「教員は社会人経験をするべき論」の嘘
世の中には、時々、こういうことを言う人がいます。
「教員は、社会人経験をした人がなるべきだ」
これは、果たして、正しいのでしょうか。
かつて、私は、10年以上お笑い芸人として活動していました。
正社員として会社勤めしたこともあります。
いわゆる「社会人経験」もあります。
その私が自信を持って断言をします。
「教員は、社会人経験をした人がなるべきだ」
は、全くもって正しくありません。
「教員は社会人経験をするべき論」を振りかざす人は、
過去に自分が出会ったトンデモ教師に対して
「アイツが酷い教師なのは、社会人を経験していないからだ。社会人経験があれば、日頃の子ども対応が良いはずで、授業も楽しくてわかりやすいはずだ」
と勝手に決めつけているに過ぎません。
誤解を恐れずに言うならば 子ども対応や授業が上手な先生は、別に「社会人経験があるから」上手な訳ではありません。
逆に、子ども対応や授業が下手な先生は、「社会人経験が無いから」下手な訳ではありません。
子ども対応や授業の上手・下手を左右するのは、社会人経験なのではなく、現場で正しいことを、正しい方法で学んだかどうかに尽きます。
子どもへの対応の仕方、授業力は、会社員として働いていたからと言って、身につくものではありません。
これらの考えが疑わしいのであれば 試しに、その辺の社会人を捕まえて、学校現場におけるトラブル事例を挙げて、どのような対応が望ましいのか、問うてみたらいいのです。
試しに、その辺の社会人を捕まえて、小学生相手に教室で授業をやらせてみたらいいのです。
社会人に、どれほどの対応・授業ができるというのか。
そもそも、世の中の父親・母親の多くは、社会人経験が豊富にあるはずです。それなのに、自分達の子どもの教育がままならずに困っている父親・母親がたくさんいるではないか。
社会人経験のある多くの父親・母親が子育てに悩んでいるではないか。
学校現場で1つ1つを経験し、悩みながら、対応の仕方を学び、授業の技術を高め、それと平行して、自分の人間性を高める行動・活動をする。
そのこと以外に、教師力を高める方法はありません。
「教師は社会経験をするべき論」者の中に、次のようにいう人もいます。
・子ども達の多くは、社会に出るのに(会社勤めするのに)、教師が社会人経験をしていないのはおかしい。それで、どうやって社会で生きていく人を育てることができるのか。
これも、私は暴論だと思っています。
逆に、社会人経験のある教員が、将来会社勤めする予定の子ども達を教育するにあたって、他の教員と比べて、どんなアドバンテージがあるというのでしょうか?
書類作成の仕方?
会議の提案の仕方?
社内マナー?
営業先での振る舞い方?
そんなことは、その会社勤めした時に学べばいいものだし、 小学生・中学生の時に教えてもらっても、ピンとこないでしょう。
そもそも、どんな業種のどんな会社に入社するのか、どんな職種に就くのか、どんな部署に配属されるのか、その部署ではどういうルールがあるのか、によって、その場所で得られる社会人経験は異なります。
したがって、その場所で得た社会人経験が、別の業種・別の会社・別の職種・別の部署では通用しない、なんてことはザラにあることです。
ですから、
・子ども達の多くは、社会に出るのに(会社勤めするのに)、教師が社会人経験をしていないのはおかしい。それで、どうやって社会で生きていく人を育てることができるのか。
は、成立しないことになります。
これらの理由により、「教師は社会人経験をするべき論」は正しくないと思いますし、「教師は社会的経験をするべき論」を耳にするたびに、嫌な気持ちになります。
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