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#19 ときめく方を選べばいい|とべちゃんの副音声

週末をつかって1泊2日の熱海旅行へ。
ちょっとしたきっかけで、浴衣を着て散策することに。

熱海駅付近のサロンで、浴衣のレンタルとヘアセットを予約した。
事前に「どんなテーマの浴衣を着たいか、考えておいてください」と言われていた。選択肢がわからない中で、イメージを持つと、イメージ通りのデザインがなかったときにがっかりしてしまうからやめた。

「すぐ決められるでしょ」そう思っていたのに、いざ選ぶとなるとものすごく迷った。一緒にいた友人はサクサクと浴衣と帯を決めてヘアセットに移っていった。

「せっかくレンタルするのだから、自分で持っていないもの、普段着ないような思いきったものを」そう思っていた。でも手に取るもの、目に止まるもの全てが、既視感がある気がして決められない。

悩みながらなんとか浴衣を選んだ。麻が多めのシャリっとした古典柄の浴衣。紺に近い青色の地に、白い矢柄。どんな色の帯にも合う優等生。

でも、優等生ゆえに帯選びでも大苦戦。箪笥にある帯を次から次へと取り出してはしまうの繰り返し。白い帯でシンプルにまとめるもよし、定番の赤や黄色で元気よくいくもよし、落ち着いたグリーンで渋く決めるもよし。モダンな柄もあれば、前から憧れていた伝統的な博多織もある…いつまでたっても踏ん切りがつかなかった。

焦る私に一緒に見てくれていた着付けのお姉さんが言った。
「大丈夫。ワクワクする方を選べば良いよ」

「好きなんでしょ?そこまで悩んでくれて嬉しい。」
そう言って、奥の部屋からさらに新しい帯を出してくれた。(そしてさらに悩みは深まる)

最後には「浴衣を着て、帯をあててみた印象で決めればいいよ」と言ってもらえたので、最終候補の3種類の帯を抱えて着替え部屋に移った。

畳のいい匂いがする涼しい部屋には、桐箪笥がびっしりと並んでいた。カラフルな帯揚げや帯締めもたくさん並んでいて、心踊った。

浴衣を着せてもらい、いよいよ帯。1つ目、2つ目、3つ目…順番に帯を合わせていく。どれも間違いなく可愛い。一つずつ帯をあてる度に歓声。そりゃそうだよ。私が悩みに悩んで決められなかった最終候補だもの。

それにしても、いい加減に決めなくてはいけない…なんとなく一番心がしっくりきた気がする2番目の帯を選ぼうとしたそのとき、

「ねぇ、2番目の帯じゃない?全部よかったけど、帯を合わせたときに一番表情が明るくなったから」とお姉さんが言った。

まさか、自分の気持ちを言い当てられるとは。
相手の表情から選ぶべき帯を見つけてしまうお姉さんの偉大さ。

”ワクワクする方を選べば良い”は、こういうことだったのかと腹落ち。

ワクワクする方、それはあの瞬間の私にとって、思いがけず出会って”ときめく”に近い感覚だった。

振り返ると「普段着ないもの」「持ってないもの」「みんなとかぶらないもの」なんて頭で考えてばかりだった。

”ときめく方を選べばいい”

心や直感が決めてくれる。

好きなことにロジカルな理由なんて、なくてもいいじゃないか。
本来そうだったはずの気持ちを思い出した気がした。

こうして、熱海散策は最高に満足する1着と共に過ごすことができた。

<ときめきの学び>
・綿より麻多めのパリパリした質感が好き
・モダンな柄より古典的な柄が好き
・可愛いよりもかっこいいが好き
・かっこいいものを可愛く着るのが好き
・博多帯が欲しい

おしまい

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