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もっと他にやるべき事があるのでは?

最近お疲れモードだったので、あまりネット検索とかもできず仕事しかしてませんでしたので、このニュースを見たときに思ったのが『もうやんの?』という感想でした。
こういう動きはなんだか早いような気がするのは気のせいでしょうか。

ICT等の導入による人員基準緩和は、たしか資料を読んだ限りではSOMPケアが投資しているようなシステムの導入による効果が報告されていましたが、在宅介護に携わっている僕ですが、入所施設での夜勤体制の過酷さは耳に届きますし、実習での経験を思い出しても過酷でした。
それ以降、年々介護報酬が目減りする中で施設の夜勤体制は非常に厳しいのが現状と思いますが、それを機会を導入して緩和しようというのは、ちょっともうどうかしているのではないかと思います。

そうであれば、これまでの人員基準がどのような根拠で設定されていたのかも知りたいですし、夜勤帯にどれだけの介護職が適切に休憩時間を取得できているのかも精査してほしいです。

介護施設の人員配置基準を緩和へ 4月から実証実験 厚労省 (msn.com)

『国の基準では、特養などの施設は入居者3人に対し、介護職員か看護師1人以上の配置が定められている。現状では基準よりも手厚くし、入居者2人に対し職員1人を配置している施設が多い。』
・・・この記事からは悪意を感じてしまいますが、僕の気持ちが疲れているからでしょうか・・・。
普通に考えて、入居者2人に対して1人を配置しないと現場が回らないからそうしているのではないでしょうか。
デイサービスも、15人までは介護職員1名、生活相談員1名の配置で介護職については基準を満たします。僕の知る限り、この基準で運営できるデイってほとんどないと思います。入浴を提供しないとかならあるかもしれませんが、それでも難しいです。

国が示す基準ってなんなんだろう・・・。特に入所系の施設には、寝たきりの方もおられるでしょうが在宅ではサービスの限界があって生活が難しい常時ケアが必要な認知症の方などが入所されているはずです。現に要介護3以上の方しか入所できなくなったような法改正もありました。
そういった常時ケアが必要な方3人を2人の介護職で適切なケアができると示せる根拠はなんなんでしょう。
そして、目が届かない場面で転倒などの事故が起こった時に責められるのは介護職であり施設なんです。
施設内の事故に関しては、防げる事故と防げない事故がある事は示されていますが、これもまだまだ日本の常識にはなってないのでトラブルの防止にはならないと思います。
それに、人員が減る事で、本来なら防げる事故であるはずの事故でさえ予防できなくなる可能性も視野に入れておいてほしいと思います。

「介護施設内での転倒に関するステートメント」 | 大切なお知らせ一覧 | 一般社団法人 日本老年医学会 (jpn-geriat-soc.or.jp)


『背景には、深刻な介護人材の不足がある。厚労省は、2040年度には19年度に比べて約69万人多い約280万人の介護職員が必要になると推計。厚労省は、実証事業のデータを踏まえて現在よりも少ない人数で介護を担うことが可能かを検討し、24年度の介護報酬改定に向けて結論を出す。』

深刻な介護人材不足については、いろいろな側面はあると思いますが、もっと前からわかっていた事を後回しにしてきた国の責任もあると思います。

現在よりも少ない人員で介護を担う事が可能かどうかなんて誰が評価するのでしょうか、それってサービスを受けている利用者さんしか評価できない事じゃないのでしょうか?
今のICT技術で、介護人材の人員基準を緩和できるに耐えうるような技術があるようには思えません。

たとえばオムツ交換なんてICT化で出来る事じゃないと思います。
8時間でオムツ交換が100回あるとします。
これを今まで3人でやってたのを2人にするんですよね。
ICT化したってオムツを交換する回数が減るわけではないのですから一人当たりの回数は増えますよね。
そしてもっと大事なのが、オムツ交換などの排泄ケアを定時でやるなんてのは個別ケアじゃないって事なんです。
その人それぞれに適切で必要な時間や回数の交換が必要ですし、少しでもトイレやポータブルトイレといったオムツ以外の場所で排泄できるのであれば、そういった場所で排泄できるように必要で適切な介助を行うのが我々介護職なんです。

だから、そこに効率化はないんです。

ICT化の恩恵は、そういう所とは別の場所で発揮されるべきであって、その技術を便利だから現場の人を削ろうなんて発想は、ちょっと危ないんじゃないかと思いました。

介護保険制度の理念には、尊厳を守ると明記されています。

人の尊厳を守れるのは人だけだと思います。

『ただ一部の介護事業所からは「介護の質を低下させる」との懸念が出ており、実現するかは不透明な状況だ。』

記事の締めくくりですが、一部ではなくて全部の間違いではないでしょうか。

少なくとも介護福祉士には、物言えぬ利用者様の代弁の役割を担う事も必要です。ソーシャルワークの視点でも必要です。
現場から介護職が1人減ればケアの質は低下します。

ICTで人を減らすことを考えるくらいなら、書類の仕事を減らしてください。その方がかなり有益だと思います。

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