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豊かさに溢れた水の都、会津。

会津若松と喜多方は私のルーツでもある街。
震災以降、折に触れ会津で滞在しながらいつもと違う環境に身を置いて仕事をしていた。震災以降風評被害で観光客が減り、増え続けるシャッターに悔しくて悔しくて泣いた日もあったけれど、会津の魅力とは何かを私なりに考え続けている。

住んでいて、当たり前にあることほどその魅力に気づかないこともあるのではないかと思っていて、ようやくそれを言語化できるようになってきた今日この頃。

さて、会津の魅力とは何だろうか。

戊辰戦争の時に城下町であった会津若松浄化は激戦地となった為、戊辰戦争以前の建物はほとんど残っていない。観光地となっている鶴ヶ城は新政府軍にボコボコに砲弾を撃ち込まれてほとんど朽ち果てていた物を復元したもの。

その代わり、明治期以降の昭和の初め頃までの他の場所では多くが失われている建物が残っていたりする。そしてその建物たちは、今も現役。そしてそれはただ文化財として保存されているのではなく、喫茶店や新聞販売店、スポーツ用品店など、生活に溶け込んでいる。明治〜昭和初期の建物好きとしては七日町から野口英世通りに抜ける道は歩いていてとても楽しい。

そして街のいたる所で水の流れる音がする。
会津若松も喜多方も水に恵まれた街である。
その水を活用して古くからいくつもの酒蔵があり、日本酒を作っている。
どんなお店でも「お冷」として出てくる水が本当に美味しい。
それはもう、とてつもなく美味しい。
一口飲めば身体に染み渡り、するすると喉を通っていく。
ホテルのなんの変哲もないシャワーですら、水が柔らかくて本当に気持ちがいい。
うがいすら爽快。3日も滞在していると、全ての体内の水がこの会津の水に置き換わるのを感じられる。

当然、どこに行ってもお茶が美味しい。
珈琲は絶品。
水が美味しいから酒も美味いし米も美味い、調味料も美味いしもう全ての飲み物と食べ物が美味しい説を個人的には唱えているのだが、これは確かだと思う。

(ちなみに、会津若松と喜多方で水の味も手触りも違う様な気がして調べたら、猪苗代湖水源の会津若松と栂峰渓流水を水源とする喜多方でした)

この水こそが、一つ目の魅力であり武器であるのではないだろうか。

会津若松も喜多方も、実はとても珈琲文化が根付いている。

會津壱番館
水出し珈琲が絶品
末廣酒造併設の喫茶室杏では仕込み水の水出し珈琲

この他にも会津若松のブラジル、喜多方の煉瓦亭もおすすめ。
(どこの珈琲も本当に美味しいので、珈琲のイベントをいつかやりたいと野望を抱いています)

水を推している気配は全然しないのだが、行政の皆さんにはぜひこの水の良さを推して頂きたい。忍野八海はお土産屋さんで空の1Lペットボトルを購入して購入者本人が水を詰めるという水の販売をしている。それを取り入れたら買う人が沢山いるに違いない。

そしてお土産で喜多方ラーメンやら調理する物系、珈琲豆とかを買う人は必ず現地の水を手に入れて欲しい。なんなら水道水で良い。喜多方ラーメンは喜多方の水で調理するから美味しいのであって、東京の水で調理したって普通のラーメン。
声を大にして言いたい。

お土産の喜多方ラーメンは水もセットで!!!!!!!!

そして、会津の街にはゴミが落ちていない。
どこのお店や宿泊施設に行っても、建物は古くても手入れが行き届いていて清潔。
厨房もピカピカで、店内の棚や隅にも埃が溜まっていない。
一つ一つの料理や工芸品に派手さはなくても、手間暇をかけて丁寧に作られている。

これって、実は凄いことだと思うのです。
みんなが当たり前に物凄く丁寧だということ。
丁寧さが居心地の良さや美味しさを生み出しているということ。

なんて豊かなのだろうと思う。

ゴミ一つ落ちていない会津若松
山田木綿織元さんの工房。美しいのです。
機械は古くても、丁寧に手入れされている
喜多方の昭和感&ジブリ感溢れる路地
喜多方の街にもゴミ一つ落ちていない

丁寧な仕事や生活の中に、水の恵みが溢れている。
それこそが会津の魅力なのではないだろうか。
そしてそれは、そこで生活している人には中々気づくことのない魅力ではないかとも思うのです。

贅沢さとは何か。
高級な物で囲まれることなどではなく、丁寧な仕事が当たり前の人たちの手で丁寧に作られた物を享受出来て、居心地の良い空間でのんびりとした時間が流れていて、それを満喫出来ることこそが、本当の贅沢なのではないかと思う。

会津で過ごす時間はとても豊かで贅沢な時間。
色々な人の心の故郷であって欲しい場所。

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