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「女の子向け」IT教育について思うこと

2020年からプログラミング必修化ということもあって、子どもたちにプログラミングや電子工作を楽しんでもらおうという世の中の流れを感じる。
そんな中、「女の子のためのIT教育」というものをちらほら見かけるようになってきた。お仕事で関わったこともある。でも私は「女の子のためのIT教育」というものにずっと違和感があった。

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「女の子向け」として求められているのは、多分やわらかい・かわいい・親近感がわく……そんなイメージのものだと思う。
プログラミングや電子工作の作例は、ゲームとか、ラジオ、ロボット、計測器みたいな硬くてとっつきにくいものが多いから。

でも、それなら素直に「やわらかい」「かわいい」「親近感」をカテゴリー名として使ったらいいんじゃないか。なぜそこにわざわざ「女の子」が入ってくるんだろう?それが1年くらいずっと引っかかっていた。

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今までの時代は「男=硬い、かっこいい」「女=やわらかい、かわいい」というイメージが一般的だった。だけど、それはどんどん崩壊しているように感じる。今は男らしい、女らしいという言葉が何を指すのかあやふやになりつつある。

だからこそ、「女の子向け」というカテゴリはもう機能しないと感じる。

また、「女の子向け」というカテゴリを作り出すことによって「あれ、この分野では女の子は特別なんだな」という雰囲気が漂ってしまう。
そして、その女の子向けの何かに触れれば触れるほど、「女の子らしさ」という既に消えつつある固定観念が、静かに刷り込まれていく。
無意識に受信してしまうことは怖い。

女の子のために良かれと思ってやったことが、逆に女の子を理系の道から遠ざけることになってしまう。
結局歴史の繰り返しになる、縛りを生んでしまう、呪いになる。
そういうことはやめたいなと思う。

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とはいえ、好みに男女差があることは分かっている。
レースやフリルが好きなのは女性の方が多いし、電車やパソコンが好きなのは男性の方が多い、みたいな。

その好みの差ってなんなんだろう?と考えたとき、「きゅん」とくるか、「おお!」となるかの違いかな、と思った。(いい言葉が見つからなかった。)

自分の中をあたためるような「きゅん」という感覚を与えてくれるものが女性に人気で、自分の外に広がっていくような「おお!」という感覚になるものが男性には受けているような感じ。

プログラミング・電子工作で現在広まってる作例は「おお!」カテゴリーのものが多い。だから、自分の中をほっこりときめかせるような、「きゅん」カテゴリーの作例がもっと広まればいいのだ。それが多分よく求められる「女の子向け」というものだし、この時代に変に「女」とくくるよりずっといいはず。

それに、なにも「きゅん」は女の子のものだけではない。
男の子でも「きゅん」とくる感覚が好きな人はいるはず。少数派だろうし、声をあげるほどの熱量をそこにもっているわけではないから、もやっとしつつも「まあいいか」で流していた、そんな男の子(または男性)たち。
「女の子向け」を撤廃し、「きゅん」カテゴリーとして作例がたくさん生まれれば、女の子だけでなくそういう男性たちも楽しめるはず。

結局言いたかったことは、「女の子向け」として求められていることに、性別に囚われない新たなラベルをつけようという、なんてことない話。
とはいえ、ラベルって大事。
代々続く商品の売り上げが低迷していて、中身は変えずにパッケージだけデザイナーに一新してもらったら爆発的にヒット…なんて例もよくあるし。

「昔から当たり前に使われているから」という理由だけでジェンダーをラベルとして使うのはもういいんじゃないかな、だってもう令和だからね!という話でした。

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こういうことは日常でどう心がければいいのかというのが難しい。良くも悪くもスピード感のある時代だから、気を抜くと自分の価値観なんかすり抜けて物事が流れていってしまう。

私は電子工作して物を作ったり、動画を上げたり、時々記事を書かせていただいたりしている。そこで気を付けていることがいくつかある。

◆男の子向け・女の子向けという視点では書かない。(かつて書いたことがあるけど、今はとても気を付けている。)
◆古いジェンダー感を感じることがあれば、黙ってないで意見を出してみる。
◆女性であることをセルフブランディングに使わない。もし性別を伏せていたとしても見てもらえるような内容を心がける。

まあ全部できているかといえば、そうでないことも多いけど。
小心者なりに勇気を出して、まだまだ残っているジェンダーの呪いを食い止めようとしている。身近なところの流れを変え続ければ、きっともっと生きやすい世界になっていくだろうと思っている。

※このnoteは私の個人的な考えで、特定の個人や団体を批判しているわけではありません。

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