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銀河英雄伝説の田中芳樹さん「ナンバー2は綱渡り」 オーベルシュタインの不要論語る

銀河英雄伝説は大好きな物語の一つで、オリジナルビデオアニメシリーズも楽しみました。
銀河声優伝説とまで言わたとか言われないとか・・・。

最近は新しい絵柄でリニューアルされた銀英伝もありますよね。
最初は絵柄に違和感ありましたが、ちょっと小綺麗なヤン艦隊の面々とか、それはそれで楽しめています。

そんな銀英伝がらみの面白そうな記事があったので紹介します。

最初の出版から今年で40年、2度目のアニメ化が進み、国境も世代も越えて読み継がれているSF小説の大作「銀河英雄伝説」(銀英伝)では、その序盤、異彩を放つ登場人物がトップに「ナンバー2不要論」を具申します。「組織にナンバー2は必要ありません。無能なら無能なりに、有能なら有能なりに、組織をそこねます」――。

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オーベルシュタイン氏の名言ですね。
この言葉を聞いてキルヒアイスの優しい表情を思い浮かべる人も少なくないと思いますが、僕自身は頼りになるナンバー2は居た方がいいと思っていたので、興味深い内容です。

僕自身、これから創業して事業をしていくわけですが、やはりナンバー2をどうやって育てるか、創業メンバーをしっかりと後継者に育て上げていく事が重要課題と思っているので、不要論で示されているように有能でも無能でも組織を損ねるという実態がどうなのかは勉強になると思います。

ただ、銀河帝国という専制君主制の下での組織論なので、そもそもの考え方とかが違うのかもしれませんが(そもそも架空の物語だけど)、それはそれで僕には見えない視点からのヒントが得られそうな気もしないでもないです。

ラインハルトが子ども時代からの腹心の友である副司令長官キルヒアイスを重用し、特別扱いすることをいさめた言葉です。

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実際、特別扱いはあったと思いますが、だって幼少期から支えあってきた特別な存在なんだから仕方ないですよね。周囲のミッターマイヤーやロイエンタールも認めていたので、そこまで言わんでも・・・というのが僕の感想ですね。

ただ、こういう当たり前の事をちゃんと言ってくれるオーベルシュタインのような部下は重用すべきとは思います。
こういう意見に耳を貸さなくなってしまうとリーダーとしてはダメになって行ってしまうような気がします。

執筆にあたって世界史で覇業に挑んだ人物をずっと見ていったのですが、ナンバー2というのはいない方がむしろ多いんですよ。日本に限っても、信長にも、家康にも、今NHKの大河ドラマでやっている源頼朝にもいませんでした。秀吉だけは弟秀長がナンバー2だったという意見がありますが、ほかに千利休もいたし先に亡くしました。

世界でもナポレオン、アレクサンドロス、カエサル(シーザー)と、ナンバー2はいません。中国の項羽と劉邦もそうです。ではどうしていたかというと、だいたい、ほぼ同程度の能力を持った部下集団を作って、そのグループ全体がまあナンバー2であると。

あえて言えば、その中にチームのキャプテンみたいな役割をした人はいますけれども、むしろブレーンやスタッフの集団を率いて天下を取った人というのが多いのです。ヒトラーの下では、ゲッベルスとゲーリングがどちらも自分がナンバー2と考えていました。

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なるほどなぁ・・・と思いました。
特定の誰かがナンバー2という事ではなく、トップの下に優秀な集団がいて、彼らをうまくリードするのが上手くいくパターンの様ですね。

しかし、そのトップリーダーが退場した後は悲惨な歴史も多い気がしますね・・・。鎌倉殿の13人もそうですし・・・。

それでナンバー2をつくる弊害というのは、後継者タイプの場合ですと「もう将来はこっちだ」というわけでナンバー2の方に権力が集まっていってナンバー1がないがしろにされる。それで、ナンバー1がナンバー2を粛清するか、あるいはナンバー2の方が反旗を翻してナンバー1を駆逐するという形で終わることが多いのです。

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あぁ・・・なんかよく聞く内容ですね。
しかし、ラインハルトとキルヒアイスに限ってはそれはなかったな、と思うのは僕だけではないはずです。

僕もちょっと意地になって成功したナンバー2の例というのをいろいろ探してみたんです。世界史上最高のナンバー2は私の見る限り、古代ローマ帝国のアグリッパという人です。

ローマ帝国初代皇帝アウグストゥスの腹心だった人ですね。これはカエサルがアウグストゥスを養子にしたときに、誰か友だちが要るだろうと選んだ人で、年も同じなんですけども。かの人は政治的にも軍事的にも忠誠心から言っても、ほとんど完璧なナンバー2でした。

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全然知らない人ですので興味わきますね。
古代ヨーロッパの歴史とか詳しくないので、この機会にいろいろ勉強してみたくなりました。

田中芳樹が完璧なナンバー2というほどの人物なので、アグリッパさんの事は今度ゆっくりと調べてみたいと思います。

軍事方面についてはアグリッパに任すと、任せっきりだったんです。

それでゲルマン民族と戦って勝ち、黒海の先まで行って勝ち、最後にはアントニウスとクレオパトラの連合軍を今度は陸上ではなく海戦で破って、ローマ帝国の統一を成し遂げたわけです。

それでもアグリッパは控えめに振る舞い、皇帝の位を狙おうなどと思わず、アウグストゥスの方もアグリッパを信頼して生涯その友情は続きました。これがスケール的に言っても、世界史上の最高の例ですね。

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クレオパトラとか知っている名前が出てくるとわくわくします。
こういうナンバー2は得難いですし、これだけの歴史の中でも稀な存在であれば、おそらく普通のリーダーが優秀なナンバー2を得るというのはほとんど不可能なのが現実なのかもしれません。

ナンバー1の補佐役、あるいは留守番役に徹しようとしても、権力はそれ相応のものを持っているので、それをあてにして多くの人が集まってくる。そうするとナンバー1の嫉妬や疑心を招いたり、ナンバー2の野心に火をつけたりする。

周囲がナンバー2を担ごうとすることもあります。ほとんど方程式かと思われるような状況が世界史の至るところに見られます。「あいつは俺の地位を狙っている」と思わせたら、もうそこで粛清の対象になってしまいますね。

かといって、能力が足りなければ、せっかく抜擢(ばってき)してやったのに、お前は何だというようなことになるのですから。

無能ではダメですが、有能でも危ない。ナンバー2は綱渡りなのです。

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ナンバー2怖いなぁ・・・。

たとえば三国志なら、曹操の陣営は優秀な部下集団がいましたし、孫権にも優秀な部下集団がいました。
一方の劉備には、諸葛亮孔明というナンバー2がいましたが、彼は劉備亡き後も劉備の息子の劉禅を立ててナンバー2であり続けました。

上司として欲しいような都合のいいナンバー2は、当の本人から見た時にとてもじゃないけど恐ろしい立場に立たされているという事を理解しておかないとやばいですね。

――オーベルシュタインは特異なキャラだけに人気もありますね。

そうなんです。それと、オーベルシュタインの犬ですね。私は何げなしに出したんですけど、あんなに受けるとは。冷たく見えるけど、本当は犬を拾うような優しい人なんだといったお手紙をいただきます。やっぱり読者というのは侮りがたい。この年になっても読者を作者がコントロールしようなっていうのは、もうとんでもない思い上がりだなと思います。

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これ僕もびっくりしてオーベルシュタインの印象が変わりました。
実はめっちゃ優しい人なのに、仕事(・・・というか目的のために)だからあんなキャラを演じているのかなぁ、あんなに嫌われるような事を組織の為に言って、本当はすごく傷ついているんじゃないか・・・なんて思いました。

しかし、作者は何気なしに出したエピソードみたいなので、どうなんでしょうね、もう作品自体が作者を操っているような域に達していたのではないかと勝手に思いました。

まあ与えられた仕事はこなすけれど、あんまり目立つのは嫌だし。そうですね、そこそこ仕事をこなして適当なところで辞めて年金をもらって、というところでしょうか。

――それって、ヤンの口癖ですよね。やはりヤンは一種の理想なのですね。

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僕も理想はヤン提督ですね。
ヤン艦隊のようなチーム作りが理想ですが、いかんせん僕の能力が足りなさすぎて理想のまま終わってしまいそうですが・・・。

いやはや、任せられるナンバー2を育てられるようになるのが目標でしたが、そう単純ではなくて、チーム自体をしっかり育てて、それぞれの能力に応じて任せる所は任せるという感じがよさそうですね。

いい勉強になりました。

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