成長が見えると嬉しい。
人を指導する立場になると、少しでも指導した職員が成長できていると実感できるような事があると嬉しいものです。
多くの職員は、とても長い目で見てあげれば余程の事がない限りは少しずつ成長してくれますが、その前提として、教える側の熱意や意欲、介護観を伝えているかが重要と個人的に思っています。
そうする事で『自分もこの人みたいになりたい。』と思ってくれた職員は間違いなく成長します。
そうではなくて、ただスキルを盗みたいとか、ただスキルアップしたいとか、そういう小手先だけの介護技術を習得しようとしている職員は、こちらが思うほど、本人が感じてるほどは成長しないような気がします。
きっとそれは、根本的な考え方や理念が合致していかない事で、対応だけや技術だけを覚えて上手くなっても対応しきれないようになるからだと感じています。
職員も利用者さんも十人十色だし、教える方だってそれぞれに個性があって教え方もいろいろあるので、合うあわないはあるとは思いますが、僕自身はどんなタイプの上司からも色々といいものを吸収したいと思って指導を受けてきたので、少なくとも教わる側は、そういう柔軟性は大切なんじゃないかなぁと思います。
自分で気づかないような能力を磨いてくれたりもあるので、それぞれの上司なりの考え方や介護観を見本にして学ぶ事は、とてもよい経験になるとは思います。少なくとも僕自身はそうやって成長してきたと思っています。
さて、成長が見えると嬉しい話なんですが、ちょうど1年前くらいですが、デイの生活相談員として現場職員から引きあげて全て同じ研修・同じ指導内容・同じ助言で指導してきた相談員が2名います。
A君は、上昇志向があって将来はケアマネになりたい30代で、介護現場の経験は5年程度です。
Bさんは、真面目な性格ですが慌て者ですぐ緊張してしまう20代で、介護現場の経験は3年目です。
A君には、将来ケアマネを目指すならデイでのアセスメントや計画書くらいは出来てないと無理だ、と伝え指導してきました。
Bさんには、まずは落ち着いて、慌てず余裕をもって仕事をしましょう、と伝えて指導してきました。
二人ともに強調して伝えたのが、『内容が浅くてもいいので、必要な項目は必ず全て埋めて、自分なりに完成させた状態で書類一式を持ってきなさい。』という事です。
この1年は、二人が作ってきた計画書関連の書類一式は全て内容を点検して、間違っている部分やおかしな箇所は赤ペン先生をして差し戻してきました。
まず初期の頃は、二人とも未完成の状態(記入すべき項目が空白だったり)で持ってきたので、改めて”自分なりに完成させてから持ってきなさい”と差し戻していました。
基本的な計画書の作り方などは、別に研修を設けて直接教えましたし、会社が主催する外部研修にも参加させましたので、そういう資料を参考に作るように指導してきました。
この初期の頃から大きな差がでました。
A君は、上昇志向が強いわりに、あまり自分で勉強している様子がなく、まずは完成させるというよりも、どういう文言が適切なのか、というような答え探しをしていて、聞きにくる質問もそういう正解探しの質問ばかりでした。かといって他の計画書の書類を参考にするわけでもないので、せっかくケアマネを目指しているのにこれでは難しいな、もったいないな、という感じでした。何度も助言はするのですが、これは現状でもそうなのですが、結局自分なりの言葉や工夫で考え抜いた計画書にはならない状態にしかなっていませんので、非常に残念です。
そしてこれが一番の課題なのですが、埋めるべき項目を埋めきった”まずは完成させた状態”で提出してきた事が未だにありません。
どこか抜けたり間違っていたりするので、今後の育成は困難を極めると思います。
Bさんですが、真面目だけが取り柄のような職員さんで、最初はA君と同じで穴だらけの書類を作って提出してきましたが、抜けている箇所を指摘して教えて差し戻した後は、同じ項目を抜くようなミスはしなくなりました。
自然と経験を重ねる事で記入漏れがない完成させた状態での書類の提出ができるようになりました。
物事の理解力というか、説明した時の反応や理解してくれてそうな対応はA君の方が全然感触がいいのですが、Bさんは何度か丁寧な説明を必要とはしますが、一度覚えたりミスをした事については、確実に覚えて出来る状態になってくれます。
今ではリテイクもほぼなく、自分で引き出したアセスメント情報などをベースに目標設定などケアプランに沿って検討したり工夫したりできるようになってきました。
同じように育成してきたつもりですが、大きく差が開いている状況です。
教える方とすれば、いろいろ課題はあっても着実に伸びてきてくれる職員がいると嬉しいです。
A君も全く成長していないわけではないですが、もっと本人が自己評価を適切にできるようになればもっと成長するとは思うのですが、ある程度の経験もあったりするので自分の現実を認めたくないのか、ただ単に根拠なく自信があるのかは不明ですが、僕からみるとBさんほど努力していないように見えますし、実際の仕事の成果だけで見ても明らかな差が出ています。
本来なら、A君もBさんもこれからも僕がしっかり指導していって、地域を支えるソーシャルワーカーとして育て上げるつもりで始めた生活相談員の育成計画だったのですが、突然の異動になり、後任の管理者さんへの引き継ぎと管理者の育成にシフトチェンジしたので、そういう育成課題も後任に引き継ぐ必要があるのですが、どこまで伝達できるかが重要な課題になりそうです。
言葉では伝えきれないし、後任さんも覚えることが多すぎるので、すこしずつ文章にしてまとめたものを作成しているのですが、今日改めて内容を確認してみるとA4で23ページにもなるボリュームになっていました。
それでもまだ途中なので、あともう少し増えるとしても、こんな量の文章(チーム全体や個別に指導してきた内容と現状の到達や、それぞれの課題など、全職員分のいい所と悪い所などの評価など)を受け取る側もキツいなぁ、と思いつつ、とりあえず完成させてからもう一度見直して考えようと思っています。
後任さんも、いつか管理者として育成する事の楽しさや難しさを感じて、管理者の面白さを感じてもらえると嬉しいなぁと思っています。
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