし、どのクッションを試してもお尻の痛みは楽になりません。
私はケアマネさんと相談して、デイサービスに行く事を勧めました。最初は渋っていましたが、2回、3回と回を重ねるごとにお話しする人も出来て、お尻の痛みなどすっかり忘れてデイサービスで過ごすようになりました。もちろん、お尻が痛いという相談もなくなりました。
この経験から「痛みに意識を集中すると、痛みはどんどん大きくなる」事を学んだのです。
それでも痛い時は痛いし、横になったり薬を飲んだりもします。実際、帯状疱疹の入院中はあまりの痛さに6時間おきに鎮痛剤をもらって飲みました。乳がん手術の前に主治医にお願いしたのは「痛いのは我慢できないので、手術の後、痛みがないようにお願いします」ということでした。
痛さなんてへっちゃら! と思っているわけではなく、人並み以上に恐れてもいるのです。だからこそ、意識の真ん中に置かないように心がけています。
もし、私が痛みに強いのなら、そういうことかもしれません。
我慢しすぎると、思わぬ副作用/後遺症も
しかし、「痛みに強い」から対処しなくていいわけではありません。
痛みは体からの異常のサインですから、痛みを感じたら早期に治療をする必要があります。それと同時に、痛みのコントロールも大切です。
なぜなら、痛みを我慢すると、本来の治療期間よりも体の不調が長引くことがあるからです。
今回の帯状疱疹で私が引きずった痛みの後遺症は筋肉痛でした。右脇腹が痛かったので、常にそこに力が入ってしまっていたのです。
そのため歩いていても右の体幹が縮まって伸びなくなっていました。痛みがスケール2〜3程度に収まって日常的な家事をこなせるようになっても、筋肉痛は続き、真っ直ぐ立てていませんでした。その姿勢で歩くから、首や腰まで痛くなってきて歩くのが辛くなった時期があります。
そこで私が行ったのは、トレッドミルでの歩き姿勢矯正でした。荷物やカバンを持つと、それだけでも姿勢崩れの原因となります。ですから何も持たない状態で姿勢を意識しながら歩く訓練が必要だと思ったのです。
速度を調整しながら、マイペースで一歩一歩、姿勢と体の動かしかたを確認しながら歩きます。慣れてきたら少しペースを上げてもう一度、真っ直ぐ歩けているかを確認します。これを15分程度行いました。
トレッドミルの効果は抜群でした。ちょこザップの帰り道から、私はカバンを斜めがけにした状態で真っ直ぐ体を伸ばして歩けるようになっていました。その日から、1週間程度は毎日、歩き姿勢矯正を行いました。おかげで、首や腰の痛みも、脇腹の筋肉痛も消えて、帯状疱疹前と同じように生活できるようになりました。
痛みを我慢して薬を抑えたつもりもなかったのですが、体からしてみたら痛みコントロールが不足していたのかもしれません。
痛みは我慢をしすぎると、体に様々な悪影響を与えます。ですから、無理に我慢しないで上手にコントロールすることが大切ですね。今回のことで、私も勉強になりました。
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