第８話「再会」２　小林昭人

　本作は２００５年に小林昭人さんがホームページにて連載していた小説で、作者の許諾を得て、飛田カオルが本サイトに再掲するものです。

「謹んでお受けいたします、公使閣下イクツェレンツ。」
　辞令を受け取るハマーンの顔が喜色ばむのが、ジュグノーにも分かった。
「それともう一つ、あまり嬉しくないニュースがある。」
　キョトンとした顔をした彼女に、公使は続けて言った。
「お父上が君の婚約者候補アウセフェルテとして目をかけておられるフリッツ少将閣下が、来年の三月にここに御挨拶に来るそうだ。正式な婚約会見フェアローブングをここでしたいらしい。話はそれまでにまとめておいてくれたまえ。」
　フリッツの名前を聞いて、ハマーンの顔が見る見る曇ったのが、ジュグノーにも分かった。