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利益を追わずとも増収増益。という記事を読んで。

利益を追わずとも増収増益。「社員の幸せ」を追求し続ける伊那食品工業の秘密・・・という見出しに興味がそそられて記事を読みました。

最近は、こういう利益を追わない体質の企業が本当に成功しているように感じています。
その秘訣は、必ず介護業界にも必要な要素だと思っています。

トヨタ自動車やパナソニックなど、世界的大企業も見学に訪れる長野県の食品メーカー、伊那食品工業株式会社をご存知でしょうか。「かんてんぱぱ」ブランドで知られ、寒天の国内シェア80%を占める同社は、人も社会も幸せになる“年輪経営”を行いながら、末広がりの成長を続けています。

BiZHiNT

すみません、全然知りませんでした・・・。
寒天ってゼリーとなになるアレですよね。
かんてんぱぱ・・・、気になる。

かんてんぱぱって商品名みたいですが、なんか思ってたのと違って普通の商品でした。

製品は粉末状である。これをお湯で溶かし、冷蔵庫で冷やしてゼリーとする。従来は煮溶かす必要があった角寒天、粉寒天を、お湯で溶かすだけで使えるようにし、さらに味がついているためそのまま果汁や砂糖などを添加せずにゼリーになるのが特徴。発売当初は90度以上の湯温でなければ溶けなかったが、現在は改良を重ね、一般的な電気ポットの保温湯温度である80度で溶けるよう改良されている。

各種フルーツ、コーヒー、抹茶等のラインナップの他、ババロア、プリン、杏仁豆腐等の製品群がある。また味が付いておらず、80度のお湯で溶けるクッキング用ゼリーの素も販売されている。

商品は、主に直営の「かんてんぱぱショップ」や自社通販の他、地元ではスーパーでも販売されている(他県でも一部店舗や百貨店にて発売されている)。

Wikipedia - かんてんぱぱ -

使いやすく加工された寒天みたいですね。
僕は使った事ありませんけど、便利そうですね。

はい。 我々企業の目的は「社員や世の中の人々を幸せにする」こと。 企業が永続していくための「年輪経営」や、人員整理を行わない・年功序列などといった当社の経営方針も、すべて“人の幸せ”に繋がっているものです。

逆に、 「利益」は社員の幸せを実現するための手段でしかありません。 なので、利益は数字で追わないですし、それよりも「前と比べて幸せになった」「去年より良くなった」と感じられることを大切にしています。ただし、「良くなった」と感じることは、結果論として数字がついてきていると思っていますけどね。

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前より幸せになった、と感じられる経営。
なかなか難しそうですよね。
ただ、結果として数字がついてくる、というのは共感で、僕も会議等で経営や数字の話をするときは、必ず数字はサービスの質や満足度で必ず返ってくるから質の高いケアの提供をどんどん工夫して欲しい、と伝えています。

「企業や会社、働くということをどう捉えているか」でしょうか。企業はついつい経済活動を最優先にしがちですが、 経済活動はあくまでも「人」のためにあるもの。 そのために働く「会社」があるんです。私たちは「人と人生」を軸にものごとを考えているので、理念がブレることはないのだと思います。

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非常に共感できる内容です。
人生は会社のためにあるのではなく、人生の糧として仕事があって会社があるので、ここを間違えると理念はブレますよね。
介護の仕事は、そのサービスが他人の人生をよりよいものにする仕事ですから、会社の理念がブレたり、実際に理念と違う行動や方針によって現場職員が辞めていくのは、退職理由の上位に”働き方が理念と違う”という項目が必ず入ってくる事にも表れていると思います。

2020年は新型コロナウイルスの影響もあり、減収減益の見通しです。しかし、ボーナスも給料も減らさず支給額も例年同様アップしました。会社の仕組みとして年功序列を採用していることもありますが、そもそも「幸せ」を考えるなら、給料は毎年増えた方が絶対嬉しいですよね、誰でも。だから社員にも、「今年は頑張ったんだけどしょうがない。これは不可抗力なので。だからちゃんと今まで通り増やします」と伝えました。

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これが出来るのは本当にすごいし、本当に社員の幸せを理念に掲げて経営をされているんだなぁと思いました。

塚越: ただ、今回このような決断をしたのは、昔にあった出来事がきっかけになっています。それが、2005年の寒天ブームと、2008年のリーマンショックです。

2005年、TV番組などで寒天がダイエットや健康に効果がある食材として取り上げられ、寒天ブームがおきました。当時は40%ほど売上が増えましたが、「これは我が社最大の危機だ」だと感じていました。

──売上が伸びるのは喜ばしいことだと思うのですが、それを危機だと捉えた理由は?

塚越: 確かにブームの最中はとにかく増産に追われ、土日も工場を稼働させるほどの忙しさでした。しかし、 ブームは他力ですから必ず終わりが来ます。 ですから、終わりが来た時のリスクに対応していかなければなりません。増産は最低限にとどめ、いつブームが終わってもいいような心構えをしていましたが、見事に売上が40%以上落ちました。2006年〜2008年は3年連続減収です。

そして、そのあとに訪れたのがリーマンショック。世界中が不景気になり、ボーナスカットや昇給0が当たり前の時代でした。当社も3年間減収が続いていたので、「昇給をどうするのか」が問題に……。昇給に関してはそれまでずっと「平均2%アップ」という伝統があったものの、総務と相談して「今年は1%にしようか」という話になりました。業績も赤字で、人件費のボリュームも大きいので止むを得ないと。

しかし、当時の会長(現最高顧問・塚越寛氏)は、「何を言っている、いつも通り2%アップだよ」と断言。 「経費を削減して経営をするならサルでもできる」 と一喝されました(笑)。

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寒天のブームがあったなんて知りませんでした・・・。
ダイエットにいいんですね、寒天でダイエットやってみようかな・・・。

ブームは本当に終わりますよね、これをブーム中にちゃんと客観的に評価した上で対策もできているのは本当にすごいと思いました。
ブームが去れば減収減益、そこにリーマンショックの追い打ち・・・。
こういう時は必ず経費をどうするか、というのが話し合われますし、介護の運営でも一緒ですよね。どう経費を減らすか、人件費率をどうコントロールするかはとても重要な課題です。

ただ、これは僕も頭を殴られたような衝撃を受けましたが、経費を削減して経営するならサルでもできる・・・、いやぁ確かにそうですよね。
誰でもそういう発想で見ますもんね。

これは、一番手っ取り早い対策を取る前にもっと何か考えろ、社員の給料を減らすくらいの事を考えるのであれば、もっと血を吐くくらいの検討と工夫を考えろ、という事なんじゃないかなぁと思いました。

塚越: はい、例年通りプラス2%で支給しました。会長には 「ちゃんと給料を上げて、経営を成り立たせるのが本物の経営者だ」 と言われて、当時の自分は、経営をわかったつもりだったが、まだまだだったな……と反省しました。その後は業績には波があるものの、給料は同じ伸び率で支給しています。

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ちゃんと給料を上げて経営を成り立たせるのが本物の経営者。
本当にそうだと思います。

介護の場合は、介護報酬が下げられて加算による処遇改善でなんとかなってますが、やっぱり国の方針や国の対策によっての部分が大きいので、経営努力をしたとしても、そこには限界があるので、だからこそ介護職員の給与水準が上がってこなかった面もあるとは思います。経営努力が足りなかった部分ももちろんあるとは思いますけど、自由に商売ができないという状況では、やはり介護職の処遇を上げ続ける経営というのは難しいと思います。

──業績によって給与や賞与が変動しない安心感があると、社員にとってはよっぽどのことがない限り辞めようとは思わないですよね。

塚越: 離職率はほとんど0に近いですね。家族の転勤に伴って物理的に勤務できなくなったなどはありますが、仕事が嫌になって辞めた人はほとんどいないです。長野の本社以外にも店舗や支社は全国にありますので、勤務地や業務を変えて仕事を続けてもらうケースも結構あります。

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離職率が低いのもすごいですね。社員の満足度が高いからだと思います。
介護職だとどうでしょう、やはり労力に見合った給与水準じゃないからか、人間関係が悪くなり給与も安いという事で離職率は高い状態ですね。

みんな仲良く利用者さんの為に協力するチーム・・・これが当たり前のはずなのに、なぜか理想になってますよね。なんでそうなるんでしょうか・・・。

塚越: 正直、 生産性という言葉は当社ではほぼ使っていません。 それよりも「快適性」を大切にしています。これもずっと昔からです。幸せ同様、数値で測りづらいんですけどね。

快適性とは、社員が快適な環境で気持ちよく働けるかどうか。例えば、職場内の清潔さや働きやすさ、設備の充実度などです。古い設備や備品を我慢して使うのではなく、必要であればどんどん新しいものを導入しています。

当社には「経費節約」という言葉は存在しません。むしろ職場を良くするために「もっと経費を使って」と言っています。使わないと逆に怒られるくらい。だから、社員たちは経費を使うため、どう職場を良くするか一生懸命考えてくれます。

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働きやすい環境づくりは本当に大切ですよね。
僕も古い機械は新しくしたいので、自分の拠点の会議とかでは、業務効率でお金で解決できるモノはお金で解決していこう、と発信していますが、散々経費削減という指導の下に仕事をしてきたチームばかりなので・・・。

例えば、今回就任した事業所では、ある事務所の網戸が穴だらけでボロボロだったんですよね。
職員から網戸の相談を受けた時に、すぐに直すように指示を出すと驚いていました。その後、その話が広がったのか、複数の事業所から網戸を直したという要望が出ました。
それだけで喜んでくれましたし、今年は特に暑い時期が多かったので、みんな虫を気にせずに窓を開けて仕事をする事ができていました。
暑いから扇風機が欲しいです、というのもありましたので、すぐに買いなさいと言いました。介護現場では、やっぱり働く環境は二の次三の次になっている状況はあると思いますので、そういう部分から意識を変えていかないと、ただでさえ大変な仕事で給料も安いのに、仕事場の環境まで悪かったらそりゃ辞めたくもなりますよね。

ただ、法人から徹底的に経費削減せよ、という厳命が出ているので僕自身はちょっとドキドキしています。

──「コスト削減」を掲げている企業が多い中、全く逆ですね。

塚越: はい。 大事なのは「職場をよくするために考える」こと。 「どう節約するか」よりも「何を買うか」「どうお金を使うか」を考えるほうが楽しいと思いませんか?

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これはほんとうにそうですよね、何を買うか、何にお金をつかうかを考えると楽しいですよね。

以前の職場で職員用のユニフォームを感染対策用に購入する事になった時に、ユニフォームを自由に選ばせたら、それはもうみんな楽しそうに探して選んでました。
みんな好みが違うので統一したものには決まりませんでしたけど。

少し言い方が極端かもしれませんが、企業は利益をそんなに出してもしょうがないと思うんですよね。それよりも自分たちの働く環境が快適であることの方が大切です。「それは儲かっているからできることだ」と言われることもありますが、決してそうではないんですよ。 快適な職場づくりを重ねた結果の利益であって、経費を投資しているからこそ、最終的に利益として戻ってくる と考えています。

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経費を投資、という発想はなかったので勉強になります。
人件費は投資という意識で見てきましたが、経費は経費だったんですよね。

でも、こういう記事を読んで、経費でも最終的に利益としてかえってくるという事は、確かにそうかもしれないな、と思いました。

結局、会社って最初はお金を借りて投資する事から始まって、そこで得た利益を使って更に投資をしてどんどん大きくなる、というのが仕組みなんですよね。

そうだとすれば、利益が出てから考える、というのはその流れから逆行した考えになるので、もしかしたら間違っているのかもしれませんね。

儲けたいなら、儲かるように投資する。という事かなぁと思います。

ちなみに、 「社員旅行」も、この快適性を向上させるための大切な取り組み です。基本的にほぼ全社員が参加していて、一年の中で一番楽しみな行事だという社員も多いんですよ。

当社には約500人の社員がいるのですが、一斉に出かけるのは無理なので、行きたい場所のアンケートを取って目的地を絞り込み、班分けします。国内旅行は全額、海外旅行は約3分の2を会社が負担するのですが、会社側が決めるのは交通手段と宿泊先のみ。ルールは一つだけ決まっていて、4泊なら4泊のうち1回だけ班のメンバー全員が集合する。これだけです。あとは全て個人の自由行動です。

班の組み合わせも社員が自主的に決めます。仲の良いメンバーと一緒に行動してもいいですし、異なる部署のメンバーと同じ班になってもいい。社員旅行に行くことで、話す機会や相手を知る機会が増えるため、その後の職場のコミュニケーションが円滑になるというメリットもあります。

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これはめちゃめちゃ参考になりました。
社員旅行、介護の事業所でもやっていたいんですよね。
しかも、ちゃんと楽しい内容になるやつをずっと妄想していました。

年に一番の楽しみだと社員に行ってもらえるのは最高ですよね。

このルールはいいですね、交通手段と宿泊先のみ決まっていて、1回だけ班のメンバーで集まる。それ以外は自由行動。
これは色々見てきた中で一番僕の中では理想的な社員旅行です。

せっかく旅行に行ってもらうのに、仕事の事とか面倒な事がない方がいいですよね。どうしてもこういう機会に仕事させがちですが、そういうのいらないんんですよね。
こういう事を先進的に取り組んでいる会社があってよかったです。

塚越: 実は社員教育の制度というのはないんです。教育の場を作るといったことも、特にしていないんです。 我々は、会社とは一つの家庭であり、社員は家族だと思っています。 家庭の中で子供を育てる時に、教育制度や仕組みまで考えないですよね。人が育つには、家庭環境が大きな役割を果たすと思うのですが、当社では快適な職場環境を整えてあげることで、社員が自発的に育っていってくれているのではないかと。

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こういうのを本当にアットホームな職場というのかもしれません。
しかし、僕自身は教育の場が必要だと常々思ってきたので、こういう発想で環境を良くしてあとは社員が自発的に育つ、という育成方法もあるのは非常に刺激的です。

会社の理念や大切にしていることなど、入社時にはもちろん私や顧問の口から伝えますが、四六時中会って話をすることはできません。それよりも、先輩から後輩へ伝わっていくことの方が圧倒的に多いのではないでしょうか。日々の業務の中で会話をしたり、行動を見たりすることで 「学び合う」風土ができている のだと考えています。

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ここですね、重要な部分で介護の現場でほとんどできてない部分だと思います。
先輩から後輩へ会社の理念や大切にしている方針が伝わってない・・・。
ここの育成を頑張らないと、と思ってリーダー育成を頑張っているわけですが、職場環境を変えるだけでそうなる、という可能性もあるという事ですよね。
学びあう風土を作り上げる事が難しいように感じますが、トータルでやはり職員幸福度を高める事を目標とした経営が、結果としてそういう風土を生んでいるように思えます。
これは給与や処遇待遇と連動している事なので、介護保険が今のような状況では、介護事業所が単独でこういう職場風土をつくるのは難しいのではないか、と思いました。

塚越: はい、社員はほぼ新卒で、中途社員はごくわずかです。おかげさまで毎年たくさんの学生さんが応募してくれていますし、即戦力が欲しいとか、こういう技術を持った人が欲しいというニーズがないので、中途採用の必要性がないんです。

重視していることは、「いい会社をつくりましょう」というビジョンに共感してくれること。 同じ家族として仲良くできて、楽しく仕事ができるかが最優先 です。もちろん、違う考え方や多様な意見があっていいですし、互いに切磋琢磨して高め合っていく関係があってもいいですが、それは他の企業に就職されたほうが合っているのではないかと。

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採用もしっかりと見極めていますね。
即戦力が欲しい介護業界とは全く違う世界です。

いい会社をつくりましょう、というビジョン。わかりやすいですね。
社員は家族、同じ家族として仲良くしよう、楽しく仕事をしよう、という事を最優先にできるか、これが出来ないなら他の会社の方がいいですよ。

シンプルでわかりやすいですね。
これは採用戦略の大きなヒントになりますね。

人が足りないから誰でもいいので採用しました・・・
それが介護の今の現場をつくっているのですから、そのプロセスの違いによる結果の違いもはっきりしていますね。

しかし、そういう私も、 入社当時は経営理念のことを“わかったつもり”になっていただけ だったんです。経営のスタンスは当時も今も変わりませんが、学生の頃は父の経営する姿を見て「こんなやり方は古い」と思っていたこともあったんですよ。

ただ、入社してしばらくは、正直、年功序列に疑問を感じたこともありましたし、社員旅行も実は行きたくない人もいるんじゃないか……と思ったことも。しかし立場上、反対の意見を言うわけにもいかず、「わかったふり」をしていた気がします。

例えば、さきほどの「年功序列」にしてもそうです。「今の時代古いのでは……?」と疑問を持っていた部分もありましたが、鬼澤さんの話を聞いて、「社員の幸せを追求した結果である」というのが明確にわかりました。

会社の進む方向がこれで本当に正しいんだと実感した瞬間でしたね。そこから会社の理念を芯から理解できるようになったと思ってます。

BiZHiNT

最初から全部わかっている何てことは無くて、経験やきっかけを経てこうして理解を深めたり納得したりして前に進んだり成長したりするんでしょうね。

そういう気づきのきっかけは、やっぱり何かしらの発信だと思うんです。

上に立つなら、そういう理念や方針というものや、それについての自分の考えや解釈をきちんと部下に伝え続けていかないといけないな、と改めて思いました。





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