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今の私を忘れないための備忘録

最近アルバイトを始め、無気力なニート生活から抜け出しつつある私は、日々自分の成長をひしひしと感じている。

自分の成長を感じ嬉しくなる反面、恐怖も覚える。
人間、事あるごとに成長などと言うが、この本質は変化であり、これが成長か退行かは視点によるだろう。
そして変化とはそれが及ぼす影響に関わらず、今まであったものがなくなることでもある。
つまり、私は変化し、それは成長とも取れるほど良い影響を及ぼしているが、それと同時に変化前の私を構成していた何かを失くしたということでもある。

自分の変化に気づいた時、私は過去の私の死を感じるのだ。

私はそれが恐ろしくてたまらない。恐ろしくて、過去の私との相違点を探して必死にメモをするのだが、変化してしまった今、過去の私を完璧に理解することはできず、いくつもの言葉が、価値観が、思考が、感情が零れ落ちてしまっていて、きっと私はそれに気づいていない。何を失くしたかもわからない。
今までそうやって失くしながら生きて来て、これからも失くしながら生きていくのか、と思うとたまらなく恐ろしく、虚しく、悔しい。

変わりたくない。忘れたくない。社会に順応したくない。そうしたら、何かを失ってしまう気がするから。
あの時こんな奴になってたまるかと恨んだはずの、私の真剣な思いと悩んだ時間を、「過去の事だから」「子供の考えだから」と聞きもせず切り捨ててしまうような嫌いな大人になってしまう気がするから。

どれだけ稚拙だといわれるような間違った考えを過去の私が持っていたとしても、きっと自分なりに考えて出した答えなのだ。
どれだけ馬鹿げていたとしても、今の私とは違っても、理解できなくても、大事にしたい。
もしその意思を汲み取ることなく馬鹿にするようになれば、きっと私の嫌いな「大人」になってしまうだろう。


だが、人が生きていく上で変化というのは避けられないものだ。私達は一分、一秒と少しずつ変化しており、全てを忘れず失くさず変わらず生きていくのは端的に言えば無理だろう。
大人になるのは変えられない。私が嫌いだった大人と完全に違う大人になるのも不可能だろう。社会で生きていくためには多少なりとも嫌なものに染まらなくてはならない。少なくとも私には一切染まらず生ききることは無理だ。
それでも、嫌いだった存在から少しでも遠ざかるように意識して生きることはできる。私は、子供も一人の人間として扱い、その意見を大事に出来る「私が思う理想の大人」に少しでも近づきたいのだ。


子供を一人の人間として扱い大事にするといっても、それは贔屓することではない。

私は子供にわざわざ社会のつらさを説く大人が嫌いだった。
これから先社会に出て働く者たちに「社会はつらい」「嫌な事ばっかだ」なんて言って何になるんだよ。これからごはんを食べる人にそれ不味いよって言ってる様なものじゃないか。だれが食べたくなるんだよ、それ。と思っていた。
だが今改めて考えると、あれは大人の吐露だったんだろうと思う。嘘偽りない素直な感想。
私が自分で精一杯だったように、それだけ大人も頑張っているのだろう。気づけなくてごめん。しんどかったんだよな。頑張ってたんだよな。

過去の私はそれに気づけなかった。大人はわかってくれない、わかろうとしてくれないと被害者ヅラしときながら実際はどうだ、自分も大人の事なんてわかっていなかったしわかろうともしてなかった。非難した大人と一緒だったのだ。
子供扱いするな、一人の人間として対等に扱え!なんて偉そうに言いながら相手の事なぞ考えず自分の意見だけ主張していた。自分が優先されるべきだと、知らず知らずに子供という立場に甘えていたのだ。

これは反省するべき点だし、過去の私が間違っていると思う。
だが、その上でやはり大人は子供の前でしんどさをアピールすべきではないとも思う。
過去の私の考えも、今の私の考えも、子供の考えも、大人の考えも、全て一つの、一人の意見だ。一度飲み込んで、咀嚼して、味わって、その上で私の答えを出す。
それが対等に、一人の人間として扱うということなのではないかと私は思う。


子供でもあり大人でもある微妙な年齢の今、私に出来る事は何か?
今の私にしか考えられない事、わからない事がきっとあると思う。


大人なんて人生なんて、となげやりながらも必死に悩んで苦しんで考えた過去の私の思いを、時間を零さず、少しでも多く明日に持っていけるように。

子供でいられなくなって、毎日色んなものに押しつぶされそうになりながらなんとか頑張って生きている人の事を少しでも理解できるように。

私を見た誰かが、こんな大人が居るのなら大人になってもいいかな、と少しでも思えるように。

今日の私を未来の私が大事に出来るように。

私は今の私の言葉を、価値観を、思考を、感情を探して整理して、より正確に記していきたい。

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