見出し画像

もう1つのノートに野球を書く

このnoteを始める前から付けている「ノート」がある。
誰かに見せるために書いているわけではないし、名前も特にない。人に話すときは「野球のことノートに書いてるんです」と伝えている。上手く言い表すなら野球観戦ノートだろうか。

学生記者として野球の取材をするとき、手元にはいつも無印良品の小さなメモ帳と3色ボールペンがあった。目の前で起こったこと、プレーヤーの表情、後で質問しようと思ったこと、考えるがままに書きなぐった。
いつしか、取材以外で野球の試合を見るときもメモを取るようになった。インタビューの有無は関係ない。ただペンを走らせているだけで楽しかった。

大学を卒業して、僕がペンを走らせるのはメモ帳からノートに変わった。ちなみに写真のノートは2冊目である。

書く内容はだいぶ減った。試合の日付、対戦相手、得点の経過、スタメンと途中出場した選手たち。
どれもスポナビの野球速報アプリを開けば分かることだらけだ。自分の撮った写真があるおかげで、かろうじてオリジナル要素が保たれている。

デジタル最前線の今、どうして手書きで記録を残すのだろうか。

最近は試合中にノートを開くことはあまりしない。自宅に戻ったその日や翌日にスマホを横に置いて試合のことを調べながら書いている。

それでも、選手の名前やスコアの数字をひとつひとつ書き写していくたび、野球場で見た光景が鮮明に浮かび上がってくる。

この回、〇〇が打って先制点が入ったんだよな。

途中から出てきたこの選手、名前が呼ばれたときの拍手すごかったなあ。

ノートに書き込んでいくことで、そんな記憶がしっかりと刻み込まれていくような感覚になる。勉強も手書きしたほうが記憶として定着しやすいってデータもあるけど、そういうのとは違う。別に忘れたくないから書いているわけではない。

結局のところペンを握って何かを書いている時間が、単に好きなだけなんだろうと思う。

そういえば、スペース気にせず好き放題書けそうという理由で1度タブレットとペンを使った電子ノートに挑戦したことがあった。

なんだか書いている実感が得られなくて、すぐにやめてしまった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?