海の向こうからのエール【4/2 対巨人戦●】
平成8年生まれの僕は、ランディ・バースを生で見たことがない。
だから「タイガース史上最高の助っ人野手は?」という質問には、マット・マートンと即座に答える。
マートンは2010年にタイガースに入団した外野手だ。タイガースでは計6年間プレーした。獲得当時は前年に引退した赤星憲広の代わりができる中堅手という触れ込みだったのも昔の話だ。来日1年目のでいきなり日本プロ野球のシーズン安打記録を更新する214安打を放ち、ファンを驚かせた。「赤星ロス」に陥っていた僕の心を、マートンの活躍が紛らわせてくれた。
2014年には首位打者を獲得。その活躍でチームを2位に導き、初のCS制覇を達成した。
打点王を獲得したマウロ・ゴメスとランディ・メッセンジャー、呉昇桓の助っ人四人衆の結束が印象的なシーズンでもあった。
ヒーローインタビューでは日本語を交えた会話で盛り上げ、吉野家の牛丼が大好きだった。
マートンはレフトスタンドにいるビジターのファンとよくコミュニケーションを取っていた。1度アウトカウントを間違えて観客席にボールを投げ入れてしまったことがあったが、その件をきっかけにマートンはレフトスタンドのファンとアウトカウントのハンドサインを交わすようになった。
マートンがタイガースファンを愛していたように、タイガースファンもマートンを愛していた。
マートンはタイガースを去ってからも、チームのことを気にかけてくれている。
「さぁ行こう!」といえば、円陣の声出しを締めるときに使う掛け声だ。連敗に悲しむタイガースファンを集めて円陣を組むマートン。そんな姿が目に浮かぶようだった。
ファンを愛していたマートンらしいメッセージだ。泣けてくる。
家を出る前、「さぁ行こう!」と口に出してみた。フッと肩の力が抜けて、気分が晴れやかになった。なんだか勇気がわいてきた。やっぱマートンは最高だ。
みんな必死になってやっている。
その思いが、今日こそ実を結びますように。
さぁ行こう!
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