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CTOとして技術視点でスタートアップの経営に向き合う

メダップで取締役CTOをしている馬場です。
今日は、CTOアドベントカレンダーに乗っかって、普段CTOとして何を考えているのか?について書き起こしてみました!

CTOアドベントカレンダーはこちら↓↓↓
https://qiita.com/advent-calendar/2021/cto

どんな風に書こうかな?と悩んでいたのですが、

- アーリーフェーズのスタートアップでCTOとして奮闘している同志の方々
- スタートアップを経営している経営陣の方々
- キャリアとしてCTOを考えている方々

を読者と想定して、つらつらと書けたらいいなと思っています!

現時点で考えるCTOの役割

CTOの役割について話す前に、現状のメダップがどういったフェーズなのかを説明します。
(前提があった上での役割だと思っています...)

メダップは、病院業界向けにSaaSを提供しているスタートアップです。
プロダクトとしては、2020年まで外注していたものを今年(2021年)に入って内製化を進めており、これまでにCS, Salesが集めてくれたユーザーインサイトをもとに、ここ1年間でプロダクトを刷新しを行ってきました。結果として、特定のペルソナに関しては、ある程度プロダクトを通じた価値提供ができつつあるといった状況です。
また、今年(2021年)8月にシリーズAの資金調達を実施し、ここから事業・組織ともにより一層拡大していきたいと考えています。

復唱になりますが、まとめると
特定のペルソナに対して価値提供ができつつあり、ここから急成長を実現したいと考えているスタートアップ企業です。(ざっくり過ぎて、他の経営陣に怒られるかもしれませんw)

こうした中で、CTOとしては、
「事業成長を支える開発基盤・開発組織を作る」
ことが最も重要な役割であると考えています。

技術ではなく、あくまで会社・事業を成長させること。もっというと、事業を通じて市場に提供できる価値を最大化することが、CTOのミッションだと考えています。
その中でも、SaaSカンパニーにおけるCTOとしては、成長の中心にあるプロダクトに直接的な関与をする立場であり、ユーザーにとって価値あるプロダクトを素早く, 的確に開発できる基盤作りを牽引することが重要です。

そして、このミッションをブレイクダウンすると、下記要素があるかなと考えています。

- 事業戦略を理解した上で、その成長を見据えた開発体制の立案
- 事業戦略から開発組織に対してビジョンの創出
- (開発) 組織文化の形成
- 部署間の触媒になる
- 開発に関わる予実管理 (開発における執行に全責任を持つ)

この要素が、私が普段CTOとして考えいることとイコールです。

事業戦略を理解した上で、その成長を見据えた開発体制の立案

経営陣を中心に描く事業戦略に対して、その実現のために必要な組織設計 - ソフトウェア設計が、CTOとしては最重要ミッションだと思っています。

(サンプルとしての提示になってしまうので、どこまで具体的に伝えられるか自信がないのですが... Meety等で応募いただければメダップの事例についてもより詳細にお話しますww!)

- 現在の事業として見えているARRの限界値は?
- ARRを更に引き上げようとしたときに、必要なのはアップセルなのか?クロスセルなのか?
- 領域は替えずとも、ペルソナ/セグメントをスライドして、プロダクトをアジャストするのか?
- もしくは、全く違う領域でプロダクトを立ち上げるのか?

事業成長と一言で言っても、上記のように登り方は複数存在します。
仮に、領域を替えずにセグメントをスライドして、プロダクトもそのセグメントに合わせる形で調整すると、下記のようなソフトウェアの意思決定が求められます。

- 認証基盤は同じなのか?別なのか?
- 共通部分は、共通サービスとして切り離すべきか?
- そもそも、現行のシステムにのっけるのか?別アプリケーションとして立ち上げるのか?

↑ 上記を考えつつ、いまの組織状況, 事業としての展望, 開発生産性など、様々な要素から最速かつある程度のスケーラビリティを如何に生み出すか?

スケーラビリティを担保するために、どこでサービスを切り離すのか?どのタイミングでどの程度のチーム構成にすべきなのか?

CTOとしては、自分たちの会社が向かっている市場の特徴を掴み事業展望のイメージを膨らませ、開発組織・プロダクトがその成長のエンジンとなれるように組織・ソフトウェアともに設計をしていくことが求められると思います。

びっくりするほど難しい意思決定ですが、CTOとして最も楽しむべきテーマかな〜と思っています。
そしてこの辺りは、経営陣の中でも孤立しやすいかなと思うので、(他の経営陣が開発出身でない限り...)
私としては、他の会社でご活躍されているCTOの方々からぜひ色々知見をシェアしていただきたいですw!

私ごとですが、今年10月に取締役に就任いたしました。
この辺りの思考は、取締役になったことで会社の未来を考えなければという思いからより一層思考が進んでいる気がしています。(ようやく意識できつつある...)

事業戦略から開発組織に対してビジョンの創出

開発組織・ソフトウェアの形がある程度決まったとしたら、事業戦略からどうしてその設計方針に決まったのか?を開発メンバーに対してシェアすることもCTOの責務だと考えています。

- なぜこういった開発体制にするのか...?
- なぜこうしたソフトウェア設計を行うのか...?
-技術選定はなぜこうしているのか....?

上記のような項目について全社方針を鮮明に伝え、開発組織として何を目指すのか?を心から理解してもらいたいと思っています
(目指せプロシュート兄貴)

私の直近の試みとしては、中長期の開発組織ビジョンをシェアした上で、その実現に必要となる開発/技術テーマを3つ選定し、メンバーに周知するようにしています。

もちろん、私の方でも各テーマに対してどういう取り組みをしていくべきかを考えますが、
技術的な専門性が高いメンバーも多いので、各テーマに対してメンバーが自ら考え、行動に移すことができる環境づくりにこだわっています。

(開発) 組織文化の形成

上記のような形で開発戦略やビジョンを作ったとしてもそれを実現できるだけの開発組織がなければ、意味がありません。
優れた開発組織には優秀なメンバーが不可欠であり、優秀なメンバーを集めるためには、組織文化を作っていくことが重要です。

既に参画してくれているメンバーと共に、どういった開発文化を築くのかを話し合い、誰よりも文化作りにコミットしていくことがアーリーフェーズのCTOに求められると思っています。

人数が少ないということもあり、CTOの考えが非常に大きな影響力を持ちます。この時点でどういった開発思想を組織に持ち込むのか?何を是として何を悪とみなすのか?組織としてのスタンスを明確にすることが重要です。

文化や価値観に正解はなく、迷った場合にこの組織としてはこっちに意思決定するよ!と導く、思考の軸のようなものだと考えています。

メダップの場合は、下記のような項目が開発文化として根付いていると思います。

- ユーザーサクセスな開発(ユーザーの課題に向き合った開発)
- フロー効率性を重視した開発
- チームvs課題の構図を作る開発体制(課題を個人に紐付けない)
- ケイパビリティモデルによる定量的な開発生産性の可視化と改善サイクル

部署間の触媒となる働きかけ

こちらは、CTOというよりも開発責任者としての側面が大きいかもしれませんが....

メダップでは、プロダクトを通じたユーザーサクセスをSales, CS, Mktとあらゆる部署共通で大切にしています。
ユーザーサクセスには、ユーザー理解が必須であり、ここは開発者だけで解決できません。

ユーザーの課題はもちろん、そもそもユーザーってどんな人なのか?ユーザーはプロダクトに対してどういったことを思うのか?また、ユーザーは普段どんな業務を行っているのか?... etc

ユーザーの理解を深めるためには、あらゆる部署と協力しつつプロダクトについて議論するような組織文化を作り上げる必要があると考えています。

とはいえ、やはりどうしても部署を超えたコミュニケーションは普段よりも1段ハードルが高くなってしまうため、
開発責任者としては、率先して他の部署のメンバーから意見をもらう空気感・文化を作っていくことが大切だと考えています。

メダップでも内製化した当初は開発の人たちはどんな人達なの...?と牽制されていたところがあると思います。
しかし、現在ではこんなことできるか?といった相談から、こういうフィードバックもらったよ!とユーザーの声を直接シェアしてくれるような信頼関係を構築できました!この信頼関係をベースとして最近では、各部署の有志で集まってプロダクトについて議論する「プロダクト懇親会」を実施したりと、随分職種を超えたコミュニケーションが活性化してきました。

この文化は、これからも引き続き育てていきたいと思っています。

開発予実管理 (開発における執行に全責任を持つ)

メダップはまだまだアーリーフェーズということもあり、CTO自身がプロダクト開発に対して直接関与しています。
(自分自身も開発メンバーとして、バンバン開発してます!!)

会社としては、何よりもまずユーザーに価値をデリバリーすることが重要であり、最速で最大の価値を届けることにCTOとしても全力投球してます!

先輩CTOの方々にお話を伺うと、会社がスケールしていくにつれてCTOとしては、開発の第一線から身を引いて開発戦略や組織構築に身を置く傾向にあると想定はしているのですが、それは成長した先の事象だと思っているので、これからも当面はしっかり自分自身がプロダクト開発第一線でチームを牽引していきたいなと思っています。
(もちろん、自分が抜けても大丈夫なように、開発作業の標準化や権限移譲は積極的にやってます!)

メダップでは、四半期ごとに全社目標を掲げて、その目標達成に向けて動いています。開発組織としては、そこで掲げたプロダクトとしてバリューアップ, 技術整理/負債解消を実現できるように、しっかりとやり切っていきたいと思っています。
(きっとその先に、事業としての成長・ユーザーに届ける価値の最大化がある!!)

ちょっと気合いに振りすぎた気もするのでもうちょっと真面目なことをいうと...
四半期で掲げた目標達成と中長期で掲げている開発戦略の両方をしっかりと実現できるように、どれくらいの開発リソースでプロダクト開発:技術整理/負債解消の比率をどれくらいでやっていくのか?
その際に、開発人員構成は何が最適で、その理想値は組織全体のR&D比率として適切か?といったこともしっかり考えています。

まとめ

頭の中にあるCTOとしての役割をダーーっと書いてしまったので、あまりまとまりのない文章になっている気がするのですが...

アーリーフェーズのスタートアップCTOとして何を考え、行動しているのか?について少しでも参考になると幸甚です。

(ちなみに、本当のことを言ってしまうと、普段は水道橋ランチどこに行こうか?しか考えていないです)

お前おもろいなとか、メダップで具体的にどんな開発戦略・組織を作っているのか興味もったぞ!って方は、ぜひ一度お話しましょう〜!
より詳しくメダップの開発組織についてシェアできればと思っています。(Twitter DM はこちら)

(Meetyもはじめました!)

(良ければ、採用ページもご覧ください!)